西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

人生、「最大の」住宅補修

2009-06-30 | 住まい・建築と庭
今日から、私たちにとって、人生、「最大の」住宅補修が始まる。

私は、北陸の金沢に1941年に生まれ高卒の1960年まで同じ場所、ほぼ同じ家に住んだ。だから、私の故郷は金沢である、と明確に言える。

その後、大学生として京都に出てきて、大学院も含め6年間に、寮や下宿の4か所に住んだ。就職して豊田に行き、独身時代2か所、結婚して2か所に住んだ。

転勤で京都に移り、3か所に移り住んだ。更に奈良に転勤となり、1994年に現在の家に住み、15年ほど経過した。(他に2000年に「セカンド・ハウス=書庫」としてコーポラティブ住宅を取得した。)

この住み替え人生で最大の「投資」は現在の住宅(庭付き戸建て)である。ローンも組んで、4年前の63歳で定年退職の時、退職金の一部を使い、ローンを完済した。

しかし、前から住宅研究者として分っていたが、いつかは「計画修繕」というか、補修をしなければならなかったのである。

それが築後15年の「今日(こんにち)」である。最近、マンションでもあちこちで10年、20年、30年などの「計画修繕」が行われているが、新聞報道によると、積立の「計画修繕資金」が管理人に「持ち逃げ」されている例も多い。

私の場合、建てた15年前から、月々「計画修繕費」を積み立ててきた。コーポラティブの「計画修繕費」も積み立ててきているが、自己管理なので「持ち逃げ」は不可能である。

で、戸建て住宅については、本当は築後20年である5年後でも良かったが、1,2年前にシロアリが発生し、前倒しで「修繕、補修」することになったのだ。

するポイント:
○シロアリに食われている敷居、柱、関連して床のやり替え、一部補修
○床下通風が良くなるように通風口を新たに増設
○関連してOMソーラーによる暖房域の変更
○ステンレスのシステムキッチンのやり替え
○温湯システムのやり替え
○外壁、破風の塗り替え(関連して外壁の中の耐震性のチェック)
○屋根上のOMソーラー強化ガラス1枚取り替え等

これは、ウン百万円を要する、人生、「最大の」「最後の」住宅補修である。

音楽の楽しみーピアノとヴァイオリンの生演奏ー

2009-06-28 | 生活・空間・芸術と俳句・川柳・短歌・詩
昨日、以前このブログで予告PRした「けいはんな市民雑学大学」の第14回講座が奈良女子大学記念館講堂で「百年ピアノ」を使って行われた。


過去の私の予告ブログ:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/d3ad0d314317f45d96d275620e66eb49

その実際を詳しく描写されている友人のブログがあるので紹介させていただく。
日々ほぼ好日:http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/4b21400ba333c22d6bfd635482d22a78

で、私のお勉強あれこれ:

ピアニストの上田賀代子さんが以前に「百年ピアノ」を一度弾いたことがあると伺っていたので、私は「市民学生」として,バッハのプレリュード(序奏曲)演奏が終わった後で「ハイ」と手を挙げて質問した。
質問「以前の感じと今日の「彼」の感じは違いますか?」
答「2年前は、百年の眠りから覚めたばかりで、何すんねん!という感じだったが、今回リハーサルで弾いてみて彼の機嫌がいいのでびっくり、今日も気持ちよく弾かせてもらえそう。」(上田さんも私もグランドピアノに対して「彼」と言ったのは、ドイツ語でグランドピアノは、der Flugel(uはウムラウト)と男性名詞と事前に知っていたからである。der Flugelは「つばさ」という原意。)

上田さんはシューマンの「子供の情景」の13曲のうち6曲を聴衆の6つのグループにそれぞれ捧げてくれたのだが、上田さんの音楽の聴き方の一つに「どんな音楽会に行っても演奏曲は自分に捧げられていると思って聴くと思いれも違ってくる」という言い方があった。「なーるほど、今度からそうしよう。身を入れて聴けるのでは・・・」

懇親会で上田さん(上田さんは主にドイツで修業)とヴァイオリニストの梅沢さん(梅沢さんは主にアメリカで修業)との会話でグランドピアノはドイツ語で男性名詞ならヴァイオリンはどうか?上田さんによると「die Geigeまたはdie Violineでいずれにしろ女性名詞」とのこと、私は横から「お二人にふさわしい」と茶々を入れてしまった。ドイツ語で、何故ライン川が der Rheinと「男性」になり,ドナウ川が die Donauと「女性」になるのか、という話題も出たが未解決。

朝鮮戦争勃発59年

2009-06-25 | 金沢の思い出
今日は、1950年(昭和25年)6月25日に「朝鮮戦争」が勃発してから59年目の記念日だ。当時、私は金沢に住んでいて小学校3年生だった。

当時の私は、また当時の金沢の雰囲気は、「反共産主義」であり、北朝鮮が南朝鮮攻め込んで釜山陥落寸前になった時、次に日本はどうなるのか、と思った。

しかし、マッカーサーの仁川(インチョン)上陸作戦によって情勢は一変、米軍が押し返し中国国境まで至ったが、中国が毛沢東主導で人海戦術で乗り出して押し返し、38度線で膠着状態になり、現在に至っている。途中、マッカーサー元帥が中国に核爆弾を投下する、と言い出しトルーマン大統領に解任されている。

その間、現在まで色々なことがあったなあ、と感慨にふける日であった。

足達富士夫著『私のすまい史-関西・北海道・パリ-』に触発されて

2009-06-24 | 地域居住学
昨日、妻が足達富士夫著『私のすまい史-関西・北海道・パリ-』(北大出版会)を買ってきた。足達さんは妻の恩師の一人だが、私にとっては大学の同じ研究室の先輩で、奈良女では私が足達さんの後任だ。(1974年)

その年、足達さんは北大の建築学科の教授で奈良女から転出されたのだ。その後、1995年に63歳で北大退官、福山大教授になられたが2002年に70歳で定年退職後、6月に病没された。(享年70歳)

残された原稿を北大で後任教授になられた野口孝博さんが主に整理されたが、野口さん自身が、2007年1月に58歳で逝去されたので、その後、足達さんの二人の息子さん達の努力で2008年11月にこの本は発刊されたのだ。

この本を見て私はすぐ西山夘三先生の名著『住み方の記』を思い起こした。足達さんも西山研究室の出身、足達さん自身は「西山夘三氏の『住み方の記』を再読して、たちまち元気をなくしてしまった」と「あとがき」で述べている。

「けれどもひとの生活史はひとりひとりちがっているし、それに私は関西と北海道というまったく風土のちがうところでかなりの期間生活し、そのことではいろいろ考えさせられた。そのことを記録しておきたいという気持ちがつよかった。」とも述べておられる。

世に幾多の「住み方調査」があるが、生活者と調査者が一致しているのは、西山先生や足達先生のような専門家ではなかろうか。私もそこに入るかもしれない。

足達さんが、北海道・札幌に行かれた後の言説で感心した一つに、「札幌でこそ集合住宅がふさわしい!」というのがあった。一寸考えると、北海道、札幌であっても東京や大阪と比べると土地が広く広がり(安く)、戸建住宅こそ理想、特に本州から行くとすると、当然そうなる、と思われるかもしれないが、実は冬の雪のことを考えると、集合住宅の方が合理的なのである。

つまり一階をピロティ(柱廊)とすれば、雪に煩わされずに交通できる。雪下ろしも、雪かきも苦労が少ない。暖房費は互いに暖めあうので少なくて良い。また都市域もコンパクトになって良い等ーとなるのである。

こういう地域性をよく考えられる先輩だった。関西では、例えば、この蒸し暑い夏、どういう風に住宅内通風を確保するか、見習って良く考えていきたい。

また、住居学研究者は、すべからく『住み方の記』をのこすべきではなかろうか。
西山ー足達さんの流れを受け継いでいきたいものだ。

疑わしきは罰せずー足利事件の教訓ー

2009-06-23 | 時論、雑感
今日、東京高裁は、「23日、無期懲役が確定していた菅家利和さん(62)ー服役先の千葉刑務所から今月4日に釈放ーの再審を開始する決定を出した。」「矢村裁判長は「菅家さんが犯人と認めるには合理的な疑いがある」と判断した。」のだ。

90年の事件だが、4歳の女児が殺されたもの、女児の肌着に残った体液のDNA鑑定で菅家さんのものとしたこと、及び菅家さんの自白により無期懲役になったのだが、その後の精密になってきた体液のDNA再度鑑定で、菅家さんのものと一致しない、となって、ほぼ冤罪ではないか、となっている。

他に客観的証拠が皆無だった。仮に眞犯人を取り逃がすことになったとしても自白だけでは、「疑わしきは罰せず」でいくべきだ。

長い目では「天網恢々疎にして漏らさず」なのだから・・・。

『グローバル恐慌論』より(続き)

2009-06-22 | 時論、雑感
昨日の続き・・・。昨日は、初っ端の浜 矩子さんの言い方で感心したのを紹介したが、他にも「ほー」と感心する諸点を上げてみる。

●日本の「円」の役割・・・(日米密約?で、アメリカの公定歩合より3%下に設定すべし?に規制されて、早くから日本は「ゼロ金利」)つまり日本の「円」を借りてアメリカで運用すれば、目をつむっていても「儲かる」、こういうことをした日本も今回の「恐慌」に責任がある。
●「ユーロ」は案外フラフラした、何故なら、統一して発行量や「公定歩合」をコントロールするヘッドクヲーターが形成されていないためだ。
●ために(今でも)「円」がドルに代わって(隠れ)基軸通貨の役割を演じている。だから「円高」で日本の輸出にとってマイナスだ。
●今回の「恐慌」は、お金が「実体経済」と離れて暴走した結果起こった。世界初の瞬時に起こった「グローバル恐慌」だ。
●「恐慌」は、資本主義では「原点」に回帰する運動で、これに対して政府が強く介入すると「統制経済」となり、かえって「不況」は長引く。・・・

でも、浜さんが言う今後の「処方箋」に関しては、?である。

○「モノの世界で起きる変化によって、カネがおのずとモノに再び引き寄せられる可能性はあるのだろうか。そのような新展開が起りそうな分野として、どのようなものが考えられるか。さしあたり思い浮かぶのは、医療・介護・教育・環境・貧困救済といった分野である。」
 これらの分野を、どうやって起こし発展させるのか、緻密な考察と提案では今一つである。
○グローバルな時代の通貨は?、に対して「九州独自通貨」などの地域通貨を提案しているが、どうして?どのようにして?現在の通貨との関係は?等について説得的ではない。

まあ、「緊急出版」だから仕方ないかな。今後を期待すると共に我々としても考えていこうよ。

浜 矩子著『グローバル恐慌ー金融暴走時代の果てにー』より

2009-06-21 | 時論、雑感
地域snsのマイフレンド、tetsudaさんの示唆で岩波新書、浜 矩子著『グローバル恐慌ー金融暴走時代の果てにー』(2009年1月20日第一刷発行、緊急出版)をざっと読んだ。浜さんは、現在、同志社大学教授、一橋大卒、1952年生まれ、専攻はマクロ経済分析、国際経済だ。

2008年(昨年)9月15日の「リーマン・ショック」から始まった「グローバル恐慌」(これをマスコミ等は「世界金融危機」と言ったが、本当は「グローバル恐慌」とのことだ)を、更に歴史的に振り返り、位置付けされている。全体を紹介するのは難しいが、浜さんは比喩等が大変に巧みで素人にも分かりやすい。ここでは、キーワードの一つ「サブプライム・ローン証券化問題」について引用してみる。

「しからば、証券化とは何か。まず、何を証券化するかといえば、その対象は債権である。カネを貸した相手に対する貸し手側の債務履行請求権だ。要は請求書である。債権の証券化とは、平たくいえば請求書の切り売りなのである。
 証券化を活用する金融機関は、ツケで飲む客が多い飲み屋のようなものである。なじみ客が増えるのは結構だ。だが、ツケはあくまでツケである。請求書を現金代わりにして仕入れの代金を払うわけにはいかない。店を拡張するための設備投資にも使えない。しかも、請求書の山には必ず貸し倒れの危険がつきまとう。
 そこで飲み屋は一計を案ずる。たまった請求書を切り分けたり束ねたりして、たくさんの福袋をつくるのである。その福袋を町中の人々を相手に売りまくれば、飲み屋の手元には福袋代という形の現金収入が入ってくる。同時に貸し倒れリスクも福袋の買い手に転化することが出来る。請求書の山が突如として現金に化けるは、リスクは人に押し付けられるは。これぞまさしく、金融錬金術だ。」(23頁)

今度のグローバル恐慌の扉を開いた「サブプライム・ローン証券化」の手口をみごとに叙述している。

今後、「新たな証券化」などに目を光らせる必要大であろう。・・・

空間(建築・住宅)と思い出ー日吉館取り壊しー

2009-06-20 | 時論、雑感
明後日から奈良の旅館「日吉館」が取り壊しになるようだ。

『朝日』夕刊で平山郁夫さん(画家、元東京芸大学長)が、東京美術学校の学生時代(1949年)に泊まったことを述懐している。

私も、距離的に「近い」けれど京大建築学科の学生時代(1962年~1963年頃)に古代建築巡見のため、ここに一泊したことを記憶している。(引率は川上 貢先生)

1974年(昭和49年)に奈良女子大学に転勤になり、以後、学生たちと「すき焼きコンパ」で「日吉館」に数度は来ている。おかみの田村さんも未だ元気であった。

うーん、壊されるとなると、後は泊まったり使った人たちの記憶に残るのが最後の「砦」だ。出来れば記憶だけでなく記録に残したいものである。

「日吉館」過去ブログ:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/f740833bafb56763bbb55be6f2d6b94c

歯医者定期健診・・・

2009-06-20 | 生活描写と読書・観劇等の文化
今日は、三ヶ月に一回の「インプラント、入れ歯」の定期健診に奈良に行った。

毎日、寝る前に15分ほどかけて電動ブラシと歯間ブラシを使って「磨いて」いるが、未だ不十分のようで、歯の裏も丁寧に磨くように、と言われた。

他にインプラント周辺の磨きについても「しっかりと」と言われた。まあ15分ほどの処置で8千円ほど、3割負担で2千円台の支払いだが・・・。(やはり、医者?!は「儲けすぎ」では、と思わざるをえない。1時間で数万、1日で20万円近くの収入?!、なるほど、それで女性の「助手」を沢山やとっているのだな。)

まあ、この歯医者ではなく別の「セカンド・オピニオン」では、「出来るだけ金属を使った入れ歯などしないように・・・、金属が溶け出すと体に悪い!とのことだ。

歯医者、眼医者、耳鼻咽喉科に数ヶ月に一回、検診に行く「健康維持生活」の一齣だ。

けいはんな市民雑学大学第14回講座お誘い

2009-06-19 | 奈良・精華町の思い出(教授時代)関連続き
今度、6月27日(土)の午後14時から2時間ほど奈良女子大学の記念館(重要文化財)の講堂で「百年ピアノ」(1909年製造、ヤマハ)を使っての生演奏と語りの「けいはんな市民雑学大学」の第14回講座が開かれる。

「市民教授」はピアニストの上田賀代子さん、大阪音大を出てドイツで大学院修了、ヨーロッパで演奏や修業、現在、生駒市で「日独ピアノ芸術学院」を主宰、多くの後進を育てておられる。http://www.nichidoku.jp/

当日のテーマは「ソナタって何?-バッハよりショパンまでー」ですよ。
参加費百円(資料代)です。是非、散歩がてらお出で下さい。
奈良女子大アクセス:http://www.nara-wu.ac.jp/accessmap.html

けいはんな市民雑学大学:http://academia.keihanna-city.com/

司法の民主化二つ

2009-06-17 | 時論、雑感
立法(議会)の民主化は、選挙により前進する。

行政(中央、地方政府)の民主化は、住民、市民、国民の参加により前進しつつある。

ところが司法(裁判)の民主化は長年なされず、漸く「裁判員制度」がスタートしている、今後の推移を見守りたい。もう一つは、「検察審査会」である。市民11人で構成されるここでは、二度にわたり「起訴すべし」となったら、検察が不起訴としているものも起訴せざるをえなくなったのだ。

自民党の二階大臣に対する西松建設の献金問題で、検察は不起訴としたが、「検察審査会」は、献金側の西松建設側を起訴したのだから、受け取った側を不起訴にするのはおかしいとして「起訴すべし」とした。もう一回、同じ結論なら起訴せざるをえなくなる。

また、今まで検察が起訴すると、ほとんど有罪になっている、という事実が「民主主義」からは「変だ」と、『日本を幸福にしないシステム』の著者は言っている。

民主主義は、立法、行政、司法の三分野で前進をし続けなければなるまい。

自民党から民主党への政権移動でいいのか

2009-06-16 | 時論、雑感
今日、『朝日』などの世論調査で自民党の麻生政権は益々苦境に立っていることが明らかになった。では、次が民主党政権で本当に良いのだろうか。

民主党も自民党も衆議院議員定数の削減(特に比例代表部分)を「競って」いる。まあ、これは国会議員が高給を取っているので減らそうという目論見であるけれど、国民主権の民主主義の発展という観点からは、むしろ小選挙区議員を減らして比例代表を増やすべきなのだ。

小選挙区制は「大政党」に有利、比例代表制は「小政党」への投票も反映するのだ。

で、今は世論調査では自民党より民主党が有利になっている。麻生総理がもたもたして結局、鳩山総務相を更迭したのも不人気だ。まあ、しかし、これは郵政民営化の小泉改革が本当によかったのかどうか総括すべきなのだ。

庶民的観点からは、昔の郵便局の方が、サービスが制度として良かったのではないか。しっかり総括して欲しい。

他に今度の厚生労働省の女性局長が捕まったのも元はと言えば民主党の「大物」石井 一参議院議員の秘書が口利きしたことから始っている。検察も民主党の小沢に続き石井も視野に入れていると言う。こうなると、自民党も自民党、民主党も民主党となるのではないか。

さて、それではどうする。じっくり各党の政策、マニフェストを点検したいものだ。

本格的年金生活スタート

2009-06-15 | 奈良・精華町の思い出(教授時代)関連続き
今日は何の日? 今を去る49年前、1960年6月15日は、忘れもしない「安保闘争」がピークに差し掛かっていた日で、東京では、「国会突入デモ」が敢行されて、当時、東大文学部4年生だった樺美智子さんが警察隊と衝突、亡くなったのである。

私は、1回生、右も左も分からないまま、京都でデモに参加、宇治寮に帰った後、樺さんの死を知った。何処かの部屋でベートーベンのエグモント序曲のレコードが鳴っていた。

さて、現実に戻って、今日は、私たちが本格的年金生活に入る日である。偶数月の15日が年金振込日であるためだが、6月から当該年度(来年4月まで)の年金額が変わるからだ。

午後に、近くの二つの銀行に行った。一つには老齢基礎年金(+私学共済年金少々)が振り込まれ、もう一つには国家公務員共済年金が振り込まれるようにしたためである。

住民税が、去年1年の所得に対して課せられるので、「大変」だ。介護保険は老齢基礎年金から天引き、所得税は共済年金から天引き、他に「任意継続」の健康保険(月26,000円余)なども払いこむ要がある。何と言っても住民税の額を聞いて「こりゃ大変」と思った。とにかく来年6月まで生活は「緊縮財政」である。でも、食料には気をつけ、エンゲル係数が上がっても仕方なし、と考えている。

窓口の人に聞くと、年金の日(偶数月の15日が基準)は、朝から大変、という。始業前から並んでいると言う。前に生駒駅前商店街活性化プロジェクトに取り組んでいた時、偶数月15日は「大売り出し」とのことだった。駅前に銀行支店が多いからである。

今日行った銀行では、年金を振り込まれた客には花を一鉢プレゼントしていた。

サラリーマン現役時代は、家計の実態は殆ど知らなかったが、これからは勉強していく必要があると思った。

マネー資本主義(NHKスペシャルより)より考える

2009-06-14 | 時論、雑感
実体経済に対して「金融経済」とも言うべき「マネー資本主義」が今、問題になっている。こういう生々しい実態も考えていきたい。そして、どう規制したらいいのかも考えていきたい。全くの「素人」だが一市民として「知ろうと」して・・・。

で、NHKスペシャルで3回まで見た。 第1回は、“暴走”はなぜ止められなかったのか~アメリカ投資銀行の興亡~  である。

NHKオンラインの「紹介」によると

「金融危機はなぜ起きたのか。巨大マネーはどのように膨張していったのか。マネー資本主義の主役として批判の的となっているのが、リーマンショックを起こした当事者でもある「投資銀行」である。

かつて企業への財務アドバイザー部門が中心だった投資銀行は、1970年以降の規制緩和と金融資本の膨張を背景に債券市場という新たな場で、次々と新手の金融商品や取引手法を編み出し、金融の枠組みそのものを変えていった。ソロモンブラザーズをはじめ、伝説的な企業が攻防を繰り返しながら、アメリカ経済、ひいては世界経済を牽引する回路を作り上げていく。「超レバレッジ」「莫大な成功報酬」「リスク管理の限界」など、サブプライム・ローンにつながる巨大なリスクを、投資銀行が激しい競争を繰り広げる中で自ら抱え込んでいったのである。投資銀行を変質させ、最後には破たんにまで追い詰めたターニングポイントはどこにあったのか。いま、その当事者たちが沈黙を破り、真相を語り始めた。

数々のヘッジファンドの産みの親となり、歴代アメリカ財務長官を輩出、バブル経済のけん引力となって最後は業界ごと消滅する「投資銀行」の劇的な攻防を描いていく。」とある。

そして第2回は、 “超金余り”はなぜ起きたのか?~カリスマ指導者たちの誤算~ である。  「紹介」によると「空前の規模で世界を襲った今回の金融危機。その原因は膨大なマネーが世界に溢れ、無謀な投資を可能にしたことだとされる。この「超・金余り」をもたらしたと今、厳しく批判されているのがアメリカの政策だ。グリーンスパン前FRB議長(連邦準備制度理事会 中央銀行総裁に相当)や、ルービン元財務長官らカリスマ的指導者を擁し、世界の金融界をリードし続けたアメリカの金融当局。彼らの政策の何が問題だったのか?それはどのように決定されたのか?政府中枢の意志決定の過程を、関係者の証言で検証する。 また、今回はドキュメンタリー部分に加え、オリジナルドラマを交えて番組は進行する。西岡徳馬さん、富田靖子さん、金子貴俊さんらが出演、大金を拾った主婦が巻き起こす事件のドラマと、世界の金余りの謎を解き明かすリポートが絡み合いながら、このたびの金融危機と日本人との意外な関わりを明らかにしていく。」とある。

そして今夕の第3回は、年金マネーの“熱狂”はなぜ起きたのか  である。
 「紹介」によると、「 なぜ、世界のマネーはこれほどまでに肥大化し、バブル崩壊まで突き進んだのか。そのことを語る時はずせないのが、私たちの老後の備え「年金基金」の存在である。日本を含む世界中の年金基金がバブルに巻き込まれ、去年秋の金融危機で大きな打撃を受けた。

かつては国債など手堅い投資のみを行っていた年金基金が、リスクをとっても高い利回りを得ようと株などへの投資に乗り出したのは1980年代。先陣をきったのは世界最大の公的年金基金とされるカルパース(米カリフォルニア州職員退職年金基金)だった。先進国の経済成長が鈍化する中、常識を打ち破らなければ明日はないと、激しい議論の末、積極投資戦略への転換に踏み出した。これを後押ししたのはウォール街。年金という巨大マネーを呼び込むことは、市場に大きなインパクトを与えた。2000年のITバブル崩壊後、年金基金はヘッジファンドなどとのつながりをさらに深め、マネー資本主義の主役の一角を担っていくことになる。

アメリカや日本の年金基金やヘッジファンドへ徹底取材をもとに、私たちの年金がいかに「マネーがマネーを生み出す仕組み」に頼ってきたのかを描きながら、今後私たちはマネーとどう付き合っていくべきなのかを考えていく。」とある。

全体を通じて思うのは、資本主義の「レッセ・フェール(laissez-faire)」(市場の自由-自由放任主義ーこそ「神の手」である)という「信仰」を捨てるべきであるということだ。オバマ大統領のやっていることは、正に自由放任主義の資本主義を見直して「規制」ある資本主義に舵を切ったのではないか。

日本でも、例えば日本共産党は「ルールある資本主義」と言い出している。えー、と驚きである。http://www.jcp.or.jp/seisaku/2008/20080925_senkyo-seisaku-mokuji.html

日本共産党では、当面、資本主義を認めて、市場経済も認めて、それをコントロールするのが当面の目標という。なら「やってみてよ」と言いたい。しかし、今の勢力では無理に違いない。国会議員50名ほどになれば面白い、と思うのだが・・・。

(私が、日本の共産党を評価し、期待すること:上に書いたように資本主義の枠内で「よりよい」政治経済を追及していること、政党助成金は一銭も受け取っていないこと、ソ連を社会主義ではなく「覇権主義」と断定していること、消費税を上げずに財政再建するとしていること、独自の自主的外交政策ー例えば千島全体が本来の日本領土としていることーを持っていること、現憲法を天皇条項を含めて護るとしていること等々) 

これらは、多くの国民は知らないのではないか。私は、各政党の政策をネットで検索して「発見」した。

この「マネー資本主義」を資本主義の枠内で日本の共産党は、どうコントロールするのかみてみたい。

また、最近、オバマ大統領が長期的には核兵器をなくしていくのが、唯一、原爆を投下した国の責務だ、と米国大統領として初めて言った。これに日本で呼応したのは、いまのところ日本共産党だけである。正に機敏な対応と思う。