西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

信州大・山澤清人学長の入学式式辞より・・・生活空間研究の視点よりの一展開・・・

2015-04-08 | 地域居住学
昨日(2015年4月7日)にネットを見ていて(「朝日」デジタル)信州大学の山澤清人学長の入学式辞が目に留まった。以下、その式辞の一部関心部分を如何に引用する。これは、今日(2015年4月8日)の「天声人語」にも触れられている。

「・・・大学での勉強と生活の仕方を変えなければなりません。

 その理由をお話しましょう。創造性を育てるうえで、特に、心がけなければならないことは、時間的、心理的な「ゆとり」を持つこと、ものごとにとらわれ過ぎないこと、豊か過ぎないこと、飽食でないことなどが挙げられます。

 自らで考えることにじっくり時間をかけること、そして時間的にも心理的にもゆったりとすることが最も大切となります。

 子供の頃をちょっと思い出して下さい。子供の頃は、例えば、夏休みがゆっくり過ぎていたと感じませんか。大人になると、忙しさで、時間は走馬灯のように速く過ぎていきます。脳科学者のDavid Eagleman(デイウィッド イーグルマン)さんは「記憶が詳細なほど、その瞬間は長く感じられる。しかし、周りの世界が見慣れたものになってくると、脳が取り込む情報量は少なくて済み、時間が速く過ぎ去っていくように感じられる」と言っています。

 自分の時間を有効に使うために、自力で時の流れを遅くする必要があります。

 そのために五つの方策が提案されていることは良く知られています。

 一、学び続けること。新しい経験が得られて、時間感覚がゆっくりとなる。

 二、新しい場所を訪ねる。定期的に新しい環境に脳をさらす。

 三、新しい人に会う。他人とのコミュニケーションは脳を刺激する。

 四、新しいことを始める。新しい活動への挑戦。

 五、感動を多くする。」


これはじっくり味わいたい。

じっくり、それこそ「余裕」をもって味わい考えたいポイントだ。そのうち、「二、新しい場所を訪ねる。定期的に新しい環境に脳をさらす。」について、少し突っ込んで考えてみたい。

・新しい場所(空間)を訪ねれば、当然、五感全体を緊張させてその場所(空間)をじっくり観察し、特徴をつかみ、自分との距離、関係性を位置づけて、ひとまず「安定」をさせる。じっくりいかない場合でも、一寸した事にも気を配り素早く認識・記憶して後でその「情報」を吐き出して整理する。
 まあ新しい所に行く時に、観光の場合でいうと、事前予習していく場合、現場に行っても「そうだ、そうだ」となって「新しい認識」が得にくい場合がある。言ってみれば「さっと」通り過ぎる感じとなる。
 そういう場合、良く予習した場合でも、仮に何度でも行っている所でも「新しい問題意識」があれば、「古い場所」でも「新しい場所、空間」と認識しうるのである。
・「定期的に新しい環境に脳をさらす」とは、文字通り「新しい環境に身を置いて観察、認識する」ということの他に「古い環境」でも「新しい環境」と思えるように認識する、ということではなかろうか。何度でも行っている場所の認識は、普通は記憶として(脳容量からも?)省略される傾向があるといえよう。