西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

『水俣レクイエム』のことー一つの原点ー

2009-05-30 | 京都の思い出(助手時代)
昨日、京大助手時代(1970年~1974年)に一緒に水俣に調査研究と住宅設計のために行った当時大学院生だった山川元志さん(現在、「家基都」主宰http://www.mukugi.com/kinomi54.htm)が、当時の話を思い出させる話をされたので、その後、当時一緒に科研費等で共同調査研究をしていた宮本憲一先生(当時、大阪市大教授、その後、滋賀大学長等歴任)の編集になる『水俣レクイエム』(岩波書店刊)について、少し記したい。

1994年の年末に九州大学名誉教授の青木正夫先生(故人)から手紙が来て「『西日本新聞』にあなたのことが載っていたのでコピー同封する。」とのことだった。

1994年12月7日号の一面下欄(春秋)(『朝日』の天声人語に似ている)に確かに私のことが書いてあった。

「若くして亡くなった水俣病患者の佐々木つた子さんの歌集『水俣レクイエム』が出た。住環境学の西村一朗・奈良女子大教授が患者と住まいと歌との関係について一文を寄せている。住宅のあり方を考えさせるものがある

▼西村教授は佐々木さんのために住宅を設計した。水俣市内には一時、補償金で豪華な御殿のような住宅が次々と建った。せめて家でも立派に、という気持ちは分かるが、豪華さが住みよさを生むわけではない

▼そう考えた西村教授は佐々木さんの闘病生活を第一に、窓やバルコニーを通して外界との交流が実感できるような家にした。住まいは体の不自由な患者にとって、いわば小宇宙だからだ。そこで森羅万象を感じ取らねばならない

▼「朝床に目覚めて見おり窓越しに重盤岩に立てる日の丸」「しずく垂る梅の木下のしめり地を猫はしずかにふみてとおりぬ」「窓あくれば真向かいの山の美しさ夕陽あびたるはぜが眼にしむ」「朝あけに新聞配れる少年は鼻唄やめぬ顔洗う吾(あ)を見て」

▼患者の感性は移りゆく自然や環境に対して普通の人よりも敏感だ。はたして今の病院や住宅はそういうことへの配慮が十分だろうか。人は自分を生みだした環境に過不足なく囲まれて安らぎを得る

▼現実には、とくに過密都市では「ウサギ小屋」といわれるほど住環境は劣悪だ。水俣病患者に限らず「住まいは家族生活という”ドラマ”が演じられる”基本舞台”でなければならない」と西村教授は言う。」

佐々木さんの住宅については、私と山川さんとで基本計画を立て、実施設計をしたのは山川さんだ。山川さんは、その後たくさんの住宅設計や改修に携わっているが恐らく、この設計が最初ではないかと思う。

私が、その後、住宅計画に当たって「地域の人々とのつながり」「環境とのつながり」そして自分史を含め「歴史とのつながり」をきちんと配慮することが大切、という考え方を提起確立したが、それへの第一歩が水俣病患者の住宅問題への取り組みだった。

パリのこと一二

2009-05-27 | 訪問場所・調査地
「花の都」パリには、私は過去4,5回行っている。

昨日、bshiテレビで「フランス縦断の旅」(再放送)をやっていたので見た。

それで心に残ったこと一二メモしておく。セーヌ川を船でエッフェル塔の辺りからシテ島のノートルダム大聖堂まで行く途中、「ポン・ヌフ」橋というのがある。意味は「新しい橋」だが、「パリで一番古い橋だ」という。

これは、どういうことかと言うと、それまでの橋は、橋の上の両側に建物を造っていて橋の上からセーヌの川面が見えなかったのだが、この橋から、それらの建物を取り払って橋からセーヌが見えるようになったのだ。だから「ポン・ヌフ」(新しい橋)なのである。(1604年完成)

それ以来、他の橋も見習って建物を取り払った結果、「ポン・ヌフ」橋が一番古い橋になってしまったのだ。

もう一つ、パリの発祥の地は、シテ島である。今でもパリ20区の第1区である。シテ島のノートルダム大聖堂の前にフランス各地までの距離を測る原点がある。お江戸日本橋のような所でもあるのだ。
そこからエスカルゴのように渦巻き状に外側に三重に伸び第20区まである。

都市を「渦巻き状」に展開するのは面白い。パリで活躍したル・コルビュジェは「永久に成長するまち」を「渦巻き状」に考えていたようだ。


言語エラー

2009-05-25 | 言語・字・言語遊戯
今日、妻と「高血圧は降圧剤で抑え込むのではなく、食い物を替えて血管をしなやかにする方が良い」と話していた。

で、明日の天気は、とテレビを見ると、高気圧が本州のど真ん中にあって、一日中晴れの予測である。

私は妻に言った。「明日は高血圧で晴れるから洗濯日和らしいよ」と。
妻「うん、?、何それ?」

高気圧を高血圧と言ってしまった「言語エラー」である。こういうのもエイジングと関係あるのかな。

私のしごと館の経営と住民の思い

2009-05-24 | けいはんな学研都市マター
私の住む「けいはんな学研都市」に「私のしごと館」という三つのこと、すなわち40~50位の職種の「しごと体験」が出来、さらに多くの「しごと情報」が検索でき、自分の望む「しごと適性検査」が出来る日本唯一の施設がある。

この施設は渡辺行革相、茂木行革相が一寸見ただけで、「税金の無駄使いだから廃止の方向」みたいなことをマスコミに言ったものだから、そういう「流れ」が出来てしまい、「廃止」に追い込まれつつある。

たしかに、全国には中央官僚の天下り受け皿のみのような無駄な施設もある。「私のしごと館」がそれらと同じだと言うのだろうか。

一二の大臣の発言や一部のマスコミに惑わされてはいけない、と思う。

今日、私のしごと館で市民、住民が主体の「けいはんなのまちづくりを考える会」(代表:杉原五郎さん)主催で、「地域・住民の視点から。私のしごと館問題を考える市民フォーラム」が当の私の仕事館で午後13時から16時半まで開かれた。参加者は報道も含めて120人ほどと言う。

私は私のしごと館に来たのは4回目位だ。初めは一人でざっと見た。2回目は三人の孫(中1、小2、2歳)である。3回目は、このフォーラムの前に下見に来た。

で、今日は13時から館の見学、約40分で館の係の説明をききつつ回った。係の説明では、先にあげた「しごと体験」「しごと情報」そして「しごと適性検査」をするには3時間かかると言う。私は前に来た時には、予約もしていなかったので「しごと体験」が出来なかったが、今日も時間不足だったが、子どもたちがしごと体験している現場をガラス越しに何カ所も見た。皆イキイキ取り組んでいるようだった。

この見学の最後に「来た大臣はどの程度見て回ったのか」という質問があった。答えは「まあ1時間ちょい・・・」私は「国会議員はどうか」と聞いた。答えは「ほとんど来ていない、来られたらじっくり対応するのに・・。」

今日のフォーラムには国会議員一人、別の議員秘書一人が来ていたが、とにかく少ない。この原因の一つが後で分かった。それは、この私のしごと館は国会議論をしなければいけない一般財源での施設ではなく、最近「埋蔵金」などと言われている政府「直轄」ともいうべき特定財源での施設であるからだ。

14時からのフォーラムでは、主催者代表の杉原五郎さんが、今までの経過と問題提起をされた。情報 今まで用地取得費、建築工事費、造成設計費の計で580億円ほど出費、平成19年度の収支:収入・・・運営費交付金(独立行政法人に交付)12.9億円、自己収入 1.7億円 支出・・・人件費等14.6億円

平成20年9月より運営を指定管理者として(株)コングレに委託、

その社長も今日のフォーラムに参加されていて実情に即する分析や意見を言われた。関連記事:「産経新聞」http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080921/biz0809211918001-n1.htm

パネルディスカッション:パネリストは住民3人:斎藤恵彦さん(精華町住民、保育所理事長、自治会長歴任)、木戸明美さん(主婦、3人の中高生の母親、木津川市在住、主催者の事務局担当)、吉田秀子さん(npo働きたいおんなたちのネットワーク理事長、宇治市在住) 行政代表2人:木村 要精華町長、河井規子木津川市長 教育者代表:井上 総さん(前木津川市立木津第二中学校長)、石黒典男さん(元大阪府立白菊高校校長) 司会が藤田 忍さん(「考える会」副代表、大阪市立大学大学院教授)だった。

全体として、小中高生の「キャリア教育」の上で我が国唯一の施設だから大事にすべし、という意見が大半だった。

フロアから私は「けいはんな市民雑学大学」代表として指名され感じた意見を述べた。(ここで増補リファインしている)一言で言えば、全省庁で取り組むべし、一つは厚労省(更に言えば旧労働省)のみであれこれやるのではなく「キャリア教育が大事」と言うなら文科省が、京都、奈良、大阪あたりに来る修学旅行に補助金を出したりして3時間だけ私のしごと館体験見学を組み込むよう指導すること。これが出来れば小中高各学年100万人以上の児童生徒がいるのだから小中高で各校で1回づつくるとすれば全部来て300万人、仮に2割として今の倍の60万人が年間入場する。運営交付金6億円から減らしても十分黒字になる。

もう一つは、各省庁は様々なしごとにかかわっている。農林漁業のしごとだったら農林水産省、建築・土木・造園のしごとだったら国交省、大使などのしごとだったら外務省、npoボランティア主婦だったら総務省や内閣府・・・である。各省庁も私のしごと館を応援すべき根拠があるのだ。

記念公園の人もリピーターを増やす努力・工夫を言われた。

コングレの社長・隈崎守臣さんの発言が圧巻だった。要約すると「これの運営を引き受けることになった時、「運営費交付金」のような政府支出年間6億円とそれ以前の半分で運営できれば「節約」になっているし、国民的役割からいってオーケーだったのに行革大臣が変なこというものだから、全国の学校からの予約が落ちて年間30万人も危なくなっている。まあ増やす算段もしているが・・・」、と言われた。

お手並み拝見である。また、「ここには200人の地元雇用があり、今、雇用問題が最重要になっているのに、リストラするの?という問題もある」更に「ここにはキッズアニアと違って本物の物、本ものの者があり、いる。土地建物だけでなくそういうものも含めての私のしごと館なんですよ、廃止したら積み上げてきた貴重なノウハウが一気に奪われるのですよ」また、「これがあることで交通などのインフラも維持できる」とも言われた。

精華町長や木津川市長には、「検討会でも森永卓郎さんのような支持者がいる。」「厚労省だけでなく文科省も引き込むべし」との発言があった。

終わって来ていた一国会議員と喋った「厚生労働委員、文部科学委員」とのことだ。今日は、厚労省の役人も文科省の役人も来ていなかったようだ。帰ったら地元の熱い思いを両省に伝えるとのことだ。

まあ後から考えると、「関西文化学術研究都市」なので文化活動のしごと、学術研究のしごと(今年の調査で男子のなりたいものに野球選手とともに学者・博士というのもあった)ともリンクしたら良いと思った。近くに様々な研究施設、大学もあるのだから業務に大きな「迷惑」にならない範囲で子供達を受け入れてもらう。その結節点にこの私のしごと館があるという位置づけだ。

読まれた皆さん、是非ご自分のブログにリンク(転載含む)していただき使えるメーリングリストでも発信して頂きたい。お願いします。




大学教授殺害と20歳代の教え子

2009-05-22 | 時論、雑感
今日、中央大学理工学部教授(45歳)を殺害した教え子(28歳)が逮捕された。動機がまだ分かっていない。だが、とにかく教授の爪の間に残っていた皮膚の残骸より明らかになったDNAが容疑者のDNAと一致したのが逮捕の決め手であった。

殺害の現場で教授は抵抗し容疑者の皮膚を引っ掻いたのだ。

動機はどういうことだろうか、知りたいものだ。

少し関連話題に移るが、先ごろテレビで見て聞いた「爆問学問」で、進化生物学者の長谷川眞理子さんが、何と最近は「殺人の研究」をしているのだ、と言う。

で、先ず殺人の男女別・年齢別統計を見せている。それによると、男女別では男性の殺人が圧倒的に多い。年齢的には20歳代が圧倒的に多い。教授の殺人容疑者も20歳代である。

これは何故か、であるが、男・男の競争・闘争が基本にある。つまり、子孫を残すべき女の取り合いである。動物のオスには角や牙が備わっていてオス同士がメスを取り合って闘うのである。「男はつらいよ」である。

しかし、人間は社会的動物だ。戦後の経年的統計では殺人は激減している。それは、終身雇用、年功序列によって格差の少ない社会になってきたからだ、と言う。

だが、また最近になって終身雇用、年功序列が崩れてきてストレスが増えた結果、殺人が増える傾向にあると言う。

どういう社会システムが殺人や自殺を抑制するのだろうか。

分子生物学者のウイルス認識

2009-05-22 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
最近、分子生物学者・福岡伸一さんの『動的平衡』Dynamic Equilibriumという本を読みつつある。

色々示唆に富んだ本で、何かと刺激になるが、現在も問題のウイルス認識についても示唆に富んでいると思う。以下引用

「ここ数年、ニュースで世間を騒がせる病気に鳥インフルエンザというのがある。鳥が罹る風邪なのに、ヒトにもうつってくる可能性があるのだ。・・・、病原体は「種の壁」を超えないのが原則なのだが、超えてくる連中がいるのである。

インフルエンザ・ウイルスの生存戦略はなかなか大胆で巧妙だ。彼らは(細胞に入り込む鍵穴に合う)鍵をつくりかえることができる。いわば「鍵師」なのである。そして、彼らは常に鍵をあれこれかえてみる実験を繰り返している。鍵をかえることによって、新たな宿主に取り付けるようになるのである。

鍵だけでなく、自分たちが身にまとっているコートを少しずつかえている。コートというのは、、ウイルスの本体であるDNA(核酸)を包んでいる殻(タンパク質)のこと。そして、コートを着がえるのは、それによって変装し、ワクチンが効かなくなるようにしているのだ。

ワクチンは、、ウイルスの殻に結合して、これを無毒化する抗体なので、抗体が殻と結合できなくなると、その効力を発揮することができない。同じインフルエンザでも、一昨年と昨年、昨年と今年で、流行するタイプが異なると(コートを着がえられてしまうと)、もう同じワクチンは効かなくなってしまうのである。

インフルエンザ・ウイルスは増殖するスピードがとても速いので、増殖するたびに少しずつ、鍵やコートの形をかえることができる。

それがうまく働くには、近くにそれを試すための新しい宿主がより多く存在することが好都合だ。大量のニワトリを一カ所で閉鎖的に飼うような近代畜産のありかたは、インフルエンザ・ウイルスに、進化のための恰好な実験場を提供しているようなものである。

まったく同じことは、好んで大都市にすむ私たちヒトについても言える。都会はウイルスにとって天国のようなところなのだ。こうして彼らは少しずつ姿かたちをかえて、宿主と「共存共栄」している。(194-195頁)

今回は、豚から始まって「都会」にきている。日本でも「田舎」はまだ免れている。大地震等の大災害、毎年のようなウイルス(インフルエンザ)攻撃を避けるためには、もうすこし散在居住を考え、実行していかないと、強力な「波」が来た場合、大変なことになりかねない。

過去ブログ:ウイルス関係:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/be829c3fcb41130f11b98423878cae69

ここには宇宙人Copernicusさんの詳しいコメントもあり、参考になりますよ。

酵素の消化・再構成と遠赤調理

2009-05-21 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
昨年の5月に近所の「健康調理教室」に通いだして約1年が経った。

ここのレシピの基本は「玄米菜食」である。しかし、凝り固まっている訳ではなく魚や貝、卵も使っている。今日も鰹の豆腐ハンバーグを食べた。まあ、牛乳については「批判的」で、かわりに豆乳を使っている。

で、その食材、調理等を通じて「自然農」のこと、「予防医学」のこと、「食育」のことも自然と学習している。

で、疑問に思うことも色々議論しあうのも良い。

最近、私は、酵素の重要性、それらの生成について関心をもっていて、「酵素を含む果物などは食前に食べたほうが良い」と言われても、その根拠が今一つわからなかった。これについては、別の関心から福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)を読んで次のような解説に会い「そうなのか」と思った。

「生物は、その消化プロセスにおいて、タンパク質にせよ、炭水化物にせよ、有機高分子に含まれているはずの秩序をことごとく分解し、そこに含まれる情報をむざむざ捨ててから吸収しているのである。なぜなら、その秩序とは、他の生物の情報であったものであり、自分自身にとってはノイズになりうるものだからである。」(150頁)

これで外から生に酵素は体内に取り込めない、一旦、腸でアミノ酸等に分解されてから吸収され必要な諸酵素に再構成されるのだ、と理解した。(従って、食前に果物を食べなくても伝統的デザートのように後でも一向構わないのでは・・・、と思うのだが・・・)

もう一つ、IH調理器の批判と遠赤(遠赤外線)調理器の効用を言われているが、その根拠も今ひとつ「ストン」と理解が出来なくて勉強中である。

このようにして、自分の持つ関心からの疑問は、何としても解こうと思うので、少し難しい『生命科学』『生理学』などの本にも取り組んでいる。これぞ、自分にとっての生涯学習である。

奈良女子大の創立百周年パーティに行く

2009-05-16 | 奈良・精華町の思い出(教授時代)関連続き
今日、奈良女子大学の創立百周年パーティ等で奈良ホテルに行った。

記念式典では、野口誠之学長、文部科学事務次官の銭谷眞美さん、京大総長の松本 紘さん(代読:稲葉カヨ理事補)の挨拶で、皆、2000年11月に制定した奈良女子大学の四つの理念を引用していた。これは、学長が丹羽雅子さんで、私が副学長の時に「まとめ役」としてまとめたものである。http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/cb8c7e6d8d30e971342ecd814e6ab7f9

多分、この理念は21世紀を通じて有効に働くと確信している。

祝賀会では、色々な人に会って駄弁った。
・和田悟朗さん(名誉教授、理学部、現在は俳人で有名)・・・俳句は理科系が得意のはず、という。理由は、俳句でいう観察、写生は文科系より理科系の態度である、とのことだ。そういえば東大の元学長の有馬朗人さんも理科系で俳人だ。

・荒井正吾さん(奈良県知事、奈良女子大学付属高校卒、東大法学部卒)・・・「けいはんな学研都市」は、京都府の山田知事が相対的に熱心のようだが、奈良県も奈良市、生駒市が含まれるのだから、是非、21世紀は熱心にやってほしい、と言っておいた。・・・そのほか大勢。

ILO条約批准後進国・日本

2009-05-14 | 時論、雑感
国際労働基準ーILO条約・勧告ーを批准、受け入れでは、日本は「後進国」のようだ。今朝のテレビやラジオの解説では、今日、政府、労働者、経営者、有識者で、どのように批准率をあげていくのか、話し合いがあるようだ。是非、急速に「先進国」になってほしい。

とにかくILO条約188のうち日本が批准しているのは48に過ぎず、労働時間関係では17のうちゼロという「後進性」を示している。

労働時間1日8時間の国際基準はいいとして残業については、国際的には緊急やむをえない場合、となっているようだが、日本では労使協定があれば「合法」となる構造だ。ためにドイツと比べても年に480時間も労働時間が多い。

また有給休暇の「消化率」も日本は極めて低い。正規に働き出して何年かすると年20日の有給休暇が与えられるが、取らないでおくと次年度に加算されていって年40日にまでなる。

日本の場合、病休についても規定が弱く、いざというとき、この有給休暇を取ろうと「温存」する構造かな。ヨーロッパでは、「有給休暇の消化率」という言葉すらなく100%取るのが当たり前という。

こういう風だから日本では過労死とか過労病が深刻な問題となるのだ。これを放っておいて「国際競争力」を言うのは、国際的ルール違反であるだろう。残業、有給休暇を国際基準にするならば、雇用も増え、正規労働も増えていき、ワーク、ライフのバランスが取れて、健康も増進される正に名実とも先進国に仲間入りすることになるのではなかろうか。

参考ILO条約・勧告:http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/list.htm

ゴールが見えると力が落ちるー人生でも・・・-

2009-05-13 | 色々な仮説や疑問
昨夜、NHKTVクローズアップ現代で、水泳競技と脳科学の話があった。例えば、200㍍平泳ぎで、150㍍ターンを終わると、後50㍍、ここで泳者が「もうすぐゴールだ」と思うと、脳から筋肉への指令が「弛緩」すると言う。そのためスピードが落ちて「結果」が出せない。そこで、200㍍を泳ぎきって振り返って掲示板を見るまで競技は終わらない、と「脳」に言い聞かせて北京オリンピックを戦い、北島康介選手は見事金メダルに輝いた。

関連ブログ:http://blog.goo.ne.jp/in0626/s/%CA%BF%B1%CB%A4%AE

聞いていて、これは人生でも同じかな、と思った。まあ、もうぼちぼち「迎えかな」と思った途端に、急に「人生力」が衰えるのではないか。では、どのように「人生目標」を立てたら良いのだろうか。「リタイア・パーソン」の創造的課題の一つである。

ジャック・アタリ氏の緊急インタビューを見る

2009-05-10 | 時論、雑感
今朝、NHKTVでフランスのジャック・アタリ氏の1時間半の長時間インタビュー番組を見た。前半は、今回のアメリカ発のグローバルな金融危機に関する論評、アタリ氏は2005年頃から今日の「危険」を予測していたようで、正に「当たり」である。後半は、アタリ氏が予測する21世紀の五つの大波について、で、うまく乗り切らないと人類に22世紀はないのでは・・・、と言っている。

前半で、「ほほー」と思ったのは、資本主義は、ヨーロッパのブルージュで始まり、ベネチア、アントワープ、ジェノバ、アムステルダムとベネルックス諸国とイタリアとの間で交互に中心都市が変わり、そのあと19世紀にロンドンに行って、イギリスが世界的帝国となり、そのあとアメリカのボストン、ニューヨークと行って、今はバイオとかITとかの集積地のロサンジェルスが中心と言う。(21世紀、どこに中心が行くか、東京を飛び越え上海に行くかインド方面に行くか、も難しい、という。私注:資本主義以前の古代文明から現在までの世界中心を考えると、まあエジプト、ギリシャ、ローマ、欧州大陸、イギリス、アメリカとなる。西へ西へと回っている。この伝だと次に日本、中国ときてもおかしくないが・・・。)

で、今回のグローバルな金融危機事態は、1989年のベルリンの壁崩壊から始まるという。当時、アタリ氏はフランスのミッテラン大統領の補佐官、アメリカのブッシュ大統領(お父さんの方)からミッテラン大統領にメッセージが来て「ベルリンの壁は崩壊したが、東西ドイツが統一するのは、ずっと先・・・」と。アメリカも事態の進展を読み違えていたことになる。そこから、世界は、市場経済一色となる。

各資本は、グローバル市場を目指し、特に金融ではグローバル取引が活発になった。ところが、グローバル市場ルールや規制主体が形成されなかった。そこから、アメリカの金融ファンドは「おかしい」と思っても、自分がやらないと競争者に利益を持っていかれると思い、危険な道に「突っ込んだ」のだ。

1990年代から、アメリカは世界に対して、グローバル市場と個人主義、小さな政府を「押し付けた」、(これに小泉政権等も「乗っかったのだ」、竹中平蔵等もそうであろう。中谷 巌は「懺悔」している)、しかし、アメリカ自体は巨大な軍隊をもつ赤字の「大きな政府」を維持、言っていることとやっていることが矛盾している。

さて、後半の「21世紀の五つの波」について、
①アメリカ支配の崩壊、アメリカの世界からの撤退の波。すでに始まっている。アメリカ自体は、国内のインフラ整備、保護主義、赤字解消等で大変で、世界を構う余裕がない。(しかし、2020~2030年位までかかるかな・・・。その間、日本はどうするの、日米軍事同盟にしがみついていられるかな・・・)

②多極型秩序の波   G8とかG20とかによる秩序である。しかし、「調整」では、長続きしない。

③グローバル資本による「超帝国」の波  不満をそらす「エンターテインメント」と経済的セーフティネットとしての「保険」が重要となる。「安全性」確保のため物に対する「監視」が厳しくなる。

④「超紛争」の波  今の地域紛争をはるかに越えた「超紛争」が頻発する。

⑤「超民主主義」  キーワード:ノマド(nomads遊動民) 人類は5千年前まで定住民ではなく、nomadsだった。今後、国境を越えたnomadsが大きな勢力になるのでは・・・、エリートノマド1千万~51千万、下層ノマド30億人、バーチャルノマドその他我々大多数。この時の思想は、博愛主義に基づく利他主義。

これを聞いて、うーんやっぱりキリスト教徒のフランス人だな、と思った。
愛に基づく利他主義は、キリスト教そのものだ。又、博愛主義は、フランス革命時の旗印「自由、平等、博愛」(三色旗)の一つである。自由、平等は、分かりやすく追求されてきたが、博愛は中々実行されない。アタリ氏自身、マイクロ・ファイナンスという無担保融資も含めた「金融実践」を国境を越えて実践していて、実績を持っている。

で、ここで国家はどうなっているのか、どう協力して規制するのか、国連はどう変貌しているのか、変貌させるべきか等々、困難な問題が色々ある。

今や、インフルエンザ問題、国際金融問題、地球環境問題等、一国では手に負えない問題が色々あることが身にしみて分かってきた時代である。「国境なき利他主義の世界市民」が重要な時代、その時、「草の根地域」では何をどうしたらいいのだろうか。


住む、棲むそして澄む

2009-05-09 | 住まい・建築と庭
過去の「住むと棲む」のマイブログ:http://blog.goo.ne.jp/in0626/s/%C0%B3%A4%E0

今日、ある研究会で、自宅でシロアリ対策の工事をする話をしたついでに、人間以外の動物が家に「棲む」ことについても話をした。家は、「人が主」と書く「住む」ものであるだけでなく、他の動物も寄り付き「棲む」ものでもある、と。

ペットの犬や猫は身近に見える事例も多く分かりやすい。

燕やヤモリも家に寄りつくが、それは子育ての巣をつくったり、家に群がる小さな虫を餌にするためだ。燕は、人間が身近にいると、例えば蛇などから子供を守れると知っている。

人間にとってひどい害はないが、糞が頭や洗濯物にかかるのは迷惑だ。

そして、最後は「澄む」である。「明窓浄机」の間に端座して「瞑想」するのは「常軌」を逸する訳でなく、確かに心が「澄む」ことに通じるのではないか。

「すまい」を考えるとき、表面的に人間の住むだけでなく、身近な動植物と棲むこと、そして体が楽なだけでなく、心が澄むことまで考えに入れることが大切だ。

小城勝相さんの講義(ビタミンとミネラル)を聞く

2009-05-06 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
今日、放送大学で「健康と食物」シリーズで小城勝相さん(客員教授、奈良女子大学教授)の「ビタミンとミネラル」の講義を聞いた。

小城さんは緊張して講義、化学式を連ねる講義、私は殆ど分からない。

小城さんは最近ビタミン学会の賞を貰ったようだ。「おめでとう」ですね。

先ずビタミンの話、ビタミンBから始まって、E,C,A,DそしてKだ。ミネラルとしてもSe(セレン)まで多様にある。

今後、小城さんには、普通の日本語で日本人誰にでも分かるように説明してもらいたいと切に思った。

推理小説家・内田康夫さんの進化

2009-05-04 | 生活描写と読書・観劇等の文化
夕方、ラジオ第二放送で内田康夫さんの講演「47年の助走」というのを聞いた。

人生47年の体験(助走)を経て推理作家になった「奥手作家」の経験談で面白かった。昭和9年(1934年)生まれなので今74歳かな。

著書は150冊以上(一億部以上)世に出している。
内田康夫作品リスト:http://homepage2.nifty.com/aoi-rumi/list.files/list01.htm

内田さんは自らの経験を反芻して、確かに「進化してきた」と思う、と述べた。

第一、小説の題の付け方からして、「進化」している。最初は、とにかく「・・・殺人事件」であり、・・・の所には、伝説および「ご当地」を入れる。読者は、伝説と聞くと読んだみたいと思う、全国あちこちの「ご当地」を出せば旅行好きの国民性にもフィットする、と考えたとのことだ。

そのうち、何でも「殺人事件」というのは安易な題の付け方だ、との批評があり、それでは、と「奇麗な題」にしたとのことだ。

第二に、色々と書いていると、一種の「予言」をして当たることがある、例えば奈良の箸塚古墳の横の○○古墳から貴重な鏡が出てきた、と書いていたら実際に出てきてびっくり、考古学の「神の手」(古い石器の存在予言と自作自演)のような話を書いたら、実際にそういう人物が出てきた、とのことだ。

第三に、エンターテインメント中心なのだが、色々な社会のからくりが分かってきて、自然と社会批判をしている。(松本清張風になっている。)でも、エンターテインメントが主眼だという。

うーん、そうなんだ、研究者も、細かいテーマも大切だが、それらを踏まえて「つながり」あるストーリーテラーにならねば、と思った。『靖国への帰還』は読んでみようと思った。

もう一つ、やってみたら面白いと思ったのは、既にこの世にいない歴史的人物に「インタビュー」した記事を想像的に、かつ創造的に書いたらどうか、ということだった。


憲法25条について

2009-05-03 | 時論、雑感
今日は憲法記念日だ。朝からテレビなどで特集などで憲法問題をやっていた。

何時もは主に憲法9条が問題になるが、最近は憲法25条も問題となっている。

憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

テレビなどによると、この「生存権」規定とも言えるものは、最初のGHQ草案にはなかったようだ。そもそも、こういう規定は、合衆国憲法にはないものだった。これを主張したのは森戸辰夫(社会党、広島大学学長、文部大臣歴任)である。森戸は、第一次世界大戦に敗れたドイツ(ワイマール共和国)に留学した折にワイマール憲法を読んでいて、そこにこの「生存権」規定があったのだ。

これは、日本国憲法が歴史的つながりを有することを示してはいるが、日本国憲法全体がアメリカから押し付けられたものではなかったことも示している。

残念ながらワイマール憲法は、1933年ナチス政権が出来て葬られて短命に終わってしまうが、日本国憲法は、どっこい60年以上もっている。

で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」それを国が保障すべしと思う。
また、「 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあるが、文化的最低限度の生活を保障する具体的内容が示されていない。また健康保障について「公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあるが、それだけでは不十分だな、と思う。

今後、色々と考えていきたい。