西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

速読と遅読

2011-11-29 | 生活描写と読書・観劇等の文化
テレビ「あさイチ」で速読と遅読のことをやっていて興味深かった。

速読は、やり方があってキッチリ訓練すれば誰でも今より数倍のスピードになる。それは「視野」が広がることでもあり、食器が「落ちて割れる」前にパッと手で受け止めるとか、素人でも150km/時スピードのボールでもバットに当てれるようになるという。

当然プロの選手も「速読術」をやれば、打率が上がるのではないか。事実プロボクサーが「速読術」の訓練をして、負けなしになったという。繰り出すパンチが全部「見えている」とのことだ。

一回試してみるかな。

一方の遅読(ちどく)も面白い。灘中・灘高(旧灘中)の名物国語教師(99歳、現在)は中学3年間のテキストに岩波文庫の『銀の匙』1冊を使い、ゆっくり脱線しつつ授業を進めたようだ。まあ本をゆっくり読めば、いたるところで引っ掛かり横道に入るのが必然だ。

確かに読みが深まるだろう。

他に何冊かを家の中の別の空間で読み進めている人もいる。研究テーマを複数並走させるのと似ている。複数の本が互いに響きあうことがありうる。

私は、ノートに写しながら複数本を遅読しようと思っている。

学習「平衡老化」(佐々木英忠著)-4

2011-11-27 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
結論的部分である。

五、非薬物療法

「認知症で、向精神薬の代わりに大脳辺縁系に心地よい刺激を五感を通して与えることによりBPSD(精神行動異常症状)は、治療でき、患者からも感謝の言葉を引き出せる方法は非薬物療法である。高齢者医療をすべて医療(薬物)でまかなうとすれば、無制限に医療費は増大しよう。しかし、非薬物療法は医療者ばかりでなく、介護者やひいては家族も実践しうる。しかも費用はほとんどかからない。(私注:五感を心地よく刺激しようとすると、それなりの費用はかかる!)
今後、科学的根拠にもとづいた非薬物療法を大いに開発する必要があろう。

 高齢者が肺炎をはじめとする多くの病気になるとき医療が必要なことは言うまでもないが、病気に到らないように、大脳辺縁系を心地よく刺激するようにする非薬物療法は、亡くなるまでの長期間も考えて、より重要な比重を持っているのではないかと考えられる。

 高齢者に非薬物療法を医療より重視することは、あきらめたのでは決してない。むしろ、効果の少ない医療で最後までがんばるのではなく、非薬物療法で大脳辺縁系を楽しませ、満足させ、平衡老化を保つ積極的治療である。

 今日の社会を見廻してみると、子供には試験を課して、点数という新皮質の良さで分別をしている。社会人になってからはお金という手段で分別される。その結果、いじめ、不登校、非正規雇用労働者、自殺など多くの問題を生じさせてきた。高齢者になっても、認知症という、誰でも生じる脳の老化、特に新皮質の良し悪しで、病気にされる。認知症は、大脳辺縁系を大切にする方法をとると、にこにこして満足した顔にすることができる。つい先頃まで、縁側で日向ぼっこをして、隣近所の人が入れ替わりお茶を飲みに来て、誰が来たかすっかり忘れても、良い日だったと過ごせる能力を持っていたのである。

 子供から高齢者まで新皮質を大切にする社会を作ってきた結果、負け組と言われる人達を生み出したばかりではなく、勝ち組もいつ失うかと不安になり、結局は両者が犠牲になってしまっていると言えよう。新皮質に主眼をおく社会は間違っていると言わざるを得ない。

六、結語

「平衡老化から考えて、道具という新皮質を大切にする社会規範ではなく、大脳辺縁系という目的を大事にする社会規範を作る必要がある。これまでは、新皮質を目的とし大脳辺縁系を軽視するあやまった方向に向かってつき進んできたのではないか。

 小さなグループを考えると、全員参加型ののグループはグループ内のいざこざという余計な紛争もなく、結局は満足の得られるグループになることは経験から言えよう。

 認知症から教えられる平衡老化から考えても、全員が満足できる社会規範が今後の方向の一つと考えられる。かって、分子生物学を専門とする研究者から、老人医療はまもなく亡くなるような人を対象とするレベルの低い学問であるから不用とまで言われたのを散見したが、分子生物学という新皮質の道具を大切にしてきたゆえの考えであったからだろう。」(

認知症のとらえ方から始まって、新皮質「一辺倒」批判、新しい社会規範の必要性まで論じるという幅広さと面白さをもつ論考だった。(最後、一寸分りにくいところもあった)

認知症は、新皮質のどうしようもない劣化から起こっていて、一方、古い起源のある旧皮質である本能や情動をつかさどる大脳辺縁系がまだ有効に作動しているとすると、そこに非薬物的に働きかけ、楽しませる方法、例えばアロマ療法(臭覚、触覚刺激)、音楽療法(聴覚刺激)、食餌療法(味覚刺激)、風景療法(なんてあるのかな、視覚刺激)、・・・などを楽しく開発・応用していったら、という展望が見えてくるが、どうであろうか。
(新皮質もなおせる、と考えられるのかどうかも大きな問題!・・・)

学習「平衡老化」(佐々木英忠著)-3

2011-11-26 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
いよいよ、この論考の中心コンセプトである「平衡老化」の話である。

四、平衡老化
・・・「認知症のように極端に新皮質が劣えても、心地よい大脳辺縁系への刺激が入れば、にっこりほほえんで暮らすことができる。実際、いくら寝たきりになっても満足した表情をうかべる要介護高齢者は多くみかけられる。・・・手段である新皮質と身体機能に見合った大脳辺縁系の目的があれば、満足が得られると言えよう。

 若い人は新皮質と臓器障害もなく、かがやかしい(新皮質的な)目的をかかげてつき進むことができる。加齢と共に新皮質機能も劣え、臓器障害が出てきたときに、これらの手段に見合った大脳辺縁系の目的という平衡老化(Balanced aging)が目標であれば、いくら手段が劣えても満足が得られよう。

 平衡老化は身体障害があろうがなかろうが無関係で、成功老化を達成した人でも、失敗老化と考えられる達成しなかった人でも、すべての人が満足が得られる概念である。

高齢者は若い人のように心身共に健康であることが(で、ではないか)生活の質(QOL Quality of Life)が高いのではなく、例え寝たきりでも、大脳辺縁系のささやかな満足が得られれば、にっこりほほえんで暮らせることから、平衡老化を保つことでQOLが高いと言えよう。認知症という極端な例をみると新皮質が劣っていることは大事なことではなく、むしろ、大脳辺縁系がQOLを決めている。

 高齢者の医療費の増大が懸念されているが、若い人は病気をしないし、高齢者になって初めて病気になるのであるから、医療費が高齢者に多く消費されているのが現状である。しかし、高齢者では医療(病気?!)は難治性で、いったん治療してもすぐ再発する。臓器ごとに多臓器障害を治療しても、肝心の本人のQOLはどこかへいってしまい、病気は治ったが、長期入院で寝たきりになってしまった、あるいは専門科からたらい廻しされるなど、高齢者医療は患者と医療者双方にとってはがゆいものになっている。

 せめて、多臓器障害はすべての臓器間で因果関係があり、一元病因的に説明できると考え、多彩な症状のどこにピットホール(私注:つぼ)があるかをつきとめ、必要最小限の薬で治療することが望まれよう。(私注:多臓器障害には、一つの「つぼ」原因があり、それを治療すれば全体の治療になるという構想)それには老年科のような独立した診療科が必要と考えられる。

 平衡老化から考えて、大脳辺縁系を薬を中心とした医療で喜ばせる、楽しませることは不可能である。高齢者では加齢と共に機能低下がおきて障害が出てくるのは避けられない摂理であるから、更に、医療も効果は少ないのであるから、平衡老化を達成するためには、医療以外の非薬物療法が有用になってくる。」(続く)

大阪が危ない!・・・

2011-11-25 | 時論、雑感
大阪市長、大阪府知事選挙が明後日27日(日)に迫っている。

注目は大阪市長選挙、大阪府知事から転出を狙う橋下さんか、現職の平松さんか、だ。

大阪府知事選挙も大事だが、ひょっとして大阪府知事が「維新の会」になったら、そして大阪市長も「大阪維新の会」になったら、目も当てられない状況になる恐れが強い。

橋下さんの狙いは、大阪府、大阪市の次は国政に「維新の会」の勢力を築いて「独裁体制」を築くという危険なものだ。

今回、「ポピュリズム」で「教育への民意反映」と言っているが、政治が教育を左右する体制をつくることを狙っている。左右の政治に左右されないというのが「教育基本法」の精神であったはずだ。

大阪は、教育の危機、政治の危機である。大阪市民の皆さん、大阪府民の皆さん、親戚・友人が大阪にいる皆さん、明後日は「人気取り」の橋下勢力を阻止しようではないか。

学習「平衡老化」(佐々木英忠著)-2

2011-11-25 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育

三、認知症
「脳機能が極端に劣えた状態は認知症と診断される。単なる物忘れなら、食べる、トイレ、風呂、寝ると、家族または介護者の指示に従って行動し生活は何とかできる。
しかし、認知症の患者は時間、場所、人を正確に記憶できない、さまざまなトラブルを引き起こす。以前あったはずのお金がないので身近な家族や介護者にお金を盗まれたと主張する。自分にふさわしくない態度をとったと怒るなどの精神行動異常症状(behavioral and psychological symptoms of dementia BPSD)である。

 BPSDは非現実的な架空の主張をするので、ちょうど統合失調症の妄想と似ていることから抗精神病薬を含む向精神薬で治療するのが一般的である。
 しかし、BPSDは新皮質の物覚えの機能が低下したために記憶違いを主張し、これを否定されると家族や介護者に暴言やはては暴行を加えるなどの怒りを発しているのである。怒ることができることは、感情を司る大脳辺縁系は比較的保たれていることを示唆している。

 実際、BPSDの患者にラベンダーなどのよい香りを使ったアロマ療法、足浴やマッサージなどの心地よい体性感覚の刺激、等々を組み合わせて五感を刺激し、大脳辺縁系の情感によい刺激を与えることにより、本人にとっても嫌なBPSDは消退する方向に動く。

 認知症は物忘れという新皮質の機能低下を生じても、大脳辺縁系の機能は残っていて十分刺激に反応できると言える。

 介護者は給料が安いからやめるのではなく、患者が向精神薬を使用されて、大脳辺縁系まで神経遮断され、いくら介護者がケアをしても無反応であるから、やりがいがないからやめると考えられる。患者の大脳辺縁系(の機能)が残っていれば、心地よい刺激に対して、時には「ありがとう」とお礼を言われたりすることでやりがいを感じるのである。」

新皮質系の記憶機能が劣化するのが「認知症」としても、旧皮質、大脳辺縁系の機能は、一般にしぶとく残っているとすると、「薬」で無理にそこの機能まで犯すべきではなく、そこに心地よい五感刺激を与えることで、いい気分で「にこにこ」する状態が保たれれば良いのでは・・・、ということなのかな。(続く) 

学習「平衡老化」(佐々木英忠著)-1

2011-11-24 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
このブログで安保 徹さん(新潟大学教授、東北大医卒)の「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」を紹介したが、これは主に生活習慣病、とりわけ癌の成り立ちとその治療(治癒)についての研究成果を述べたものだ。同じ『学士会会報』に認知症についての認識と対処について、佐々木英忠さん(東北大名誉教授、東北大医昭和41年卒)「平衡老化」という論考を書かれている。(ひょっとして私と同年)

年齢の進行と共に癌と共に認知症も罹患率が上がるので、自分自身としても関心のある論考だった。いくつかに分けて紹介したい。

一、成功老化
「全ての臓器は加齢と共に直線的に機能低下をきたし、約100歳で生存限界に到る。脳といえども例外ではなく、厚労省の統計を拝借すれば、平均値であるが、女性は90歳~95歳、男性は95歳~100歳で日本人は100%認知症に到る。あきらめが肝心。別の言葉で言えば悟りの境地が大切である。
 欧米から致死的な老化に対抗しようとして、Successful aging(成功老化)なる標語が提案されている。加齢に抗して若々しい心身を保ち、生き生きと最後まで社会貢献をするように努力することが高齢者のとるべき目標であるとしている。
 しかし、小生(私注:佐々木さん)の知る範囲では成功老化を達成している高齢者は5%もいないのではないかと思われるほど少なく、現実はほとんどが何らかの障害を持ち、成功老化の反対のFailure aging(失敗老化)に到っている。若い人でも生来異常を持っている人は、はじめから成功老化は達成できない。成功老化(という標語)は何か間違っている気がする。」

二、脳機能
「脳機能は永遠に解明不可能と考えられるが、解っている範囲では大まかに知識や理性を司る新皮質と、新皮質の深部に存在する旧皮質とも言われる、動物的本能、感情や情熱を司る大脳辺縁系に大別される。大脳辺縁系から本能的にわきおこる欲望を新皮質の理性が抑制している。また、あるときは大脳辺縁系の欲望を達成するために新皮質の知識を最大限に利用し、目的をとげようとする。新皮質と大脳辺縁系は相互に支配されている。
 エベレストに登りたいという大脳辺縁系の欲求は、死亡率5%や何のためになどという理性による抑制を超えて、逆に、登りたいという大脳辺縁系の欲求のためにあらゆる新皮質の知識や道具を駆使する。このとき大脳辺縁系は目的であり、新皮質は単なる道具でしかない。
 男女の恋愛でも、新皮質で損得を計算した結婚よりも直感で感じた大脳辺縁系を優先させるため、多くの物語が生まれている。研究では新皮質で考える合理的な道ではなく、一見途方もない分野で大脳辺縁系の直感でこれだと感じてつき進んだ方が独創的成果を生むことが多い。新皮質のすぐれている人は他人から与えられた仕事を完璧に遂行できるが、もし大脳辺縁系が劣化していると、自分で何をやっていいか解らない人となろう。」

うーん、新皮質は、前頭葉に多い。発達している人は、一般に「頭がいい」と言われる。しかし、本論考では、むしろ旧皮質、大脳辺縁系に光を当てようとしているな。(続く)

奈良警察署鍋屋連絡所(交番)の保存

2011-11-23 | 地域居住学
今日、奈良に出かけた。目的の一つは、奈良女子大学のまんまえにある旧奈良警察署鍋屋連絡所(交番)の保存改修前の見学会だった。

地元の自治会や市民、奈良女子大教員や学生などが「鍋屋連絡所の保存・活用と”奈良きたまち”のまちづくりを考える会」(八木富造会長)を作って「保存改修活用」の要望運動を繰り広げた結果、奈良市が予算をつけて保存・改修・活用に乗り出したのだ。

この建物は、今日もらった資料によると、明治41年(1908年)に設置された「鍋屋巡査派出所」を起源とし当初は現地より50m南の鍋屋町の三つ辻の角にあったが、昭和3年(1928年)12月に半田横町の現地に移転された。名前はオリジナルを維持、昭和35年(1960年)に「巡査派出所」の「派出所」への改称があり、「鍋屋派出所」は昭和40年代に廃止、その後は「鍋屋連絡所」として使用された。現存建物が何時造られたか不明である。

形自体は、奈良女子大学記念館(重要文化財)から影響を受けているのは明らかだという。

私が奈良女子大に赴任したのは昭和49年(1974年)であり、当時は、その「連絡所」に警察官が出入りしていたが、そのうち「無人」となって廃止され現在に至った。昭和40年代は未だ「学生運動」が盛んで大学の近くに交番が「必要」だったのかもしれない。現在でも奈良教育大の前に交番がある。まあ、今は、その前に「右翼」の建物があるためかも・・・。

「保存・改修・活用」運動をしている知り合いの奈良女子大の瀬渡章子教授やその旦那なども来ていて説明してくれた。自治会の人たちやマスコミ関係者も来ていた。

来年初めから改修工事に入り、4月ころに複合施設「奈良きたまち案内所」としてオープンするようだ。奈良女子大の敷地も一部含むことから奈良女も一定、教育などに活用すると瀬渡教授は言っていた。改修費用は奈良市が面倒みてくれるようだが、ランニングコスト(光熱水料)などは、「住民・市民負担」のようだ。

応援したい人は、是非カンパなどお願いしたい。施設に詰めるボランティアも募集している。

(写真は、当施設、後ろは奈良女子大の寮である)

東日本大震災の「傷痕」は、保存か撤去か

2011-11-20 | 時論、雑感
今夕、テレビで東日本大震災での目立つ「傷痕」17か所について、保存して今後永久に被災の過酷さを示すため原物で残すのか、それらにより思い出す嫌な思い出を「忘れて」新たなチャレンジに進むため撤去するのか、が問題になっているという。

私は、一般的には「誇らしいものは」保存、「嫌なものは」撤去だろうと思う。

日本で、「嫌なもので保存」は、広島の原爆ドームくらいであろう。

その意味で言うと、東電福島第一原発は、(絶対的に)保存、その他の「自然災害」の痕跡の保存・撤去は、地元住民の気持ちによる、としたらどうか、と思う。

仮に原物(現物)を撤去したとしても、記録、記憶として「東日本大震災博物館」は、必要不可欠である、と心底思っている。

「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」(安保 徹)より-3

2011-11-20 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
過酷な生き方をすると、無酸素(で生きられる)の癌細胞が目覚める

「ミトコンドリアの最も少ないのが癌細胞です。(私疑問:精子と比べるとどうなのか?)ですからある意味で、癌細胞は20億年前に無酸素で生きていた私達の古い先祖と言えます。

今の医学界では、「紫外線、食品添加物、放射線、大気汚染等の発癌物質が原因となって遺伝子が突然変異を起こし、癌を引き起こす」と考えられています。

しかし、私(安保 徹)は、そうではないと考えています。私達は心配事が続いたり忙しすぎて寝不足が続いたりすると、低体温や低酸素になります。ストレスの多い過酷な状況下では、20億年前の無酸素(で生きられる)の細胞をもう一回作り出さないと(低体温、低酸素の状況に)適応できません。(私疑問:どういう意味か?)

ですから癌は、発癌物質による遺伝子の突然変異で起こるのではなく、「過酷な生き方に適応するために20億年前の細胞に先祖返りした現象である」、と謎が解けました。」

生殖とは、二種類の細胞の合体の再現である
「細胞を蛍光色素で染色すると、ミトコンドリアの数を数えることができます。1細胞当たりのミトコンドリア数は、赤筋や心筋で約5000個、卵子で約10万個ですが、精子には約100個しかありません。

20億年前、私達は無酸素で生きる原核細胞と有酸素で生きるミトコンドリアの合体でできました。私達は、少しずつ放出される活性酸素で酸素焼けして老化して死にます。しかし、皆が老化して死んだら子孫を残せません。

そこで男性は、ミトコンドリアが殆どない精子、すなわち解糖系生命体を作り、女性はミトコンドリアだらけの成熟卵子を作ります。そうすることで、「20億年前の解糖系とミトコンドリア系の合体をやり直すのが生殖だ」と気が付きました。」

なあーるほど、生命体、生物(男女)の歴史って神秘的であり、また科学的にわかってしまうと、あっけないものですよね。(この「物語」が本当として・・・)

癌の発生しやすい場所、しにくい場所
「私達の古い先祖である解糖系生命体は、分裂促進遺伝子、すなわち癌遺伝子を持ち、分裂を繰り返していましたが、ミトコンドリア生命体と合体した際、分裂抑制遺伝子が持ち込まれました。そのため心臓や赤筋などミトコンドリアの多い場所に癌は発生しません。

癌ができやすいのは、ミトコンドリアが少ない分裂細胞、すなわち皮膚、腸上皮(私注:小腸上皮除く)、そこに付随した分泌線細胞です。

これらの場所でも、ストレスが少なく酸素をたっぷり取りこんでいる間はミトコンドリアが分裂を抑制しています。

しかしストレスの多い生活を続けると、ミトコンドリアが正常に機能しなくなり、低酸素・低体温・高血糖への適応として、解糖系生命体=癌細胞が目覚めます。」


私注:一般に体温の比較的高いところ(心臓や小腸、赤血球など)には癌は出来ない。(赤血球は細胞ではないか?)
酸素をたっぷり取りこむとー深い呼吸ー癌抑制に「良い」のだろうが、逆に(活性酸素による)「老化」が進むかな・・・「癌」にするか「老化」にするか、僕個人は、ゆっくりした「自然老化」が良いと思う。


ミトコンドリアが正常に機能しないと、癌が発生する
 「パンを作る際、パン酵母に多く含まれるミトコンドリアに大いに働いてもらう必要があります。生地を充分こねてたっぷり酸素を含ませた後、しばらく温かい所で寝かせます。こうして(温かくして)ミトコンドリアの機能を活性化すると、生成された水素が酸素と結び付いて水になります。同時に発生した炭酸ガスによってパン生地はふっくら膨らみます。

 一方、酒やビールを造る時は逆です。清酒酵母やビール酵母のミトコンドリアを不活性化するために、清酒では寒仕込みにし、ビールやワインでは密閉して酸素が入らないようにします。そうするとミトコンドリアの持ち込んだ分裂抑制遺伝子が働かなくなるので、分裂が促進されアルコール発酵が進みます。

 私達が過酷な生き方をして低酸素・低体温・高血糖が続くと、(酒やビール・ワイン造りの時のように・・・私注)ミトコンドリアが不活性化し、ミトコンドリアが持ち込んだ分裂抑制遺伝子も働かなくなり、ミトコンドリアの少ない場所から癌細胞が生まれます。」


癌を治すには
 「今の医学では、癌のメカニズムが解明されていないので抗癌剤など対症療法の治療しかなく、日本人だけで年間35万人が癌で亡くなっています。

しかし私の得た結論では、ミトコンドリアが正常に機能しないストレスフルな生き方が癌の原因なのだから、ミトコンドリアが正常に機能する状態にすれば癌細胞は増えないはずです。

・解糖系の癌細胞は温かさと酸素に弱いので、私は入浴と湯たんぽと深呼吸を勧めています。

・また、最終的に癌細胞を攻撃するのは、一番古いタイプのリンパ球であるナチュラルキラー細胞や胸腺外分化T細胞です。ストレスの多い生活を続け消化管の内部環境が悪化すると(私注:ストレス発散と称して無茶食い、無茶飲みをすると、胃腸上皮などが荒れてきて)、これらのリンパ球が育ちません。

結局、食事が大事なのです。食物繊維の豊富な野菜や海草やキノコ、未精白の穀物で、(上記のような)古いリンパ球を育てます。そうすれば、癌の進行は大体一、二ヶ月で止まります。最終的にリンパ球が働いて退縮まで行くには一年ぐらいかかります。

・あまり焦らずに、ゆっくり取り組めばいいのです。癌細胞は20億年前の先祖ですから、あまり悪いものと考えず、「お懐かしゅうございます」くらいの感覚で付き合えばいいと思います。」(講演録・完

いやー安保さんは、自信たっぷりだな、と思った。皆さん、どうですか。
安保式治療の実例を知りたいもの。癌には発生部位によって何か違うのか、どこでも上述のようにストレス除去(笑いの推奨なども)、温熱対応や食事療法で良いのかな・・・


「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」(安保 徹)より-2

2011-11-19 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
ちょっと「続き」を書きますね。

・二つの生き物の合体である私達の後半です。

「さて同じ頃、太陽の光を使って光合成する細菌が生まれ、大気中に酸素を徐々に放出しました。今の地球の大気は21%が酸素で、残りの殆どが窒素ですが、20億年前、約2%の酸素が大気に存在し始めました。その結果、解糖系で生きていた古い生命体は、酸素による酸化の害で生きづらくなっていました。

このような折、有害な酸素を使って効率よく大量のエネルギーを作る「ミトコンドリア生命体」が進化の過程で生まれてきました。ミトコンドリアは、我々の古い先祖である「原核細胞生命体=解糖系生命体」の残した乳酸を求めて寄生を繰り返しました。しかし、安定した寄生関係はなかなかできませんでした。何故なら我々の先祖の分裂があまりに早くて、ミトコンドリア生命体が寄生しても希釈されてしまったからです。

約12億年前、ミトコンドリア生命体が「分裂抑制遺伝子」を持ち込み、我々の古い先祖の分裂を遅くしました。それにより、ようやく安定した寄生関係が完成しました。両者は合体し「真核細胞生命体」となりました。我々の古い先祖は、ミトコンドリアという巨大なエネルギー生成工場を獲得したことによって、様々な能力を飛躍的に伸ばし、単細胞生物から多細胞生物へ、すなわち、カビ・キノコ・酵母などの真菌類、植物、動物へと進化を遂げていきました。

一方、ミトコンドリアを取り込まなかったために進化が起こらず、原核細胞のままの生命体もあります。大腸菌や乳酸菌は相変わらず単細胞の原核細胞のまま、栄養があればひたすら分裂し続け、栄養が枯渇すれば分裂をストップさせて生きています。」

こういう風に地球環境史のなかで無酸素状況の時代の生命体と有酸素にになった時に適応し進化した生命体の二つが我々の体に宿っているということです。いやー凄いですよね。

・ミトコンドリアの多い細胞、少ない細胞
「私達の体内にはミトコンドリアの多い細胞と少ない細胞があります。ミトコンドリアは分裂抑制遺伝子を持ち込んだため、ミトコンドリアの多い細胞はあまり分裂せず、(ミトコンドリアの)少ない細胞は活発に分裂しています。

ミトコンドリアが圧倒的に多いのは心筋細胞、骨格筋の赤筋、脳神経です。これらの箇所では、細胞分裂は約3歳までに終わり、以後殆ど起きません。では、(脳神経が分裂増加しないのに)何故賢くなるかというと、樹状突起で細胞と細胞の連絡を密にして、ネットワークを複雑にするからです。

一方、ミトコンドリアが一番少ないのは精子です。皮膚細胞、腸上皮も少ないです。これらは活発に細胞分裂を繰り返しています。


ミトコンドリアの多寡は、細胞分裂の頻度を決定するだけではなく、筋肉の場合、瞬発力に強い白筋であるか、持続力に秀でた赤筋であるかをも決定します。ポリフィリンという有機分子が鉄を取り込んだものをヘム鉄といいます。ヘム鉄がグロビンというたんぱく質と結合すると、ヘモグロビンになります。酸素はヘモグロビン中の鉄と結合し、血液によって全身に運ばれます。ミトコンドリアは酸素を受け取り貯蔵するために、シトクロム・ミオグロビンなどのたんぱく質を持っています。

これらのたんぱく質は赤いため、ミトコンドリアの多い筋肉は赤く見えます。一方、ミトコンドリアの少ない皮膚や精子や白筋は白く見えます。
鶏皮はミトコンドリアが少なく分裂しているので、白く見えます。ところが砂肝はいつも動いていて休むことがないので真っ赤です。マグロのような回遊魚は、休まず動き回るために赤筋が発達し赤身です。
一方、ヒラメやタイは、普段は波間に漂うか砂に潜っていて餌が近くに来た時に瞬発力を発揮するため、白筋が発達し白身です。

解糖系とミトコンドリア系の分布は、人間の場合、1対1ですが、生物によって著しく偏っています。」

・二つのエネルギー生成過程
解糖系は、白筋にて無酸素でぶどう糖をピルビン酸か乳酸に分解する過程で、炭素の結合エネルギーを取り出しています。反応が単純で、ミトコンドリア系の100倍の速さでエネルギー生成を行います。生成されたエネルギーは分裂と瞬発力に使われますが、持久力がなく疲れやすいです。

解糖系に最も適した温度は32~33度です。男性の精子は冷やすために怪しげな場所にあるでしょう。(私注:別に怪しげではなく合理的、安保先生は冗談で言った。昔から「金冷法」というのもある・・・)
昔から若者を裸にして冷やす(私注:水をぶっかけたりする)祭りが日本各地にあるのは、子孫繁栄を願ってのことです。
 また、100メートル走のような無酸素運動では、瞬発力とスピードを出すために呼吸を止め酸素を遮断し血液を止めて(私注:血液の流れを最低にして)体温を下げます。

一方、ミトコンドリア系は、赤筋などにて有酸素のエネルギー生成を行います。食事で摂った糖質や体脂肪を体内で燃焼・分解し、クエン酸回路に取り込みます。解糖系で残った乳酸やピルビン酸も、クエン酸回路に取り込みます。こうしてまず水素を取り出します。

食物から摂取したカリウムの中に中性子の一つ多いカリウムがあり、微量の放射線を出しています。ミトコンドリアはこの電磁波と紫外線を使って取り出した水素をプロトン(水素イオン)と電子に分け、電子伝達系にて膜電位エネルギーを作ります。

普通の細胞の膜電位はマイナス75ミリボルトで、これが脱分極すると細胞が興奮しますが、ミトコンドリアの場合は膜電位がマイナス150ミリボルトで、(普通の細胞の)2倍のエネルギーを持っています。ミトコンドリアはこの膜電位を脱分極させて、ぶどう糖1分子から36個の「アデノシン三リン酸」を作ります。 解糖系では、ぶどう糖1分子から2個の「アデノシン三リン酸」しかできないので、それと比較すると、18倍のエネルギー効率です。
ただしエネルギー生成に時間がかかるため、瞬発力はなく持続力に向いています。

ミトコンドリア系は、37度以上の高温で働きます。心筋がドキドキした時や一生懸命走った時に約40度になり、赤筋は42度まで上昇します。」

だから体幹は、37度以上なのだな。「体温を一定高く保つこと」が推奨されるのは、こういう根拠もあったのかな。

・人は一生の中でエネルギー系をシフトさせていく
「私(私注:安保 徹さん)はある時、人は一生かけてこれら二つのエネルギー生成系をシフトさせていくことに気付きました。

子ども時代は、解糖系が優位ですが、大人になるにつれ、1対1に調和していきます。60代から70代のお年寄りになると、解糖系が縮小しミトコンドリア系が拡大し、最期を迎えるのです。
このシフトを考えた時、子供、大人、お年寄りの特徴が全部見えてきました。

子供は解糖系なので、瞬発力できびきび遊びますが、乳酸が留まり易くすぐ疲れます。エネルギー効率が悪いので、10時や3時のおやつも含めて沢山食べる必要があります。成長とはまさに全身で活発に細胞分裂がおこっていることです。(私注:千島学説では「細胞生成」)
こういう子供特有の性質は18歳から20歳で終わり、成長が止まります。

大人になると、活発な細胞分裂は皮膚、腸上皮、骨髄、男性の精子等でしか起きなくなります。エネルギー効率の良いミトコンドリア系が増えてくるので、三食で足りるようになります。両者がちょうど1対1で調和するので、瞬発力にも持続力にも富む年代です。

お年寄りになるにつれ、解糖系が縮小するので分裂が少なくなります。年寄りの皮膚はしばらく分裂していないような皮膚です。瞬発力も衰えるので突発的な事故に対応できなくなります。しかし、ミトコンドリア系が主体となるので持続力は残ります。お年寄りは根気の要る仕事が得意です。最も特徴的なのは、ミトコンドリア系のエネルギー効率の良さを反映して、小食になることです。江戸時代からお年寄りの養生訓(私注:貝原益軒)が腹八分目だったのは、解糖系からミトコンドリア系へのシフトを体験的に実感していたからでしょう。」


さらに「続く」





「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」(安保 徹)より-1

2011-11-18 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
最近に来た『学士会会報』に、安保 徹さん(新潟大教授、東北大医卒、1947年生まれ)の「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」が載っていた。午餐会講演要旨である。

多くの方の参考になると思うので、大方の引用と「私注」などを試みたい。(別の地域snsで連載したものの集大成?である。)

「・能力を超えた生き方をすると病気になる 
私達の体には二種類の自律神経があります。交感神経と副交感神経です。日中は交感神経が働き、脈を増やし、血圧や血糖値を上げて活動します。しかし、夕方になって疲れてくると、副交感神経が働き脈を少なくし、血圧や血糖値を下げて休息や睡眠を取ります。私達は、こういうバランスで生きています。

ところが、忙しくて睡眠時間を削る生活や、悩み続ける生き方をしていると、一日中、交感神経が刺激され続けることになります。そうすると、その人の脈は常に速く打ち興奮状態が続き、不眠になったり追い立てられているような不安な心境になったりします。

今の時代、病院で睡眠薬や抗不安剤を処方してもらう人や、50代で病に倒れたり半身不随になったりする人が多いです。能力の限界を超えた過労からくる交感神経の緊張が原因です。交感神経の緊張は血圧と血糖値を上げ、心臓や血管に負担をかけます。短期間であれば大丈夫ですが、一年二年と続くと負担が大きくなり、狭心症や不整脈になります。日本人は真面目で責任感の強い頑張り屋が多いので、これらの症状が出ても頑張り続け、ついに心筋梗塞、くも膜下出血、脳卒中を起こすのです。

交感神経を緊張させる原因
「忙しさ、悩みに次いで、交感神経を緊張させる原因は怒りです。・・・
「次に挙がる原因は寒さです。・・・今は冬の寒さで体を壊す人は殆どいませんが、若い女性など夏の冷房で体を壊します。」
「その次は、目の疲れです。・・・今はパソコンです。・・・」

「最後に、薬の大量摂取です。薬は化学合成された毒物であり肝臓で解毒する必要がありますが、その際、大量のエネルギーを消費します。薬の大量摂取によって脈が増え興奮し、不眠や高血圧がおき、更に睡眠薬や血圧の薬が必要になるという悪循環がおきています。」

・副交感神経の側に原因がある場合
「病気の7割は交感神経の過度の緊張で発症していますが、残りの3割は副交感神経の問題が原因で発症しています。・・・

副交感神経は休息や睡眠、食事中や食後のリラックスを司ります。私達の能力は、子供でも大人でもお年寄りでも体を動かして筋肉を鍛え、骨格を丈夫にすることで維持されています。ところが今の日本では、飽食と運動不足の人が増えています。副交感神経に偏った生き方をしていると、ひ弱で姿勢が悪く疲れやすくなるのです。交感神経が司る集中力も長続きしません。

病気の謎が見えてきました。私達は無理をしすぎても楽をしすぎても病気になるのです。交感神経と副交感神経のどちらにも偏り過ぎない生活が大事です。」

・白血球の働き~顆粒球とリンパ球
「病気を避ける上で自律神経に次いで大切なのが白血球です。・・・
白血球の約60%は顆粒球で、細菌を処理し化膿性の炎症を起こして治癒させます。残りの40%弱はリンパ球で、様々な食べ物と一緒に入ってくる異種タンパク、ウイルス、リケッチャなど小さな異物を抗体で無毒化する免疫系です。自律神経も二本立てですが、白血球も二本立てで体を守っています。・・・」
私注:ここまでは、今までの「安保理論」で、ほぼ理解しているつもり→以下にあるが、つまり交感神経が働くと顆粒球が増え、副交感神経が働くとリンパ球が増える。どちらが増えすぎても拙いのだ。)

・二種類の自律神経と二種類の白血球の関係
「野生動物が顆粒球を増やすのは、交感神経を緊張させて活発に活動している時です。手足が傷付き細菌が侵入しやすいので、それに備えるためです。一方、リンパ球を増やし副交感神経を働かせるのは、リラックスできる食事の時です。
 人体にはリンパ節、胸腺、脾臓などリンパ球の循環や産出を行う器官が備わっています。(私注:リンパ球の産出や循環を助ける一助として「リンパ管マッサージ」をしているのだが・・・、手足の先が温かくなる・・・)
これら免疫器官は、進化の過程で軟骨魚類あたりから出現し始めています。もっと原初な生物においてリンパ球はどこにあったかというと、消化管の周りです。消化管の機能全般はリラックス時に働く副交感神経が支配しています。・・・
本来ならこのようにバランスが取れている両者の関係ですが、私達があまりに忙しく悩みを抱える生活を送ったり(私注:交感神経優位となり顆粒球が増える)、あるいは逆に美食と運動不足に偏った生活を送ったりすると(私注:副交感神経が優位となりリンパ球が増える。だからと言って、これをセーブするために(忙しく悩みを抱えるのではなく、運動し筋肉を使うことが良い!))、顆粒球やリンパ球のどちらかが過剰になり、病気が引き起こされます。」

・ストレスが多すぎる生き方だと・・・
「顆粒球は骨髄(私注:血液が骨髄で作られるという通説に対して千島喜久男博士は小腸造血説ともいうべき説を提起した。私は、どちらかというと千島学説を支持したい)で作られ、血液中を流れ、常在細菌が棲みついている消化管の粘膜で一生を終えます。

しかし、ストレスフルな生き方をする人や怒り癖のある人は顆粒球が過剰に作られ、口から肛門までの消化管の粘膜に運ばれ、そこに棲みつく常在細菌と反応し炎症を起こしはじめます。(私注:これらの行きつく先が、食道がん、胃がん、大腸がん、直腸癌であろう。小腸に癌が出来ないのは、「造血器官でもあり、温度(体温)が放っておいても癌細胞が苦手の「高温」である」からだろう。)

その結果、働き盛りで歯周病になり入れ歯になる人、逆流性食道炎、糜爛性胃炎、胃潰瘍、クローン病、痔等を患う人が非常に多いのです。
顆粒球は膿を作る細胞なので、症状が悪化した時、痔ろうや歯槽膿漏になる人もいます。限度を超えて仕事やストレスを抱えるのは非常に危険です。

潰瘍性大腸炎は、今の医療現場では原因不明の難病に指定されていますが、15歳から17歳にかけて発症の大きなピークがあります。ちょうど高校や大学の受験期です。今の子供達は兄弟も少なく大事にされ、ひもじい思いをすることもありません。穏やかに生きてきた子供達が初めて試練に直面する時、強いストレスを感じ病気になるのです。

潰瘍性大腸炎は辛いストレスに晒された結果、顆粒球が作られ過ぎ、大腸の粘膜を壊す病気なので、「高望をはやめて受かりそうな高校(私注:大学もか)を受けたら」、とアドバイスすると治ります。

常在細菌の少ない器官も顆粒球の標的になります。激しい夫婦喧嘩のストレスで内耳が攻撃され、奥さん(私注:旦那の場合も?!)が突発性難聴になり聴力障害が残った例があります。」

・穏やか過ぎる生き方だと・・・
「リンパ球は小さな異物に反応する細胞です。(私注:リンパ球はアセチルコリン受容体を持ち、リラックスした生き方をして副交感神経が刺激されると数が増える・・・)
穏やか過ぎる生き方を続けると、リンパ球が過剰に作られ、ハウスダストなどに対するアレルギーや過敏症で苦しむようになります。寒さや紫外線などもアレルギーの原因です。

30年ほど前からアトピー性皮膚炎、気管支喘息、紫外線アレルギー、寒冷アレルギー、化学物質過敏症、電磁波過敏症に苦しむ日本人が増えました。たった30年で日本人の遺伝子が変わる訳がありません。

私達の生活習慣や食事習慣が変わり、副交感神経が支配する局面になりやすくなったのです。

線維筋痛症は原因不明とされていますが、リンパ球過剰による過敏症です。リンパ球は白血球の40%弱ですが、45%を超すと、過敏症が出てきます。50%を超すと、確実に過敏の世界で苦しみます。

様々な組織破壊の病気や過敏症は、このように原因不明ではなく、生き方の問題とつながっているのですが、医者は通常、対症療法に終始します。アトピーならステロイド軟膏を処方し、喘息ならステロイドの吸入をします。
しかし、それでは根本的な解決になりません。」(続く)

では、どうしたらよいのだろうか。答えは、この講演では直接言っていない。だけど、「流れ」からいうと、「安息すぎる生き方ではなく、少し肉体労働とか運動とかをかして交感神経を適当に働かす」ということになるのかな。この両神経のバランスが難しい。(強いストレスを感じる働き方や怒りなどは「働かせすぎ」で、逆効果!)指標となる白血球の顆粒球とリンパ球の割合は、言えば、はかってもらえるようだ。

・二つの生き物の合体である私達
今までの議論は、人間の自律神経(交感神経、副交感神経)と白血球(顆粒球、リンパ球)の状態が生活状態(過労や怒りなどの強いストレス、薬の大量服用など)によってバランスを失することで、病気(生活習慣病)になる、というものであった。

以下は、私は安保さんから初めて聞いたことである。3年前から以下のテーマの「エネルギー生成」を考え出したようです。

「私達は一つの生き物のように見えますが、実は20億年程前に、「原核細胞生命体」に「ミトコンドリア生命体」が寄生して出来た「真核細胞生命体」を元にしています。二つの生き物が合体したものが出発点で、その名残は今でも残っています。」

「20億年前の地球には酸素は殆どありませんでした。生命体はミトコンドリアを持たない「原核細胞生命体」として、今の細菌と同じように無酸素で分裂を繰り返して生きていました。これが我々の古い先祖です。」

うーん、生命体の進化論的理解の真骨頂、我々は、今の人間は、酸素がないと生きていけないが、なんと生命体の我々の先祖は20億年前にもつながっており、その時には酸素なしで生きていたのだ! 感動!

「エネルギー生成には無酸素系と有酸素系がありますが、この「原核細胞生命体」は無酸素で行える解糖系のエネルギー生成を行いました。すなわち、炭素六つのグルコースを炭素三つの乳酸に分解する過程で、炭素の結合エネルギーを取り出していました。」

前半終り、続く。








分析的科学から総合的学問へ

2011-11-16 | 文化論、科学・技術論
最近、健康問題に関心の一つがあり、地域SNSけいはんなの日記で、安保 徹さん(新潟大教授、東北大医学部出身、1947年生まれ)が最近『学士会会報』に書かれた「エネルギー生成系で知る病気の成り立ち」を詳しく紹介したのだが、まあ、そこでは西洋医学の問題も浮き彫りになっている。

西洋医学は、他の西洋科学と同じく分析的である。そのため、それらの分析的追求の網の目にかからないニッチな(隙間にある)知見は「飛ばされる」おそれがある。

私は、分析的(西洋)科学は、科学として尊重すると共に、そこに留まらないで総合的な(東洋的とも言うべき)学問が見直され威力を発揮する時代になりつつあるのではないか、と思っている。

医学だけでなく、農学、林学、建築学などもそうではなかろうか。

一寸オーバーかな。

城谷 豊さん(福井大学教授歴任)の思い出

2011-11-14 | 諸先生・諸先輩・同輩・諸後輩の思い出
年末になると、「喪中につき」の書状が届く。城谷 豊先生のお嬢さんの亜代さんから「2月に父が84歳で亡くなった」という知らせが届いた。14~15歳年上である。

東大建築学科卒業、建設省建築研究所を経て福井大学教授に就任、それらの過程で色々と世話になった。建研(けんけん)では、既に亡くなった古川 修さん(京大教授歴任、東大卒)、お元気な巽 和夫さん(京大名誉教授、京大卒先輩)と同じ建築経済学分野の牽引車の一人だった。

東大の卒業だが京大の西山夘三先生の考え方に共鳴しておられた。

民主的考えの持ち主で科学者会議福井支部の代表もやられたのではないか。福井原発問題でも住民の立場で頑張られたと思う。

建築学会の大会の折など会うと、あれこれ議論に乗っていただいた。

既に亡くなった京大先輩の玉置伸吾さん(福井大教授歴任)などと共に一緒に今頃、越前海岸に蟹を食べに出かけ、談論風発を楽しんだことも懐かしい思い出である。

福井大学を辞めてから秋田(?)の実家の会社の経営にも携われた。

御苦労さん、安らかに眠って下さい。

金沢大学付属高校同窓会関西支部会合

2011-11-14 | 金沢の思い出
毎年、今頃になると私の出身高校の「金沢大学付属高校同窓会関西支部会合」が大阪で行われる。

昨日の11月13日の日曜日、その会場の大阪北の「ハートンホテル北梅田」に行った。

全部で62回生まで80人位の参加、59回頃から62回卒業の大学1~4回生は「ただ」というのが効いて(支える僕らは8千円)、大学生がどっと参加したため盛況となった。

私は11回生で「大先輩」の部類に入ってしまった。11回生は関西に30人ほどいると思うが、たった3人、1割の出席だった。来年は少し増やしたいものだ。

金沢大学付属高校は、金大付高(きんだいふこう)とも、また霞が関では「金付(きんつき)」とも呼ばれ、そこそこの学校である。

男子2/3、女子1/3の割合は私が卒業した頃と変わっていない。

殆どが大学に進学する。私の同期では、150人の同期生は色々な所に散らばった。国立では、金沢大学(30人位)、東大(20人位)、京大(10人位)、北大、阪大、東北大、名工大、富山大(以上2人位)、神戸大、東工大、秋田大(鉱山学部)、信州大(繊維学部)、東京医科歯科大学、東京外大(以上1人)と半数以上が広く分布、但し私学は早稲田、慶応が圧倒的に多く、上智、明治、青山学院、立教、同志社などに行っている。

今回の関西では、学生は京大、阪大、神戸大、同志社、立命館、関西学院、大阪医大と私の時代より集中している。学部では医学部、理学部が目立つ。工学部が少ないのはどうしてだろうか。

最後の出し物の「ビンゴ」はノートパソコン使うやり方だった。私は最後に「ビンゴ」となり、景品は「抜け毛防止スプレー」だった。若い学生が選んだ製品群だが、年寄りのことも考えているのだな。


新建築家技術者集団奈良支部総会と懇親会

2011-11-13 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
今日、奈良の橿原市で新建築家技術者集団奈良支部総会と懇親会があった。私は、代表幹事をしているので、出席した。1年ぶりの人、初めての人もいて刺激的だった。

総会には12人、懇親会には14人参加した。

facebookをやっている人が私を除いて5人(男性3人、女性2人)もいて、4人がまだ「友達」になっていないので、早速「友達」になることにした。とにかく色々言ってみるものだな。

それで、聞いていると、facebookでの会話から「住宅設計してくれない」みたいな依頼がきたという話、そういう「つながり」もいいのではないか。

新建築家技術者集団の「住み手や使い手の要望に寄り添って」という方向性に共感される方は、是非アプローチしてください。