西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

上田 篤著『日本人の心と建築の歴史』を読み出す

2006-01-31 | 住まい・建築と庭
上田篤さんは私の大学10年先輩だ。上田さんが京大助教授の時、私は大学院生だった。建設省から戻られた直後でハッスルしておられた。その後も、中々ユニークな発想なので私は注目し、著書は読ませてもらっている。今度のこの本『日本人の心と建築の歴史』(鹿島出版)は、ある意味で仕事の「総仕上げ」の面がある。上田さんや私の先生であった西山夘三先生も、最後の頃に『住まい考今学』という歴史的考察ー現代の課題に重点があるが・・-を書いておられる。我々の分野というか、個別学問の締め括りは歴史的研究なのかな、と思ってしまう。考えてみると、生まれてこの方、親や兄弟、先生や友達との「つながり」、家や町、環境との「つながり」は成長とともに自然と出来てくるが、自分の過去(自分史)も含めて歴史との「つながり」は長じて意識的に学習しない限り「つながらない」のである。又、歴史は年代を覚える無味乾燥したものではなく、本来、英語では「Hi-story」というように「心高ぶる物語」なのだ。上田さんは、『記紀』を読みこなしておられる。基礎に「リベラル・アーツ」の教養、総合主義があると言ってよい。私も『万葉集』を読みつつある。上田さんのこの本をじっくり読んで将来も考えたい。

騒々、想像、創造

2006-01-31 | 時論、雑感
人間の良さというか特徴は、思いもかけないものを創造することである。創造するには、ある情報の幅に意識が集中していて、そこで「ポン!」と出てくる感じだと思う。その背後には無数の想像があると思う。あれこれ思いを巡らせ、過去から現在までの情報の海に夢中で遊ぶことだ。ある場合には、馬鹿馬鹿しい騒々しい感じでもある。
今日見た「プロフェッショナル」アートディレクターの佐藤可士和さんのNHKテレビから思ったことである。

米国からの肉牛輸入再開までに事前調査閣議決定の未履行

2006-01-30 | 時論、雑感
今日の国会予算委員会で民主党の松野頼久氏の質問に答えて、中川農水相は、米国からの肉牛輸入再開までに事前調査をするという閣議決定未履行、閣議決定に従わなかったと答弁、これでは責任問題になる。その後、事前には調査できないことが分った、と答弁変更、これはおかしい、アメリカでは毎日食肉を作っているので充分調査できる。仮に日本向けは別のやり方なので調査できない、というのであっても日本の安全性確保からはおかしい、事前調査が閣議決定されているのだから、米国に対して日本向けの処理を事前に実行させてチェックするべきであった。いずれにせよ、閣議決定を無視して事前調査せず輸入再開を決定した政府の責任は極めて重いと言わざるをえない。民主党の久々のヒット、とテレビは言っていた。

女性専用車

2006-01-30 | 時論、雑感
ある時、数ヶ月前か、JR京都駅で8時過ぎに尼崎行き普通に飛び乗ったら、何か雰囲気がおかしい。回りは女性ばかりである。ふと隣の車両との境の扉を見ると、そこに「女性専用車」と書いてあるのが目に入った。私は慌てて隣の普通の車両に移動した。外人さんは、これを見て「何か変だ」と感想を言っている。日本の男性が、このシステム(早朝から午前9時まで・・)に甘んじていて文句を言わないのは、やはり「それも仕方ないな」と内心思っているからであろう。今日も京都で某公立大学の職員がバスで女性(女子大生)の腕やお尻を触って、その女性に腕をねじ上げられて運転手に突き出されたようだ。なさけない。何時このシステム(女性専用車)がなくなるだろうか。

私の講義改善の歩み

2006-01-30 | 地域居住学
私は、新しい教育現場に来て約10ヶ月が経過した。それ以前の体験は体験として頭を切り替え新しい状況に置かれた、と認識してささやかな努力をしてきた。そこで、来年に向け新たにやっていきたい点、更にやっていきたい点を上げておきたい。(1)シラバスには、15回分の展開を書いているので、各回の講義がきっちり接続していても良いはずだが、それをやる前提は前回が全部理解されているということだ。建前では復習をすることになっているが、まず無理、そこで、講義の頭で前回のサマリーを10分ほど喋って、その日の内容に入るように途中で変えた。来年も引き続きそのようにやりたい。(2)講義時間80分は、やや長く集中が続きにくいので工夫する。これは何かで読んだのだが、大学の講義90分とか80分というのは、旧制東京帝大で、明治時代、お抱え外人の講義の時、通訳時間も入れて90分だったのを、そのまま日本人講義でも継承したためのようだ。高校までは45分授業が基本なので、急に倍にしたら注意力が続かないわけだ。そこで、復習10分、当日内容講義60分、質問・小試験等10分としたらどうかと思っている。(3)私語と質問:私語は他人に迷惑を与えるので減点、質問は勇気がいるし他人の理解のため益にもなるので加点としたい。これらを来年は最初に説明、宣言してから始めたい。

思い出す先生方ー大学編(7)川上 貢先生の思い出

2006-01-29 | 京都の思い出(学生時代)
川上 貢(かわかみ・みつぐ)先生は、私が京大の学部学生時代(1960年~1964年)、京大助教授(教授は福山敏男先生、05年12月4日のブログ参照)だった。専攻は日本中世近世建築史であり、寺院の塔頭(たっちゅう)の研究もされていて川上先生のご研究から塔頭という言葉を初めて知った。しかし、教育では「日本建築史」は福山先生が教えられたので川上先生には「西洋建築史」を教えて頂いた。分りやすいテキストも使われた。川上先生は、1949年(昭和24年)の旧制のご卒業だが、確か高専から再度、京都帝国大学に入学された。私が学位論文を提出した時の副査のお一人で、公聴会の後の「口頭試問」で、都市住宅地の管理も問題だが、農村空間の管理も問題では・・とご自身が住んでおられる高槻の近郊農村を例に言われたことを覚えている。先生は、確か御養子さんで高槻の「大農」の主だったと思う。その高槻に私が勤めだしてから一度JR高槻駅でお会いした。お元気そうだった。福山先生の著書とともに川上先生の本もそのうち読んでみたい。大体、歴史を研究される先生は何故か長生きで村田治郎先生、福山敏男先生も長生きだった。東大系統でも藤島亥二郎先生も長生きだったし、太田博太郎先生も現役だ。あやかって歴史研究に鞍替えしようかな。

新日曜美術館ースイスの美術館事情

2006-01-29 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
今日のNHKTV「新日曜美術館」でスイスの美術館事情をやっていた。スイスは人口の割には美術館が他の国より多いのだと言う。バーゼル美術館にあるハンス・ホルバイン作の「墓の中の死せるキリスト」を見たドストエフスキーは「これを見たらキリストの復活などは信じられない」と言ったそうだ。この絵は墓の中のキリストを側面から描いたものだが、確かに、死せるキリストの目の表情、十字架で手に打ち込まれた釘のあと等のリアルな表現を見ると私もそう思わざるをえない。他に首都のベルン美術館も良いようだ。一度行ってみたい。スイスの画家として、スイスの自然・山岳を描いたホドラー(ある意味でイギリスのターナーやコンスターブルに似ているか)、セガンティーニ、パウル・クレー等のこともやっていた。2008年に国際家政学会が設立100周年でスイスで開かれる。その折などに是非、諸美術館にも足を運んでみたいものである。(写真は、バーゼル市立美術館)

St.Agnes'  Dayをどう伝えるのか

2006-01-29 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
1月23日ブログにSt.Agnes'  Dayのことを書いた。昨日の平安女学院131周年記念会の懇親会で、「St.Agnes'  Dayをどう伝えるのか」について私の仮説を述べた。
St.Agnes(St.称は後に与えられた)が4世紀にローマ皇帝の迫害にもめげず若い乙女で殉教したことは知られている。で、現代、その1月21日に未婚の女性が夕食を絶って眠りにつくと、将来の伴侶が夢に現れる、と言われている。これは、St.Agnesの苦難の殉教を思って一食断食すると、天なるSt.Agnesがその乙女の願いをかなえると言う筋書きではないか、と思う。今は、殉教といった時代ではないし、断食も現代的ではない。そこで、若い乙女である女生徒や女学生に対しては、St.Agnesの苦難を思い、断食した積りで勉学や諸活動に努力を傾け、社会奉仕の気持ちも持って進んでほしい、というメッセージに「翻訳」して伝えたらどうかな、と思う、と。

私の司会スタートの洒落?!

2006-01-29 | 言語・字・言語遊戯
ただ今より平安女学院創立131周年記念式典を始めます。司会をつとめますのは、大学生活環境学部の西村一朗でございます。今朝、司会者ならぬ歯科医者に行って義歯を入れてもらったので「ギシギシ」言うかもしれませんし、さしずめ「さしすせそ」がお聞き苦しいかもしれませんが、視界良好に司会を進めてまいりたいと思いますのでご協力宜しくお願いします。では、最初に・・とスタートさせた。
理事席はじめニコニコしている人が多かったのでまずスタート成功かな、と思った。

平安女学院創立131周年記念集会と私の司会

2006-01-28 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
平安女学院創立131周年記念集会が今日(1月28日)法人本部(京都)で行われた。本来の創立記念日は1月21日なのであるが、当日、大学では大学センター試験があったので記念集会は1週間延びて今日になったのだ。(1月23日ブログ参照)131周年と言うと、官学の東大や京大あるいは奈良女子大より歴史が長い。私学では、同じ聖公会系の立教学院が1年古い132周年で兄貴分である。
今日の記念集会は三段階になっていた。先ず「聖アグネス礼拝堂」で記念礼拝があった。引き続き「アグネスホール」で記念式典と懇親会があった。私は「アグネスホール」での集会の司会を担当した。昨日位からどのようにしたら良いか、頭を使った。考える楽しみである。司会者は余り出しゃばってはいけないが、最初、中間そして最後に一言づつ言うことにした。ここでは最後の司会解任の辞だけ紹介しておこう。「ただ今歌われました聖歌342番は、ベートーベン作曲の交響曲9番合唱つきのAn die Freuide喜びの歌だと思います。ところで、今日の花はえんどうです。花も実もある草です。その花言葉は、未来の喜びです。聖歌にぴったりではありませんか。未来の大きな喜びを、縁遠(えんどう)く思わないで皆で力を合わせて幸運の前髪をつかんでいきたいと思います。それでは、これで司会解任させて頂きお開きといたします」(写真は、えんどう豆の花)

モーツアルト生誕250年 再説

2006-01-28 | 時論、雑感
昨日「モーツアルト生誕250年」のブログを書いた。そして今朝ラジオを何となく聞いていると、生誕地のオーストリーのザルツブルグでは、モーツアルトが生まれた正にその時間に記念行事が始まった、と言っていた。その時間とは、ザルツブルグで1月27日の午後8時、即ち日本時間では今朝の4時なのである。つまりモーツアルトが生まれたのは正確には(日本時間では)今日(1月28日)なのである。
「今日は何の日?」というサイトもあるが、正確にやろうとすると、時間まで特定してやらなくてはいけないのかもしれない。昔「八十日間世界一周」という面白い映画を見たことを思い出した。

東横インの条例違反ー顔が火照る、アウト!-

2006-01-27 | 時論、雑感
マンションやホテルの「構造偽装」の姉歯問題が続いている中、横浜市で駐車場設置義務を条例で決めているのに、違反して撤去した例が出てきた。大手のビジネスホテルチェーンの東横インである。又「ハートビル法」に違反し障害者用客室を改造して業務用スペースにしたようだ。『朝日新聞』(大阪本社版)夕刊一面に載っていた。全く顔が火照る(ホテル)事案で、東横インは、アウトだな、と思った。(写真は、東横イン横浜スタジアム前)

「京大ギャングスターズ」が実際のギャングに

2006-01-27 | 時論、雑感
京大のアメリカンフットボール部(京大ギャングスターズ)に在籍していた3人が「集団強姦」で逮捕された。(『毎日新聞』一面)実際のギャングになった格好だ。情けない!の一語に尽きる。熱烈ファンだったM.先生などは嘆いているだろうな、と思ってしまう。他の大学でもあった、などとは言って欲しくない。やはり、自分たちのモラルの低下として足元を見つめて欲しい。

モーツアルト生誕250年

2006-01-27 | 時論、雑感
今日1月27日はモーツアルト生誕250年その日である。昨夜もモーツアルトのピアノ・コンチェルトを聞きながら眠りに入った。クラリネット・コンチェルトなども眠る前に聞くと良いようだ。今年は、日本では勿論、生誕地のザルツブルグや活躍地のウィーンなどで様々な演奏会があることだろう。私のブログ検索で「モーツアルト」を調べると、過去06年1月1日、05年12月21日、同11月5日、同8月6日、同7月8日と5回も言及している。ベートーベンの7回に次ぐのでは・・。そのブログでも一寸言及したが、モーツアルトが5歳から亡くなる35歳まで作曲した作品を順に整理したのがケッヘルさんで、その作品順はケッヘル番号と言われる。K○○○というものだ。そのケッヘル番号はいくつまであるかと言うと、626まであって最後が未完の「レクイエム」である。くしくも私の誕生日が6月26日なので、私にとっては覚えやすい数字である。

京都国立博物館

2006-01-26 | 住まい・建築と庭
西澤英和さん(京大講師、建築構造)の講演で、平安女学院の煉瓦造りである明治館改修の話を聞いたのだが、その折に同じ明治の堂々たる煉瓦造りである京都国立博物館のことも聞いた。二つのことが印象に残った。一つは、煉瓦の壁が立ち上がっているが、窓がないということだ。西澤さんの解説では、この建物は明治28年(1895年)の建築だが、それに先立つ濃尾地震の影響で、耐震性を増そうとして、窓をなくして煉瓦の壁ばかりになったのでは、とのことだ。濃尾地震とは「1891年(明治24年)10月28日の早朝、岐阜県・愛知県を中心に起きた巨大地震。この地震は日本の内陸部で発生したものとしては最大級の規模(M8.0)で、死者7273名、全壊建物14万棟という大被害を生じた。名古屋をはじめ都市部では文明開化の象徴ともいえる洋式の煉瓦建造物の被害が目立った。」というものだ。京都国立博物館の1年前に出来た明治27年の奈良国立博物館はバロック様式の煉瓦・石造だが、やはり窓がない。(05年10月14日ブログ参照)この二つは片山東熊(かたやまとうくま)の設計だ。もう一つ印象に残ったのは、軒の出が殆どないため、雨水の処理のために巧みに壁面にデザインも兼ねて水が流れ落ちる溝を造っていることだ。これは解説を聞いていないと気付かない点だと思った。(写真は、京都国立博物館、東山七条にある)