まれに見る大接戦
注目されたスーパー・チューズデーは予想通り大接戦となり、大勢が決まるだろうと予測された共和党候補レースも第3位のハッカビー候補も予想以上に善戦し生き残った。民主党ではオバマが勢いに乗り頭一つ出るかと思ったが、クリントンがしぶとく優勢を保った。
今回の結果については日本の新聞・テレビも詳しく報じているが、日本メディアが報道しない注目すべきこともいくつかある。民主党候補者レースはまれに見る接戦で見応えがあった。
ケネディ家がオバマ氏支持を表明したが、地元のマサチューセッツ・ニューヨーク・カリフォルニアの3州全てでヒラリーが勝った。その場面が何度もテレビ画面に流れたが、ケネディ・ブランドもその程度の重みだったのかもしれない。実際のところ、ケネディ家は割れていたといわれている。
戦いの特徴: 世代・人種・性
米国メディアの報道を見ると日本に比べ詳細な分析があり色々なことが分かる。(NHKは膨大なデータベースを持っているはずだが詳細は公表してない)。州ごとの出口調査を基にした得票率、世代間の投票率などの情報は特に参考になった。特にCNNが私には役に立った。
例によって私風の穿った見方をすれば、今回若者(オバマ)対中高年(ヒラリー)の戦いであった。共和党に比べ民主党若者の投票率が高い(特にオバマの勝った州)一方、共和党は60歳以上の投票率が高い。民主党でも60歳以上の投票率が高い州ではヒラリーが優勢だった様に見える。
黒人の圧倒的なオバマ支持、カリフォルニアでのヒスパニックとアジア系のヒラリー支持という人種ファクターが結果を支配した。だが、オバマ支持に向かう白人男性も多く人種色を薄め、今までの黒人候補とは違うことを示した。一方、女性のヒラリー支持も東部諸州の投票結果を左右した。
薄れた宗教色、最後に勝敗を決めるのは誰
今回の選挙の特徴は前回に比べ宗教色が少ないことだ。前回ブッシュ大統領が宗教保守派の取り込みに全力を上げ、国を分断する選挙戦を展開した。今回有力候補者は中道寄りの政策を打ち出し、無党派票の確保が勝敗の分かれ目になっている。
その流れに棹を差そうとしたのが、前回選挙で強い影響力を持ったラッシュ・リンボウ等の保守派論客だが、今回彼等は殆ど引用されることが無かった。彼等が推したロムニー[1]はハッカビーと票を分け合う結果になり失速した。ラッシュ・リンボウはもはや過去の人になったと言われている。
あえて言うなら、今回の勝者は選挙では選ばれない民主党のスーパー・デレゲートと呼ばれる人達だろう。予備選でヒラリーとオバマの戦いは決着せず、民主党の全国大会でスーパー・デレゲートがキャスティング・ボートを持つことになる可能性が極めて強い。彼らの多くは当初ヒラリー支持といわれたが、誰が共和党のマケインに勝てるかを見極めて最終的に誰か選ぶだろう。
私的スーパー・チューズデー
今回のスーパー・チューズデーで誰が勝つかニューヨーク州のメル友と賭けをした。彼女は熱烈なヒラリー支持者だが、直前の勢いを肌で感じて信じられないことにオバマに賭けた。東部の票が開きニューヨークでヒラリーの価値が決まったところで敗北宣言、贈り物を送ると言ってきた。
ところが、その後‘山岳州’でオバマが勝ち続け情勢逆転、最後のカリフォルニアでヒラリーが勝って再逆転というスリリングな展開となり私は勝ったはずだった。しかし、代議員獲得数が最終的に確定すると結果は引き分けというべきで、贈り物は次回にとっておくと昨日朝方メールを打った。
その後の報道を見ると今後オバマの勢いが増す情勢のようだ。特に話し合いで誰に投票するか決める「コーカス」州は全てオバマが勝ったことが、彼の勢いを示すとして評価されている。彼女も私もヒラリーの先行きは容易でないということで一致した。■
[1] 今朝方予備選撤退の速報が入っていた。
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