かぶれの世界(新)

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残ったのは病院と農協、そして郵便局

2015-04-18 18:37:22 | 日記・エッセイ・コラム
昨日昼食前に郵便局に行った。旧道沿いの商店街は人影が無く、郵便局内も職員3人だけだった。向かいのスーパーや隣の文具屋がなくなり、その隣の酒屋も国道沿いに移転した。田舎は完全に車社会になった。買い物は年寄には不便なコンビニだという。残ったのは病院と農協、それと郵便局だねと言うと3人から苦笑いが返って来た。深刻な現実を考えると悪い冗談では済まされない。

狭い旧道沿いの小さなお店は人の気配はするものの殆ど閉店してしまった。帰りに水をやっている花屋の中年婦人に声をかけ、気になっていた旧蔵元の家敷の名札が無くなっていたが売却したのか聞いてみた。彼女は何も知らなかったが、蔵元を相続した姉妹の近況を教えてくれた。余り幸せそうではなく聞いててため息が出た。

子供の頃見渡す限り田畑だけだった国道沿いに今では切れ目なく見慣れた店が並んでいる。それらは全国チェーンのスーパーや専門店、ガソリンスタンドが殆どで、昔からの地元の店は少しはあっても今にも潰れそうだ。その周りに新しい住宅が点在し、その住人は国道沿いのお店に勤めているのだろう。こういうところだけを見ると人口が減っているとは感じない。

実家のある集落に戻ると馴染みのおばちゃんたちを見かけ世間話をした。彼女達は元気そうに見えるが、80代から90代だ。亭主はとっくに死んでいる。10年後にはこんな風景は続かないだろうと思った。そうなる可能性は極めて高い。今年唯一人の女子高生が卒業し大阪の会社に就職した。遂にここには子供を産める年代の女性が一人もいなくなってしまった。

昨日発表された総務省の人口推計によれば四国の総人口は前年比0.69%減(全国平均0.17%減)であり、自然減と転出両方で減少率が拡大したと報じられた。田舎に来て私が受ける印象は東京と地方の関係が、愛媛県では松山と他の地域の関係と相似している様に感じる。人口減少のマトリョーシカ症候群は細部に行くほど深刻で、全国で消滅する自治体が続出するというショッキングなレポートを今でも現実のものとして実感できる。

私の実家のある集落は正に消滅の危機にある。危機と言うのは甘い、最早避けられない現実と言うべきだろう。私はこの沈没する船に残る積りだが、家族を道連れにはできないというのが正直なところだ。その時は郵便局も農協は何をするのだろうか。■

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