復党問題でケチがつき任命した大臣や委員長の不祥事・スキャンダルで安倍内閣の支持率低下が続いている。しかし、支持率低下は政策とか彼自身の問題に起因しているのではない。唯一安倍首相が直接係わりその判断に国民が反対したのは復党問題だが、これも政策とはいえない。
よく引き合いに出される小泉前首相の構造改革の肝は、政策決定プロセスを根底から変えたことだった。官僚と族議員が牛耳った密室での既得権益の調整機能を果たす部分最適な政策決定が、オープンな議論で全体最適な政策決定プロセスに変えた。
この政策決定プロセスは族議員と官僚にとって権力の源泉でありその反発は大きく、国民の圧倒的支持を受けた前首相といえども重点テーマに絞らざるを得なかった。ニュースにならないが安倍内閣はこの政策決定プロセスを引き継ぎ粛々と進めていることを私は注目したい。
十分に機能していないとマスコミ受けせず余り評判の良くない官邸機能だが、安倍内閣発足後スタートした新スタッフによる政策決定プロセスは決して後戻りしていない。むしろ経済運営の領域では派手さはないが良い循環に入りつつあるように見える。
それは官邸主導の民間専門家から構成される特別委員会に対して官僚がかなり必死に対案政策取りまとめに動いているように見えるからだ。確かに族議員を使ったりスキャンダルを暴露するなど昔ながらの抵抗も散見されるが、一方で政策には政策でオープンに対抗する「正統」な動きが見られる。
これを従来からの官僚の反逆と見る必要はない、それは議論がオープンになっており双方とも公平な評価を受けるので、結果として政策競争関係になっているからだ。組織の縄張りと老後の生活に熱心で路頭に迷っていた官僚組織が正常化する可能性が出てきた。彼らが本来の機能を発揮し始めた時のパワーは測り知れないという期待がある。
阿部内閣の旗は憲法改正だし、首相は改革の継続以上のことは余り言わない。マスコミ受けする派手さもない。しかし、正にこれは田中直毅氏が命名した「2005年体制」の定着であり、それだけでも阿部内閣は良い仕事をしていると私は評価する。大体代わりが無いじゃないか。
柳沢厚相の失言追及で野党は国会審議拒否をしたのは失望した。特に社民党等と同じ硬直的な対応をした民主党が政権政党の受け皿にならないと自ら証明したように見える。政権交代の芽を自ら潰したことに気がついているだろうか。安倍内閣はそう悪くない。■
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