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データは神なり

2024-03-11 11:13:35 | 社会・経済
60年近く前に上京して職場実習を体験した時、驚くことに中央研究所に配属された。私は電気工学を専攻してたが、たまたま教わった半導体に興味を持ち大した知識もないのに量子力学の領域を希望したからだ。中央研究所で仕事をする知識など皆無だったが、私は若い頃から注目を引きそうな言葉を理解もせず発する性向があった。

実習のテーマは当時注目されていた発光ダイオードの発光効率を計測するものだった。私は発光ダイオードが何かも知らなかったが、サンプルデータを実測してグラフ化する簡単な実験だった。だが、理屈に合わないデータの解釈について研究員にいわれた言葉「データは神なり」は、その後私の人生に影響を与えることになった。理屈にデータを合わせるな、データは神だと。

その後同じ会社で電子計算機開発を担当し、「データは神」が他の領域にも広がった。根拠が不明確なまま或いは「一事が万事」的に物事を判断して善悪を報じるマスコミ報道を私は信用出来なくなった。と言いながら、能登半島地震は高齢化が進み地震に対する備えが出来てなかったと一方的に感じていた。だが、昨日の日本経済新聞を見て私の考え方が間違っていたと気付いた。

1面トップの記事「チャートは語る 能登避難3.11より早く」で能登半島地震発生後6-7分で半数の人が逃げ始めた、13年前の半分以下だったと。一方、危険な車の避難が4‐5割だったと。東日本大震災の死者2.2万人の半数は避難遅れの溺死だった。能登半島民はバカじゃない、教訓を守った。車の避難が多かったのは高齢化・過疎化と地形上の制約があったからだと。

能登半島の人達は東日本大震災の教訓を生かして避難先を事前に把握し、近隣住民にに声掛けして速やかに避難していた。それが、高齢化・過疎化が進む能登半島であったとしても、死者・行方不明者を200人余りに抑えることが出来たのだと、私は考えを改めた。一方で、土曜日の朝刊では能登半島は水道などインフラの耐震化が遅れている、全国的な課題も明らかになった。

日本経済新聞が推測よりデータ(事実)で事件を報じる姿勢を高く評価し感謝する。マスコミ報道が個人データを深く掘り下げて一般論に導く報じ方には私は違和感がある。往々にしてそれは全体像を失い、人々を誤った方向に導く恐れがあるからだ。勿論、それが隠された重要な事実を明らかにする場合もある、ならばそれを一般論に導く最大限の努力をすべきだと思う。■
コメント
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