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覚悟の無い原発反対(続々)

2012-05-13 23:03:41 | 社会・経済

予想した通り原発再稼動は難航している。だが、これほど議論が深まらないとは予想しなかった。お茶の間に流れるニュース番組のコメンテーターの多くは議論に必要な最低限の知識が無く、予め作られたシナリオに従ってただただ反対論を展開しているように感じる。

これだけ国民が注目する問題を入口の議論だけに矮小化し、我国の未来を決める折角の機会を無駄にしそうで残念だ。テレビだけを見て判断する国民の大半に対し、電力供給が何とかなるはずと政府と電力会社を非難するだけでは何も生まれない。将来どうするかは別として現実を踏まえ万が一の原発事故を恐れるのと同じ熱心さで今年の夏をどう乗り切るか準備を急ぐべきだ。

ここまでの報道を見て私が理解したことを整理すると以下の通りだ。

電力会社は需要を満たすため老朽化した火力発電所等の既存設備を総動員して不足分の電力供給を補っているはずだ。その不足分の電力は巨額の化石燃料の輸入で賄われている。特に関西電力の原発依存度の高さから言うと、現在の見積もりでも原発ゼロの穴を埋め安定供給出来るかギリギリの判断もあったと想像される。

というのは老朽化した火力発電所が万が一ダウンすると、ブラックアウトを回避できる最低限の余裕が無ければ正に非常事態になる。安定供給の為の余裕は3%だといわれているという。万が一の場合、病院や介護施設運営に影響が出たり、企業のクリティカルな活動が機能しなくなるリスクは絶対に避けなければならない。

この夏に想定外の猛暑が来ることを皆恐れている。だが、それだけではない。老朽設備の信頼性をどこまで確保できるか寧ろ心配、徹底的に検証されるべきだ。リスクは火力発電所の稼働率に加え、先日発表された全国に30箇所あるといわれる活断層上の水力発電所かもしれない。これについて専門家の検証が必要ではないだろうか。

ダム崩壊時の被害は電力供給に加え深刻な被害をもたらす恐れはないのだろうか。過去に世界で起きたダム決壊では数百人が死に尋常ならざる被害が出たことがある。原発でなければリスクを無視するのか、日本の水力発電は大地震でも大丈夫なのか私には分らない。東北大震災の教訓の一つが危機は想定外のところに起こるのだ。

いずれにしても関西地区は電力供給に余裕が無い、猛暑となれば関電以外の電力会社の支援は必須だろう。大阪府知事は近畿以外の地域に節電と電気の融通の協力を依頼するという。当然だろう。だが、本当に猛暑になった場合に他地区の電力会社が自らの顧客に節電を依頼出来るか疑問が残る。前原氏の言うように少なくともプランB(関西地区の計画停電)を作成しておくべきだと私は思う。

最悪ケースを考慮してこの夏を乗り越える準備をした後、時間をかけて将来計画を議論し国民的コンセンサスを得るべきだ。今日、電気は我々のあらゆる活動の基になっている。身の回りの生活から、社会・経済活動まで電気なくして何も成り立たない。しかもそれが当たり前だった。果たして人はどこまで節電でき、それを維持できるだろうか。節電した上に電気料金値上げに我慢できない人達も出て来るだろう。落とし所をどうするかは今結論を出さなくてもいい。

こんなところが原発稼動再開ゼロにおける私の理解だ。

その程度のことは誰でも容易に想像がつくはずだと思っていたが、現実はそうでもないようだ。2日前の朝と昼のニュースバラエティ番組(朝日とTBS)を見た。出演者は上記の理解すらなく入口の議論を繰り返し、無知(失礼!)で感情的な言葉が聞こえてくる。原発再稼動はダメ、電気料金値上げもダメ、「何でも反対」という展開で、この夏をどう乗り切るかより政治や電力会社の責任追及ばかりする。3月末に投稿した頃と変わりが無い。

まるで国民総「駄々っ子」状態を推進する番組という印象だ。「駄々っ子」では生易しい、このままでは国を誤らせる。大事になるとどうしてこういう構図が出来上がるのか。これでは自国の姿(実力)を直視できず国民を煽り勢いで世界大戦に突入した73年前の日本と変わらない。今のメディアは種々の情報を集約して国民に提供しコンセンサスを作り出すべきなのに寧ろ貶めている。

実は番組を見ていて馬鹿タレントやタレント化した馬鹿評論家以外に、私の理解よりはるかに現状を理解していると思われるジャーナリストがいたのに気が付いた。だが彼等は肝心な時に口をつぐんだ。時間切れなのか、番組のお約束事なのか、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」式の子供じみた馬鹿な議論が大声で展開されたところで番組を終らせていた。彼等の責任は重い。

この悪貨に良貨が駆逐される状態を許すマスコミが、議論が深まらず生煮えのまま物事を決めてしまう状況を作り出すと私は憂う。数年前まで大騒ぎした地球温暖化はどうなった。原発ゼロのまま化石燃料に頼った場合のCO2増加を予測し国際公約がどうなるのか、1000年に一度の地震で大騒ぎするなら、100年後の地球温暖化はもっと深刻になるのでは?等々考えるべき事は多い。あらゆる可能性、リスクを総合させてコンセンサスを作って行く重要な役割を果して欲しい。■

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