かぶれの世界(新)

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老人の街

2012-02-17 23:29:05 | 日記・エッセイ・コラム

昼食前に税務署に行き、昨日ネットで済ませた確定申告の添付資料を提出した。医療関係の領収書が多く一件毎に手入力すると手間がかかり過ぎるので、スプレッドシートで手早く集計した結果を使った。その場合は領収書と明細書の現物を別に提出する必要がある。

我家では母が介護を受けており、私も今年高齢者になる。確定申告の時期になると毎年医療費が増えるのを領収書の束の厚さで実感する。今年還暦になる家内は今まで医者要らずだったが、いつまでも続く保証はない。我家も益々医療費が増えていく日本の典型的な例かと思う。

平日の昼前という時間帯のせいか、税務署の待行列は思ったより短かった。待ち時間10分前後で受付に到達、添付資料提出だけなので数分で終わった。列の前後を見渡すと私と同年代かそれ以上の方が殆どだった。女性が4割程度と意外に多かった。

朝早く行った昨年までとは違う時間帯のせいだと思うが、一気に老化が進んだ気がした。若い人は職員だけという感じだった。その足で、駅前の商店街に買物に行った。意識したせいか途中ですれ違う人達がやたらと老人ばかり、足早で歩く私の前をゆっくり歩くお年寄りに何度もぶつかりそうになった。最初に行った八百屋は同年輩のオヤジさんだった。

次に百貨店では売り場の店員が一気に若返り華やかになった。彼女等の言葉はテンポ良く少し甲高い。しかし、お客の殆どは中年や老人だった。帰りに100円ショップに立ち寄り飲み物を買った。財布から小銭を出すのに手間取り謝ると、店員が「いいんですよ」とまるで年寄りに言うように優しく応えた。そうだ、私は年寄りだった。税務署からここまでずっと若者の積りで来た。

昼食が遅れて帰宅を急ぐと青信号が点滅し始めたので、交差点を小走りに駆けて横切った。驚いたことに腰の曲がったお婆ちゃんが、買物カートを引き摺りながら私の後についてきた。信号が変わって今にも飛び出しそうな車のドライバーに目で合図しながら、私は歩みを止めて彼女と並んで交差点を渡った。「せわしないね」と言うと、彼女は意外と大きな声で「そうだね」と答えた。■

コメント
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