かぶれの世界(新)

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不思議な閉塞感

2009-05-24 23:39:10 | 社会・経済

インフルエンザ感染が水際で食い止められず、国内感染が急速に伝播する中、政府当局は新たな対応に切り替えることを発表したが、ワクチンの開発遅れや各地でマスクの売り切れが報じられ、依然として国民を不安にさせている。弱毒性なのに騒ぎすぎという指摘も出始めた。

インフルエンザに直接関係があるかどうか不明だが、日本全体に閉塞感が不思議なほどに広がっているように私には感じる。思い過ぎかも知れないが現状を最悪状態と認識し将来に対して余りにも悲観的だ。楽観的だと報じられている米国民が能天気なのか、或いは日本人が悲観的に過ぎるのか。私が楽観過ぎるのか。この閉塞感の原因が何なのか私なりに考えてみたい。

第一に政治に対する期待が中々満たされない不満だ。小沢民主党代表が党内団結を理由に辞任し、人気の高かった岡田氏ではなく鳩山新代表が批判のあった短期間での選挙で選出された。それでも最新の世論調査結果は、麻生政権下で改革が止まったと見られる政官癒着の自民党政治を変えたいという期待が勝り、大方の予想よりも鳩山新代表の支持率は高かった。ベストでなくとも現政権よりはマシとの国民感情の表れと推測される。

第二に第2次補正予算の問題だ。将来の日本を背負う若者世代の為でなく、むしろ不要な道路や箱物を作り巨額の借金を後の世代に付回すものと指摘されている。ここは踏みとどまり断固反対して選挙で国民に問うべきところだと思う。問題が明白であっても、総選挙優先の方針なのだろうが補正予算は間もなく成立する見通しで、国民の間にも諦めがあるように感じる。

第三に考えられる理由は先日発表された1-3月のGDP成長率が年率換算で15%以上のマイナスという衝撃的な落ち込みになったことだろう。当局は景気底打ちの兆しを示唆する発言をし、鉱工業生産指数や消費者景況感の改善などを挙げているが、良い情報の殆どは保険の細かい注意書きみたいにしか受け取られていない。

第四の理由として国民に圧倒的影響を与えるテレビ・メディアの報道姿勢があると思う。悲観的な情報を優先し過剰に感情的に伝える為、多くの国民を不安にさせている。このところ、そういう報道があまりに多く枚挙に暇が無い状況だ。

1四半期の経済成長が戦後最大の下落のみ伝えられ、四月以降の底打ち感を知らないと不安だけが残り消費を控える。豚インフルエンザを国家の危機のように伝え、海外の落着いた様子が分かると一転して騒ぎ過ぎと批評する。裁判員制度を極端な例を持ち出し被害者感覚で不安感を煽る一方で、司法制度を良くして行く為の義務を果すとか民主主義の権利の行使という視点で伝えない。これら全てでもって、国民の多くに前向きになれというのは如何にも難しい。

経済は各国の事情が異なるため同じ比較では無い可能性もある。だが、同じ豚インフルエンザの対応を海外に比べると日本の過剰な対応が際立っている。そこには経済でも司法でも共通するものを私は感じる。それが悪いニュースばかりに反応する不思議な閉塞感を醸し出しているのではないだろうか。逆に、何時の日か成功に浮かれすぎる時も同じ理由で来るのかも知れない。

実際のところ3月上旬にシティバンクの業績改善の社内広報以来、世界の株式市場は暴騰とも言えるペースで上昇を続けている。日本も30%以上の上昇を見たが、特に新興国の回復が目覚しい。こういう時の投資家心理は非常に興味がある。彼らの決定はリスクをどう見ているかによる。

知り合いのアカウントマネージャによれば、ここに来て「質へ逃避」していたリスクマネーが米国から新興国に流れ出始めたという。彼らが儲けたい欲とお金を失うリスクを秤にかけて投資を決定したのは、冷徹な計算と根拠があったのだろうと想像するが、それが何かニュースにはならない。だが今こそ楽観的になる時だと私は思う。■

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