かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

私的・日本の富裕層

2007-12-23 18:26:39 | 社会・経済

ローバリゼーションの深化に連れて、世界各国で富裕層が急増している。メリルリンチ(2007.7.12)によれば2006年末の100万ドル超(1.1億円)以上の資産家が1年前と比べ80万人8.3%増えて世界で950万人になったという。凄い勢いだ。

特にロシアや中国、インドなどの途上国では経済成長につれ富が限られた層に集中し、極端な格差社会が出現した。1年間でロシアは富裕層が15.5%、中国は7.8%増えたと報告されている。比率だけでなく、頂点に立つスーパーリッチといわれる人達に突出して富が集中したのも特徴だ。

一方、日本では5.1%増えて147.7万人、世界の富裕層の15.5%は日本人だと発表した。日本の所帯数は約8000万であるから、約50人に一人が1億円以上の資産家ということになる。格差問題で底辺の人達ばかりが議論されるが、身の回りのお金持ちについても語ってみたい。

実は、田舎の実家にある極小さな集落で約3-4割が上記の富裕層にあたると母は言う。何故そんなことが分かるかというと、昔からのお金持ちは2,3軒でありよくわからないが、その他のお金持ちは80年代以降に高速道路・国道・堤防拡張のために農地を売却した農家で、売却した土地の広さと単価で簡単に幾らか分かるからだという。

家といっても家族三世代のうち祖父母が死ぬまで働く農業、両親は兼業、子弟はサラリーマンという構成が基本である。私のように母は農地を貸し、両親(私)が都会に出てサラリーマン、子弟は最早血が繋がっているだけの都会人、という形で後継者が断たれている場合もある。あるいはこの断点がもう1世代後の場合もある。

多くの富裕層は自ら汗して手に入れた富ではない。先祖伝来もしくは戦後の農地解放で手に入れた土地がたまたま上記のインフラ工事にぶつかったため、高度成長時代に主として企業が生み出した巨大な富が移転されたのだ。歴史上30年くらいの特異な期間で起こった特異なことだ。

格差問題で喧々諤々の議論が起こる中、近所のお年寄たちは自然体で柔和な顔をして黙々と農業をしている。大金を手に入れても、彼らの生活は変わらず質素でお金持ちの印象は全くない。極めて堅い清貧な生活をしてきる。しかしながら、私にはいくつか農村に共通する問題を感じる。

一つは本業の農業が幾ら厳しい状態になっても、いざとなった時に使える資産がある。彼らは原点に戻って必死で農業を改革して効率化して行く気が起こらないし、もう若くもない。農業再建をになう人達ではない。こういうところにバラマキ予算をつけるとどうなるか、容易に予想がつく。

もう一つは、農家の資産の殆どは定期預金の形で地元の農協や郵便局、地方金融機関に預けられ、お金を有効に働かしていないことだ。私はこの資金の規模がどのくらいの額になるのか具体的なアイデアはないが、一方で自治体は巨額の借金を抱え倒産してもおかしくない状況にある。蛇足ながら、幸か不幸か実家の農地はインフラ工事にかすっただけでした。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする