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主党が支援する昨年まで現役だった元Jリーガーが自民党のベテラン議員を破り、初めて私の田舎で野党候補が議席を獲得した。これが驚くべきことに四国全県の現象であり、全国の1人区で起こったことだった。地元のテレビ局はこれを「保守王国の反乱」と称して特番を組んでいた。
残念ながらうっかり番組を見逃したが題名を聞いてその内容は予想がついた。構造改革で公共事業の予算など国から資金のパイプが絞られ地方は苦境に陥った。資金を地方に誘導する役回りの自民党支援団体の集票能力が低下し、民主党がそこに代案を提示し受け入れられた結果というものだろうと推測する。
前回の郵政解散の衆院選の結果を、従来野党の票田だった若者を中心とする都市部と無党派の票が小泉自民党に流れた現象を「都市の反乱、若者の反乱」と評価した。それと一体何が違うのだろうか。
「都市の反乱」とは、都市で生んだ富を車が殆ど通らないような地方の道路や豪華な公民館を作るという効率の悪い投資に無駄に使われ、その間都市の国際競争力が低下、ひいては日本の地盤沈下に対する不安、「若者の反乱」とは、バラマキ政策で積み重なった国の借金を次の世代に先送りする老人(既得権益)世代への反発というものであった。
争点を俯瞰すると格差は富の配分にかかわることであり、今回の参院選は議論が深まらず振り子が左右に振れるだけで議論に進歩が見られない結果だった気がする。未来の少子化・老齢国家を一体どうすべきか、子孫に何を残すのかという議論がない。困っているから何とかしろという議論ばかりだった。
このような事態を克服するのは政策決定プロセスを変えることから始めるべきであり、小泉改革はその端緒であると期待した。田中直毅氏はそれを2005年体制と呼び継続性があるプロセスと説いたが、今回は結果論のみ議論されそれが検証されなかった。
選挙を保守王国の反乱で済ませたのでは何も変わらない。次の選挙では振り子が逆に振れ、都市か若者が反乱を起こす。今日の新聞によると都市人口が50%を超えたそうだ。老齢化社会といえ、いつかは今の若者以下の比率が多数派となるのだから。■