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金利上げで円高にならなかった訳

2007-02-25 14:43:58 | 社会・経済

G

7で円安が直接槍玉に挙げられなかったことで、当面ないとの観測が大勢を占めた日銀の追加利上げが突然発表された。しかし、その直後円高に振れた為替相場は間もなく何事も無かったように120円台に回復、日経平均はびくともせず翌日高値を更新した。私のような素人には予想外の展開だった。

予想外の展開にアナリストは①この後利上げがなく依然低金利が続くことが明確になった、②為替相場に影響を与える材料が出尽くしたというよく分からない理由を説明した。彼らも虚を突かれたのだろうか。G7前の円安を問題視する欧州の攻勢が腰砕けに終わり、当面利上げはないという観測報道に変わり、その直後に利上げされるという展開に他に説明しようがなかったようだ。

もっと直接的には欧州経済が好調、かつ米国経済が住宅バブルの影響を乗り越え軟着陸の見通しが認識されてきたことが指摘されている。つまり日米欧の経済ファンダメンタルズ及び金利と為替相場の間のギャップ(から生じるエネルギー)が縮小しつつあるということである。

私は相対的にユーロの影響力が拡大しドルとのバランスが変化したことが根底にあると考える。今まで円安に振れる要因として、金利の安い円を借りて金利の高い通貨で運用する所謂円キャリートレードが指摘されていた。しかし、昨年ドル相場が急変した頃からリスク対応の為運用通貨がドルからユーロ等に分散され、環境が変化したという解説を最近見て注目した。(筆者不明)

これは円にとっても為替相場が極端に振れない環境がでてきたということになると私は考える。金利は今後長い時間をかけて景気に中立なレベル(2%)程度まで上昇するだろうが、それ自体は想定内でその程度の利上げは為替相場をドライブする要因ではないと予想する。

替相場変動はユーロとドルがドライブするだろうが、両通貨とも同じ方向に振れる可能性は減少し「円安地合い」の中でより緩慢に変化するのではないだろうか。少なくとも現在はそういう環境下にある。しかし、こういう環境がずっと続くかどうかは微妙であると私は思う。それは米国への資金還流とアジア・中東諸国などのポートフォリオ見直しの方向が流動的だからだ。

米財務省によると昨年12月米国の長期有価証券に対する海外資金流入超が過去5年で最も低調になり156億ドルに減少した。(モルガンスタンレー)米国は資金需要が高いにもかかわらず慢性的な貯蓄不足の改善に熱心でないことが海外諸国との緊張を生んでいると見られている。

もっと具体的に言うと、アジア・中東諸国が外貨準備を多様化させている。つまりドル建て投資の効率が悪いから他の通貨の投資を増やしポートフォリオを見直しているらしい。特に世界最大の外貨準備を抱える中国の動きが注目される。最近1兆ドルの外貨準備高のうち2,000億ドルをシンガポール政府公社のファンドに投資する決定を下した。(モルガンスタンレー)

しかし財務省証券が減少する一方で社債の買い越しが続きトータルで資本収支の黒字拡大が続いている。つまり国債が減った分を上回る民間部門への投資が続いている。とは言っても2007年の米国市況から資金流入拡大ペースの鈍化が予測され、ドル円相場の環境変化が起こる可能性は考えておく必要がある。

私はその場合でも欧州経済が元気なら一直線で円高に向わないだろうと見る。参考の為、日欧中の2006年米国にどれだけのお金が流れたかを目安として記す。株式・債券に投資された資金(ネット)は、欧州3,737億ドル、中国1,126億ドル、日本613億ドルにのぼる。(新光総合研究所)■

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