かぶれの世界(新)

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耐震設計偽造

2005-11-30 10:29:14 | 社会・経済
マンションの耐震設計偽造が連日報じられている。誰が悪者か魔女狩りが始まった。ユニークな人物が登場するとカメラは集中的かつ扇情的に追跡し、報道は被害者代表を気取り怒りをぶちまけ又もや大局を失ったように見える。住まいの安全性を脅かされているマンションの住民や不安に思っている視聴者に付込んだ報道の仕方は病的でさえある。

敢えて非難を恐れず言うと、私は何から何までJR西日本事故との共通性を感じないではいられない。どちらも安全性が建前になりビジネスが先行した結果破滅的な結果が生じた。そしてテレビは被害者の悲惨な状況と悪者探しを繰り返し報道する。

更に厳しいことを言うと、事故の前までJR西日本のタイトな運行は好評で、競争する私鉄から利用者を奪っていた。多数の利用者はJR西日本をその利便性の故選んでいた。事故が無ければ多分スーパードライみたいに顧客中心経営のお手本として業界紙等でもてはやされたろう。

つまり「売れる商品」と「良い商品」が必ずしも一致しておらず、「売れる商品」を追求しバランスを失い悲劇が起きた。事件が起こった全体像を競技場に例えると、そこにはデベロッパーや設計事務所、ゼネコンだけでなく、買う側とそれを煽るメディアも参加していて起こったのだといいたい。被害者や検察であると同時に、今日「良い商品」を見分け正当に評価する仕組みや、消費者マインドを希薄にした一員なのだと。

最近マンションブームは都心部への回帰とあわせ活況を呈していた。テレビ番組で取り上げる頻度が増え、内装の豪華さ、最新のキチンやお風呂、窓からの美しい眺めなどを面白おかしく報じていた。メディアは一方で「売れる商品」を煽り、他方で「良い商品」でないと叩いているのである。

誤解を恐れず大胆に言うと、個々の被害者に対しては本当にお気の毒に思うが、個人としての意識は無くともマクロで見たとき消費者トータルとしては表面的なものをより評価する傾向があって今回の不祥事を醸成する役割を果たした、メディアはそれを煽ったことを申し上げたい。

私は責任者に対する厳罰主義と消費者が自己責任で賢い選択をするための公平な第三者評価機関、そして万が一のときのミニマムレベルのセーフティネットが今日の状況にフィットしていると考える。■


コメント
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