語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~

2014年05月16日 | 社会
 (1)沖縄県八重山地区の3市町(石垣市・竹富町・与那国町)は、法律上同一の教科書を使用することが想定されている。にも拘わらず、3市町の間の協議が整わないまま、3市町の協議会が育鵬社の教科書を採択する、という答申をした。
 竹富町はこれに従わず、東京書籍の教科書を使うことにした。
 これに対して文科省が、育鵬社の教科書を使え、と強制しようとしている【注】。

 (2)マスコミは大きく取り上げた。ただし、手続き論は伝えても、教科書の内容の問題にはほとんど触れていない(基地問題の取り上げ方が育鵬社の教科書には少なく、東京書籍のそれの方が手厚い、ということ以外は)。触れていても、せいぜい両論併記でお茶を濁している。
 政治的な問題には「マスコミは公正中立でなければならない」という建て前で、問題から逃げているのだ。
 安倍政権を恐れている、というより、反中反韓の気分が強くなっている世論に迎合しているのだろう。

 (3)教科書の内容を見ると、育鵬社のそれは「保守色が強い」というような生易しいものではない。
  (a)本文に入る前の3~4ページの見開きのカラー写真。
    中央に「世界平和の実現に向けて」と大きな文字が躍り、10枚の写真がある。左上から右に、
      ・北朝鮮のミサイル発射、
      ・ロシアによる北方領土不法占拠、
      ・韓国の竹島不法占拠、
      ・中国が領有権を主張し始めた尖閣諸島、
    左中央に戻って、北朝鮮への制裁を訴える横田夫妻と並ぶ。
    この写真を見たら、世界平和のためには、ロシア、中国、韓国、北朝鮮と戦わねば、という気持ちになるであろう。

  (b)次に、前書きで、<日本は(中略)中国とも欧米ともはっきり違う文明を作り上げてきた国です>。
    続く本文第1章1節では、<日本の文化は、早い時期に中国の文化から自立し、中国とも欧米とも違う文化を築いてきました>と、また中国との違いばかりを強調し、中国の影響を非常に強く受けた、という歴史的事実を伝えない。

  (c)33ページでは、原発建設について市民の間で意見が対立した場合の解決方法について、<国民全体が原子力発電所と共存して安心して生活できるよう、国や市や事業者が全力で取り組むことが求められています>と、原発建設が正当であるかのように既述する。
    むろん、福島原発事故で避難者がいることには一言も触れていない。

  (d)51ページでは、<今後は(中略)国会の議決を経た上で、国民投票による改正の是非が語られることになります>と、憲法改正を既定事実化する。

  (e)立憲主義についての記載がない一方、49ページでは、集団的自衛権を憲法解釈変更で認めるべきだ、という特異な考え方が、わざわざ紹介されている。

 (4)育鵬社と東京書籍の両方の教科書を使ってはどうか、とある新聞の社説は提案した。
 無責任な、あまりに無責任な。
 そもそも何人の記者が、これらの教科書を「全文」読んだのか?

 (5)産経新聞によれば、文科省関係者は、「どちらも国が認めた教科書。中身を見ないでレッテル貼りすれば、使用している生徒が混乱する」としているそうだ。
 皮肉なことに、八重山地区の協議会委員もこれらの教科書を読んでない、と告白した。
 読まずに育鵬社の教科書が良いと決めるのも、一種の「レッテル貼り」。
 これが混乱の原因だとすれば、文科省の言うことも、あながち間違いではあるまい。

 【注】「【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~

□古賀茂明「竹屋町「教科書問題」の本質 ~官々愕々第108回~」(「週刊現代」2014年5月24日号)
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 【参考】
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~

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【医療】医師はとにかく「教授」と呼ばれたい ~病院教授・臨床教授~

2014年05月15日 | 医療・保健・福祉・介護
 次のいずれも正規の教員のポジションではない。それでも医師は「教授」と呼ばれたいのだ。

(1)病院教授
 医局のヒエラルキーの中では、教授の一歩手前の准教授と同格だ。
 大学病院が「臨床で優れた業績がある」という名目で与える肩書。待遇(給料など)は准教授と同じだ。
 准教授は字面や響きがカッコ悪い。【ある国立大学教授】
 権力と体裁を第一に考え、教授ポストが空くのをじっと我慢している准教授たちへの「ご褒美」が病院教授という肩書きなのだ。

(2)臨床教授
 実態がわかりにくい「教授」の一つ。
 医学部生の教育を担当してもらうため、大学側が一般病院の経営者や開業医などに与える称号だ。
 大学病院以外の医療機関で臨床実習を行うために付与するケースが一般的だが、医学部同窓会の実力者に付与されることもある。

(3)客員教授
 実態がわかりにくい「教授」の一つ。
 他大学の教授や関連病院の実力者などに、非常勤で講義してもらうための肩書。
 医学部以外でもよく使われる。支払われる給料の額は、仕事内容による。

(4)特任教授
 実態がわかりにくい「教授」の一つ。
 医局OBや他大学の名誉教授など、定年を過ぎた医師を再雇用するため使われることが多い。
 給料や勤務日は少なめで、任期付き。
 製薬会社から大型研究費を獲得した研究者に付与することもある。 

□コラム「病院教授や臨床教授も存在 医師は「教授」と呼ばれたい」(「週刊ダイヤモンド」2014年5月17日号)
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 【参考】
【医療】1日30分でも3万円稼げるバイト ~レセプト審査~

   
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【医療】1日30分でも3万円稼げるバイト ~レセプト審査~

2014年05月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)1日30分、自分の好きな時間に事務所に行って端末を操作するだけで、アルバイト代が3万円。月に10日間やれば、30万円を稼げる。
 ふつうのサラリーマンには、こんなバイトはまず無い。
 ところが、医師の世界では、こんなバイトが実在する。
 診療報酬明細書(レセプト)をチェックする仕事だ【注】。

 (2)診療報酬は、医療機関が提出したレセプトを基に、企業の健康保険組合や協会けんぽが医療機関に支払う。このうち、サラリーマンやその家族の支払った医療費のレセプトをチェックする機関が社会保険診療報酬支払基金だ。
 支払基金は、全国47都道府県に設置され、医療機関の請求が適正かどうか、毎月7,800万件ものレセプト審査を行っている。
 この審査委員が「おいしい」。
 ある県(首都圏)の支払基金では、毎月の審査は2週間前後で終わる。審査期間中は、9時から22時の間の好きな時間に事務所へ行き、所定の端末を操作して審査を行う。
 医師への謝礼は、1日当たり3万円。毎月30分審査するだけで、月に30万円近くを稼ぐ医師もいる。
 審査委員の任期は2年。地元の医師会や大学病院などの推薦を基に委嘱されるため、一部の医師の既得権益になっている。

 (3)支払基金の資料によれば、レセプト審査1件の平均手数料は約80円だ。
 単純計算で毎年750億円もの手数料が医療費に上乗せされ、医師の「おいしい」バイト代に化けているのだ。

 【注】<私たちの健康保険料から毎年1200億円超を得ている二つの医療費審査団体が、「天下り」を多く受け入れていることが朝日新聞の調べで分かった。厚生労働省はその統合に消極的だ。(中略)支払基金の給料は国家公務員より高い。朝日新聞が入手した内部資料によると、2008年度時点の平均年収は679万円。国家公務員の給与水準を約43万円上回り、全年代で国家公務員の平均年収を超えた。(中略)支払基金や国保連で医療機関からの請求書を判断する審査員を務めているのは医師や歯科医師、薬剤師だけだ。ある健保組合幹部は「請求側の医師がチェックするのは民間取引ではありえない」と不満を漏らす。>【記事「医療費審査2団体、天下り受け皿に 国や自治体OB/公務員より高い給料」(朝日新聞デジタル 2014年5月13日)】

□コラム「1日30分でも3万円稼げるおいしいレセプト審査バイト」(「週刊ダイヤモンド」2014年5月17日号)
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【航空】パイロット不足危機の構造 ~ピーチの大量欠航~

2014年05月13日 | 社会
 (1)2012年、日本に格安航空会社(LCC)の3社が誕生した。ピーチ・アビエーション、バニラウェア、ジェットスター・ジャパンだ。
 ピーチは、5~10月、2,000便規模の大量欠航を出すことになった。機長に多数の病欠者が出た上、採用が思うように進まなかったからだ。
 ピーチの現行のパイロット数は、108人で、うち機長は52人いる。年初から4月までに、病気と怪我に加え、航空法が定める身体検査の基準を満たせずに就業できない機長が8人も発生した。
 ピーチは、沖縄で異常降下し、海面ギリギリを飛行する重大アクシデントを惹起し、信用を落としつつある。 

 (2)パイロット不足はピーチに限らない。航空業界全体の共通課題となっている。
 200万円の持参金を積まれて、あるLCCからヘッドハンティングされたパイロットもいる。
 ピーチでは、創業以来、すでに10人のパイロットが退職している。
 バニラウェアも、かろうじて何とか足りている状態だ。
 ジェットスター・ジャパンには、現在130人ほどパイロットが在籍しているが、うち数人は提携関係にあるジェットスターグループからの移籍で賄っている。

 (3)LCC3社のエアバスA320型機の保有機数は、2014年4月末現在、36機だ。
 国土交通省航空局の予測によれば、
  (a)国内のパイロットは5,700人(2013年1月現在)。
  (b)6,700~7,300人が必要(2020年現在)。

 (4)日本人パイロットの数は急には増えない。
 パイロットの供給源は、航空大学校や大手航空会社の自社養成に限られる。
 東海大学や桜美林大学など一部の私立大学でもパイロット養成課程があるが、本人負担が1,300万円~2,600万円と非常に高額なことがネックになっている。
 しかも、航空大学校を出て副操縦士としての経験を積み、一人前の機長が養成されるまでには10年以上かかる。

 (5)パイロット不足に対処するため、政府は今年、防衛省のパイロットを民間移転させる制度を復活させた。
 政府はまた、外国人パイロットの採用を円滑にするため制度の見直しを検討している。
 しかし、外国人パイロットの採用は思うように進んでいない。なぜなら、パイロット不足は世界共通の課題であり、日本のLCCよりも海外のLCCの方が待遇がいいからだ。外国人パイロットは、当然、海外へ流れる。
 実際、バニラウェアのパイロット57人のうちに外国人はいない。
 パイロット不足は、当分解消のめどが立ちそうもない。

 (6)元来、LCCは、機材や人材に余裕を持たず、そのぶん低価格運賃を提供するビジネスモデルだ。
 余裕人材を抱えれば、コストは跳ね上がる。
 日本の空にLCCが誕生して2年。早くも曲がり角を迎えている。 

□記事「ピーチの大量欠航で露呈したパイロット不足危機の構造」(「週刊ダイヤモンド」2014年5月17日号)
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【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~

2014年05月12日 | ●片山善博
 (1)文部科学省は、沖縄県竹富町に対し、中学で使用する公民の教科書を別会社のものに変えるよう、地方自治法に基づき「是正の要求」をした。
 「是正の要求」は、国の自治体に対する関与類型の一つだ。自治体の事務処理が法令の規定に違反しているときなどに限り認められる。ただし、地方自治法上、国の関与は「是正の要求」を含めて「必要な最小限度のもの」であり、かつ、自治体の「自主性及び自立性に配慮しなければならない」。国の謙抑的態度が求めてられているのだ。
 このたびの文科省の「是正の要求」は、竹富町が「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(教科書無償法)」に定められた方式によらないで教科書を採択したこのが違法である、との認識【注】に基づいている。
 
  【注】小中学校で使用する教科書は、都道府県教育委員会が設定した「教科書採択区」ごとに、地区内の自治体が協議してそれぞれの科目で同一のものを使用しなければならない。竹富町は近隣の石垣市及び与那国町とともに一つの採択地区に属しているが、他の2市町とは異なる教科書を使用している。これはけしからん、というのが文科省の言い分だ。

 (2)文科省の対応は実に奇妙だ。鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いんや。
 しかも、竹富町に割かれる理由などないのだ。にも拘わらず、文科省は大きな包丁を振りかざしてる。
  (a)義務教育などの基本を定めた「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地方教育行政法)」では、公立小中学校で使用する教科書を選定する権限は、市町村の教育委員会にある、とされている。同法によれば、竹富町が単独で教科書を採択したことに何ら問題はない。
  (b)一般に、法律間に齟齬や矛盾があって紛争が生じたい場合には、司法が適用されるべき規定の優先劣後を決める。その際、判断基準としては、例えば同じレベルの法律間であれば、「後法優越の原則」が適用される。
  (c)しかし、①地方教育行政法と②教科書無償法では、決して同一レベルの法律ではない。①は、その第1条にもあるとおり、自治体における「教育行政の組織及び運営の基本を定めることを目的」とする基本法だ。②は、教科書の無償措置の手順などを規定した個別法に過ぎない。②が①の規定を排し、それに替わって別の規定を適用する旨明示しているならともかく、基本法を優先するのが素直な解釈だ。
  (d)加えて、地方自治の大原則を規定する憲法第92条は、自治体の組織や運営に関する事項を定める法律は、「地方自治の本旨」に基づかなければならない、としている。「地方自治の本旨」とは、自治体の主体性と住民の意思を最大限尊重する、という意味だ。つまり、自治体の主体性や住民の意思を蔑ろにするような法律を作ることはまかりならん、と憲法が国会や政府に命じているのだ。この憲法原理からしても、相互に矛盾する内容を含む2つの法律(c)-①と②の規定のうち、自治体の主体性を損なう内容の(c)-②の規定ではなく、自治体の主体性を認めている(c)-①の規定の方が優先されるべきは明白だ。
  (e)報道によれば、竹富町は「教科書採択区」での「協議」を経ないまま教科書を選定したわけではない。協議したものの、それが他の2市町との間で整わず、やむなく独自に採択した、という経緯らしい。(c)-②には、協議が整わなかった場合の解決法は示されていない。協議は、評決や議決とは異なるから、多数決にはなじまない。くじ引きやじゃんけんも論外だ。そんなときは、原点に戻り、協議を閉じてそれぞれの市町村で責任を持って決めるとするのが常識的な解決方法だ。であるならば、仮に(c)-②に従ったとしても、竹富町の行為は避難するに値しない。しかも、竹富町が採択しているのは、文科省お墨付きの検定済み教科書だから、検定制度の是非はここではさて措き、この点でも問題は無い。

 (3)以上のような事情と背景がありながら、相矛盾する2つの法律のうち効力のない方の規定を盾にとり、臆面もなく小さな自治体に「是正の要求」を突きつける文科省は、理性と冷静な判断力を欠いている、というほかはない。

 (4)教科書無償措置の目的は何か。それは、憲法第26条の規定「義務教育は、これを無償とする」を具現化するものだ。それは、決して近隣の市町村と同一の教科書使用を義務づけることではない。
 瑣事に躍起になっている間に、文科省は大切なことが分からなくなっている。竹富町の生徒に教科書無償措置を停止していることで、
  (a)憲法第26条の義務教育無償原則に違反し、
  (b)竹富町の中学生を他の地域の中学生と異なる扱いをする点で憲法第14条の法の下の平等原理にも、国として違反している。
 それは、町の無償措置があっても変わらない。
 竹富町に非があろうとなかろうと、役場いじめのとばっちりを無辜の中学生に負わせていいはずがない。子どもたちを大事にすべき文科省が、その子どもたちを巻き添えにしてはばからない姿は、愚かで浅はかというしかない。

□片山善博(慶大教授)「竹富町教科書問題をめぐる文部科学省の愚 ~日本を診る 56~」(「世界」2014年6月号)
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【中国】システムの危機と上部からの腐敗 ~老化する大国(3)~ 

2014年05月11日 | 社会
 (1)2014年現在、すべての国が知的、心理的、技術的観点から見て、同じ時代(段階)にあるわけではない。国民の教育に着目して、1900年頃の北欧を基準にすれば、仏独日のような国は、それから100年後の2014年という現代にふさわしい水準にある。
 しかし、中国はまだ1900年の段階だ。
 1900年頃は、ナショナリズムの猛威と戦争の時代だ。同時に、大衆の識字化(ただし高等教育を受けるのはまだごく一部にとどまる)の時代だ。

 (2)共産主義からの脱却は、中等教育の進展の次の段階に対応している。
 アラブの春は、17世紀のイギリス革命、1789年のフランス革命、1917年のロシア革命、1940年代末の中国革命に対応している。アラブの春と比較すべきなのは、ロシアの脱共産主義化や「アフマディネジャド主義」から脱却しようとしているイランのありようだ。

 (3)中国について、むろん肯定的な要素も見受けられる。生活水準の向上、都市部の中間層の台頭など。国民にとって現在の中国は、毛沢東時代よりはるかに生活しやすい。
 ただ、社会システム全体の安定性となると、否定的要素が数多く存在する。
 キャッチアップの途上で高い経済成長率を維持することはそれほど複雑なことではない。中国はキャッチアップの局面にあるが、そう遠くないうちにゼロ成長を迎えるはずだ。今の中国が高い成長率を示しているのは、後から出発した国だからだ(当然のことだ)。
 欧州においては、国家による法体系の整備と所有権の確立が重要だった。法的制度の整備が資本主義の自由な発想を可能にした。
 今の中国には、こうした明確な制度が欠けている。秩序、国家制度の一貫性、公共投資、所有権、企業にとって信頼できる経済システムを保障する国家・・・・中国にはそれがない。

 (4)中国の家族への回帰は、一方で共産党の人々の間で、他方でビジネス関係者の間で生じている。
 高官たちによる巨額の汚職が明るみに出ているし、資産を海外に移しているのは共産党員の赤い百万長者たちだ。こうしたことのすべては、中期的に見て、システムの目に見える危機と腐敗が社会の上部から始まっていることを示す。

 (5)資本主義にはいくつかの異なるモデルが存在するが、アングロ・アメリカ世界こそ西洋史の真の原動力だ。
 日本の社会生活や経済生活には相互承認がたいへん重要になる。市場や個人主義ではなく、非公式、つまり個人的な結びつきが経済を円滑に機能させている。日本経済を現にあるように機能させているのは、個人の道徳性の高さ(きわめて高い自己規律)だ。
 問題は、ロシアや中国のようなシステムの国が、市場、諸権利の保障、伝統的な家族システムの上に築かれた個人間の関係の活用、それらをうまく結び合わせ、彼らなりの資本主義の概念を定義できるかどうかだ。少なくとも現時点では、中国とロシアに確認できるのは汚職とマフィアの存在だ。
 
 (6)欧州で、実際に中国と経済協力関係を打ち立てることができたのはドイツだけだ。中国とヨーロッパとの関係を考えるなら、ドイツに注目せよ。
 経済協力関係については、中国によるごり押しも可能だ。しかし、地政学のレベルで中国が脅威となる兆候をわずかでも示せば、フランスをはじめとする欧州諸国は米国と共闘することになる。
 地政学の観点からいえば、来るべき世界で、中国はその市場規模だけをもって勢力を増していくことになるだろう。ただ、それは不安定な要素を伴うことになる。このことはすでに全世界、ことにアジアを不安がらせている中国の過激な国家主義的振る舞いに表れている。
 すでに自己の限界を認めている以上、もはや米国は世界の脅威となっていない。そのことによって、米国主導の秩序は新たに生まれ変わるはずだ。
 <例>ベトナムは、米国に抵抗して内部の独立を勝ち得た。そのベトナムでさえ、中国の脅威に対して、米軍に海軍設備を提供する用意があることを表明している。
 中国にとっての真の脅威は、みずからの誇大妄想的な野望だ。いかなる攻撃的な態度も、次のような事態を招き得る。すなわち、大部分の関係国が、米国を世界平和の保証人として再定義するという事態だ。

□エマニュエル・トッド(フランス国立人口学研究所研究員)/聞き手:三井美奈(読売新聞パリ支局長)「腐敗は「頭部」から始まっている --人口学から見た、老化する大国の暗い未来」(「中央公論」2014年5月号)
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 【参考】
【中国】党指導部はゲームの脇役 ~老化する大国(2)~ 
【中国】共産主義の崩壊と伝統的家族への回帰 ~老化する大国(1)~
【中国】低迷する経済 ~習近平政権の1年~
【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品
【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~
【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~
【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~
【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~
【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~
【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~
【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~
【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム
【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~
【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~
【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~
【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~
【中国】凄まじい貧富の格差
【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~
【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~
【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~
【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~
【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~
【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド
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【中国】党指導部はゲームの脇役 ~老化する大国(2)~ 

2014年05月10日 | 社会
【中国】党指導部はゲームの脇役 ~老化する大国(2)~ 

 (1)中国は共産主義から完全に脱却できたわけではない。特殊といっていい市場経済的適応だ。今の状況は毛沢東時代よりよいが、共産党の独裁は続いている。経済はスターリン主義的な特徴を示している。
 <例>GDPに対して投資が占める割合は40~50%にも達している。かかる投資の大部分は、実際には何の役にも立たないことは目に見えている。

 (2)他方、中国には膨大な、しかも教育を受けた人口がある。労働規律や労働倫理は、共産主義を経た後にも保持されている。これにより、中国は世界の工場となり、輸出大国となった。
 しかし、こうした中国の進路を決定したのは、共産党の指導者ではない。グローバル化した資本主義(米欧日の企業)だ。中国は、西洋資本主義の利益計算の道具でしかない。
 共産党の指導者は、決して主人ではない。彼ら自身も、自分ではコントロールできない力の支配下にある。この事実は潜在的に見て、中国社会にきわめて危険な影響を及ぼしかねない。

 (3)中国の家族システムの特徴は、兄弟間の平等だ。この点、長子相続システムの日本や韓国と大きく異なる。
 日本型の社会では、自然に階層が生じる。
 ロシア人やフランス人にいくぶん似ている中国人にとって、平等は根源的な価値だ。工業化以降の社会においても、こうした農村時代の家族システムの価値は生き残る。
 中国の深い部分に平等に関する強固な信念があることを理解できれば、中国に内在する政治文化と現在のシステムとの間に乖離が生じていることも理解できる。中国社会は緊張状態にある。指導者たちは、それを知っていて、恐れてもいる。

 (4)(3)はナショナリズムの危険な利用法についての古典的な説明の一つともなる。
 同質的で平等だと人々が感じることが必要な社会で、不平等が広がったら、指導者たちは往々にしてまずい手段に頼りがちだ。
 まずい手段=人々の視線を外敵にむけさせる。
 中国の場合、外敵が日本だ。

 (5)日本に振り向けられた不平不満が中国の体制に向かう可能性があるか。
 中国の指導者にとってやっかいなのは、反日でいくら攻撃的に振る舞っても、それですべての問題が解決するのではないことだ。
 <例>尖閣諸島をめぐる対立で戦争を起こせばよいか、というと、そうではない。戦争が不可能な理由は、
  (a)米国の核兵器の存在。
  (b)中国の軍事技術の水準の低さ・・・・中国軍が海洋に出て行き、勢力を拡張しようろすれば、海空戦を経験した世界でただ2つの国(日米)の同盟と向き合わなければならない。中国がそんな決断をしたら、想像もできないほどの国家的屈辱を蒙るリスクを負うことになる。国家的屈辱を蒙った後、政治システムは内部崩壊する。

□エマニュエル・トッド(フランス国立人口学研究所研究員)/聞き手:三井美奈(読売新聞パリ支局長)「腐敗は「頭部」から始まっている --人口学から見た、老化する大国の暗い未来」(「中央公論」2014年5月号)
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 【参考】
【中国】共産主義の崩壊と伝統的家族への回帰 ~老化する大国(1)~
【中国】低迷する経済 ~習近平政権の1年~
【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品
【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~
【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~
【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~
【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~
【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~
【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~
【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~
【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム
【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~
【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~
【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~
【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~
【中国】凄まじい貧富の格差
【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~
【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~
【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~
【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~
【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~
【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド

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【中国】共産主義の崩壊と伝統的家族への回帰 ~老化する大国(1)~ 

2014年05月09日 | 社会
 (1)中国は、きわめて急速な人口動態の変化をすでに経験し、さらにこれから急激な人口の高齢化が始まろうとしている。
 しかも、それが、人々が豊かになる前に、社会保障や高齢者対策が整備される前に起こる。
 また、一人っ子政策によって、こうした不均衡がいっそう強められる。

 (2)中国の文化はきわめて父権的だ。よって、男子を産むことが大変重要になる。 
 そのことは、女子の出生数に対する男子の出生数に表れている(国連統計)。107超は不均衡と見なされ、女子の出生を申告していないか、女子を選択的に堕胎している可能性がある。次の(b)はあまりにも不自然な数値で、堕胎に加えてかなりの数の女子の出生が申告されていない可能性がある。それほど中国の家族システムは変調をきたしている。
  (a)世界の平均:女子の出生数100に対する男子の出生数105or106 
  (b)中国:女子の出生数100に対する男子の出生数117

 (3)(2)の数字は、中国人の心理を理解するにも役立つ。中国では、中国南部においてさえ、依然として父権主義的原理がそれほど強固だ、ということだ。
 中国は、共産主義経済から脱却し、合理的な自由化を果たした(近代化した)・・・・と一般には考えられている。
 しかし、経済にしか関心がない人は見てないが、慣習や価値観や女性の地位という領域において、個人主義と両性平等を推進してきたのは共産主義だった。中国の伝統的な家族システムを破壊することが、長らく共産党の政策だった。そして、今度は、共産主義経済の衰退が、伝統的な家族の価値への回帰をもたらしている。・・・・このとは、中国が必ずしも近代化への道を歩んでいるわけではないことを示唆する。

 (4)中国に最初に存在していたのは共同体的家族システムだ。その後、
  (a)共同体的家族システムが崩壊し、共産党がとって代わった。
  (b)共産党みずからの手で、共同体的家族システムの価値観(父権的権威主義と兄弟間の平等主義)を再興させた。
  (c)今は共産主義が崩壊したが、共同体的家族システムの価値観のすべてが消滅したわけではない。
  (d)だから、家族への回帰が起こる。慣習の次元では、中国は過去に向かう途上にある。
  (e)しかし、(d)がすべてではない。女性の識字率向上による出生率の低下(近代化の重要な指標となる)は現実に起こっているからだ。

 (5)日本(人口1億3,000万人)は、国を挙げた議論の末、高齢化問題を移民の受け入れで解決する、という選択肢がある。
 中国(人口13億5,000万人)は、今後20~30年にわたって人口上の欠損が続けば、その規模は移民の受け入れでは解決できないほどに拡大するだろう。
 移民は、ある種の対外的な安全保障システムでもあるが、中国はそうした戦略を用いることができない世界で唯一の国だ。中国の利点だ、と一般に思われてきた巨大な人口は、実際のところ深刻な問題をはらんでいる。

□エマニュエル・トッド(フランス国立人口学研究所研究員)/聞き手:三井美奈(読売新聞パリ支局長)「腐敗は「頭部」から始まっている --人口学から見た、老化する大国の暗い未来」(「中央公論」2014年5月号)
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 【参考】
【中国】低迷する経済 ~習近平政権の1年~
【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品
【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~
【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~
【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~
【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~
【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~
【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~
【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~
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【旅】砂の美術館 ~砂で世界旅行・ロシア編~

2014年05月08日 | □旅
 ●氷河に眠るマンモス

 


 ●リューリック ~建国のヒーロー~                  ●キリスト教の受容

    


 ●豊かな民族性

    


 ●タタール人のくびき(モンゴル人支配の時代)             ●コサックの力

    


 ●ピョートル大帝と西欧化                       ●エカテリーナⅡ世とロマノフ王朝

    


 ●ロシアの音楽 -チャイコフスキーとバレエ-

     


 ●ロシアの文学 -トルストイの作品「戦争と平和」-

     


 ●ナポレオンの撤退

   


 ●ロシアの大自然

    


 ●シベリア鉄道と極東の都ウラジオストク

 


 ●ロシアの科学技術 -宇宙開発-

   


 ●ロシア・アバンギャルド

 


 ●ロシアの民話 -大きなかぶ-

 

 【砂の美術館
  第7期展示:砂で世界旅行・ロシア編~大国の歴史と芸術の都を訪ねて~
  開催期間:平成26年4月19日(土)?平成27年1月4日(日)

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【佐藤優】ロシアは日本をどう見ているか ~日本外相の訪露延期~

2014年05月07日 | ●佐藤優
 (1)4月17日、日露の両外務省は同月末に予定されていた岸田文雄・外相の訪露を延期する、と発表した。
  (a)日本の新聞を読んでいると、米国が岸田外相訪露を中止せよと要請し、その圧力に日本が屈した、という印象を受ける。
    <外務省関係者によると、外相のロシア訪問について米国が日本側に難色を示したため、日ロ間で協議。28日からの訪ロをいったん延期し、日程を再調整することで合意したという。>【注1】
    <岸田外相の訪ロは昨年11月の日ロ外相会談で合意し、ロシアでのG8外相会合に合わせて行う予定だった。だがロシアを除くG7首脳がボイコットを決定。「クリミア併合後、7でロシアに行って会談した国はなく、日本だけが突出すれば日米関係が悪化しかねない」(外務省関係者)との懸念があった。>【注2】

 (2)新聞報道は実態から若干ずれる。
 最終的に「このタイミングで岸田外相を受け入れることは適当でないので、延期したい」と申し出たのはロシア外務省だ。
 安倍晋三・首相の指導で、日本側は最後まで岸田外相の訪露の可能性を探っていた。米国が、岸田外相の訪露を中止せよ、と強く圧力をかけてきたのは事実だ。しかし、首相官邸では、ハイレベルでの日露対話を継続することが、ウクライナ危機の沈静化に寄与する、と判断した。

 (3)クレムリンの内情に通じたロシア人いわく、
  (a)岸田外相が訪露を延期したのは賢明な判断だ。ウクライナ問題に関して、米国の情報収集は一面的で、分析も不完全だ。米国が岸田外相の訪露を望んでいない状況で、日本が無理をする必要はない。ロシアも、日本にとって米国が唯一の軍事同盟国であることはよくわかっている。日米同盟という条件下で、日本政府はロシアとの関係についてよく頑張っている、と思う。
  (b)いずれにせよ、5月25日のウクライナ大統領選挙の結果が出るまでは情勢が流動的だ。ロシアと日本が腰を据えて交渉する環境にはならない。
  (c)ウクライナ問題について、日本がG7と協調姿勢を採らなくてはならないことは、外交ゲームとしては当然のことだ。ロシアは、日本の対露非難、制裁決定が常に米国、EUの後に行われていることに注目している。この順番が崩れないかぎり、クレムリンの対日観が悪化することはない。

 (4)プーチン大統領は考えた。オバマ米大統領の訪日を前にして、安倍首相と日本の外務省が、米国と露国との板挟みになってストレスを抱え込むことは、露国にとって得策でないと。
 プーチン大統領/クレムリンは、「日本は、米国・EUの間の調停者となり得る重要な国家だ」という認識を抱いている。安倍政権の対露独自外交は、北方領土問題を解決するための環境整備になっている。
 今秋のプーチン訪日が予定どおり実施されたら、北方領土問題で意外な展開が起こる、ということもあるかもしれない。

 【注1】【注2】記事「岸田外相の訪ロ、延期し再調整へ 日米関係に配慮」(朝日新聞デジタル 2014年4月18日)

□佐藤優「訪露延期 ロシアは日本をどう見ているか ~佐藤優の人間観察 第65回~」(「週刊現代」2014年5月10.17日号)
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 【参考】
【佐藤優】ウクライナ衝突の「伏線」 ~オレクサンドル・トゥルチノフ~
【ウクライナ】危機の深層(2) ~ブラック経済~
【ウクライナ】危機の深層(1) ~天然ガス~
【ウクライナ】エネルギー・集団自衛権・尖閣問題 ~日本外交のジレンマ(3)~
【ウクライナ】米国の迷走とロシアの急成長 ~日本外交のジレンマ(2)~
【ウクライナ】と日本との歴史的関係 ~日本外交のジレンマ(1)~
【佐藤優】ウクライナ危機と米国が陥った「恐露病」
【佐藤優】プーチン政権がついに発した「シグナル」の意味 ~ロシア外交~
【佐藤優】プーチンは「世界のルール」を変えるつもりだ ~クリミア併合~
【ウクライナ】暫定政権の中枢を掌握するネオナチ ~クリミア併合の背景~
【佐藤優】北方領土返還のルールが変化 ~ロシアのクリミア併合~
【佐藤優】ロシアが危惧するのは軍産技術の米流出 ~ウクライナ~
【佐藤優】新冷戦ではなく帝国主義的抗争 ~ウクライナ~~
【佐藤優】クリミアで衝突する二大「帝国主義」 ~戦争の可能性~
【佐藤優】「動乱の半島」クリミアの三つ巴の対立 ~セルゲイ・アクショーノフ~
【佐藤優】ウクライナにおける対立の核心 ~ユリア・ティモシェンコ~
【ウクライナ】とEU間の、難航する協定締結に尽力するリトアニア
【佐藤優】ロシアとEUに引き裂かれる国 ~ウクライナ~

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【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~

2014年05月06日 | 社会
 (1)安部政権の「列強になるための10本の矢」。
 その輪郭がほぼ明らかになった。

 (2)政権奪取後、最初に話題に上がったのが「憲法改正」だ。参議院選挙への影響を考慮し、結局後回しにされた。
 しかし、自民党の憲法改正案にその意図が明確に示されている。ここには、2本の矢が込められている。
  【第1の矢】国防軍保持・・・・現行憲法では自衛隊は保持しなくてもよいが、自民党案では国防軍保持が憲法上の義務となる。しかも、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため」の軍隊である以上、中国に負けないくらいに強力でなければ「憲法違反!」ということになる。
  【第2の矢】基本的人権の制限・・・・個人の権利は「公益及び公の秩序」に反しない範囲でしか認めない、とすることで、戦争のために人権を製薬することを可能にする。戦争批判の言論を弾圧したり、戦時徴用にも使える規定だ。

 (3)昨秋以降、「矢継ぎ早」に3本目以降の矢が明らかになった。
  【第3の矢】日本版NSC法・・・・閣議でなく、わずか4人の閣僚で戦争開始の決定ができる。臨時国会で成立した。戦争に必須の手段だ。
  【第4の矢】特定秘密保護法・・・・戦争に至る過程の情報隠しを許し、マスコミの取材活動を制限する。臨時国会で成立した。戦争に必須の手段だ。
  【第5の矢】日本版CIAを創設する構想・・・・特定秘密保護法の国会のチェック機能の議論の中で出てきた。あまり報道されていないが、戦争に欠かせない。 
  【第6の矢】集団的自衛権の行使を容認・・・・海外で戦争するため、ウルトラC(憲法解釈の変更)によって容認するのも時間の問題だ。
  【第7の矢】武器輸出3原則の廃止・・・・【第6の矢】に先だって、既に実現した。
  【第8の矢】ODAの軍事利用・・・・容認が目前だ。【第7の矢】と同時に、日本の軍事産業が実は世界中で武器・武器技術の話を密かに進めてきたことが明るみに出た。

 (4)【第6の矢】、【第7の矢】、【第8の矢】によって、日本は「戦争できる国」ではなく、「戦争なしでは生きられない国」への道を歩む。残り2本も、議題にあがるのは目前だ。
  【第9の矢】徴兵制の導入・・・・強力な国防軍が憲法の要請だ、という理由で、若い兵力の確保が議題となる。少子化による人手不足の中では、徴兵制を採るしかない。
  【第10の矢】核武装・・・・原発と核燃料サイクルの維持にここまでこだわる理由は、核武装しかありえない。

 (5)驚くべし、矢はまだあるのだ。
  【第11の矢】産めよ増やせよ。
 4月下旬に出てきた。富国強兵時代の政策だ。列強となるための国力の基本は人口だけだ、ということか。1億人レベルを維持するために数値目標を立てる、という。「女性1人に付き2.07人子どもを産む」・・・・
 元々は、経済界が長期的な労働力確保のために考えた案だが、安部総理は別の思惑から飛びついた。
 しかし、【第11の矢】計画は、他の矢と違って頓挫するだろう。
 女性を「産む機械」と言って批判を浴びた大臣と同じ発想だからだ。数値目標なら、子育て予算GDPの○○%、1年で待機児童ゼロ、労働時間の2割短縮、有給休暇100%取得・・・・など、いくらでも設定できる。出生率向上はその結果でしかない。
 安部総理は、【第11の矢】によって、「女性にやさしい」という「衣」の下から、戦争のためなら何でも可という「鎧」を見せることになった。

□古賀茂明「戦争国家への「11本の矢」 ~官々愕々第107回~」(「週刊現代」2014年5月10.17日号)
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 【参考】
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~

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【堤未果】「社会保障のための増税」のウソ ~来るべき医療崩壊~

2014年05月05日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)消費増税(5%→8%)を受け、各業界で価格転嫁が一気に起きている。
 安部総理は、増税分は社会保障費に充てる、と強調している。

 (2)だが、今後継続的に引き上げられる(予定の)消費税によって社会保障部門が圧迫されるリスクがある、という逆説的な事実を、どれだけの国民が知らされているだろうか。
 通常の課税取引であれば、商品の仕入れ時に支払った消費税は、納税しても事業者に損得は生じない。
 しかし、消費税に係る控除が適用されない分野がある。医療機関だ。
 社会保険診療は、社会政策的配慮から非課税取引とされている(自由診療、健診は課税対象)。よって、医療機関は、患者=最終消費者から消費税を受け取ることができない。
 利用者が窓口で支払う医療費に消費税はかからない。しかし、医療機関が仕入れる薬、医療機器、建物の建設・改修、パソコンなどの消耗品購入や外注費用にはすべて消費税が課せられ、「仕入れ税額控除」は認められていない。

 (3)消費税が5%時に日本医師会が行った調査の結果によれば、社会保険診療の売上に対し、医療機関が支払った消費税の平均額は次のとおりで、「これ以上消費税が上がると医療機関の存続が難しくなる」。
  (a)私立医大病院・・・・3億9,200万円/病院。今後消費税率が10%になれば、1病院当たり、倍額の7億8,400万円になる。
  (b)その他の医療機関(国立病院機構、厚生連、自治体病院、地方独立行政法人、小規模診療所)・・・・社会保険診療報酬の2.2%を控除対象外消費税として負担している。

 (4)政府は、「控除対象外消費税問題」に対し、先送り措置(制度の不備を改革する代わりに、医療サービスに対する診療報酬の上乗せで補填する)を採ってきた。
 だが、この政府の対策はほとんど機能していない。
 診療報酬の上乗せの対象となる該当項目の半分が、すでに医療行為として実施されていなからだ。さらに、診療報酬の上げ幅が医療機関の持ち出し分2.2%に比べて不十分だからだ。
 そもそも、非課税であるはずの医療に消費税納税義務が発生する、という現行制度の不備がもたらした負担を患者につけかえる「診療報酬上乗せ」方式は、根本的解決ではなく、問題の先送りにすぎない。
 医療機関が経営を悪化させれば、地域医療の連携が崩れる。この国を崩壊させるリスクへつながる。

 (5)社会保険診療を課税対象として、仕入れ税額の控除を認める代わりに、診療報酬での補填を廃止する。
 ただし、患者への急激は負担増とならないよう「軽減またはゼロ税率」で行う。
 こうした現実的な改革案(すでに現場からは提出されている)を政府は真剣に検討すべきだ。
 「社会保障と税の一体改革」とは、一体、何だったのか?
 マスコミは、消費増税問題を取り上げる際、目先の物価ばかりに目を向け、誰もが当事者になる医療という重要分野への影響を取り上げていない。
 
 (6)「社会保障を持続可能なものにするために、消費増税はやむをえない」と、政府は繰り返し主張する。
 だが、本当にそうか?
 増税が医療崩壊を加速するなら、この国に未来はない。 

□堤未果「待っているのは医療崩壊 「社会保障のための増税」のウソ ~ジャーナリストの目 第204回~」(「週刊現代」2014年5月10.17日号)
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【本】丸山真男『日本の思想』

2014年05月04日 | 批評・思想
 丸山真男『日本の思想』(岩波新書、1961)は、<小著であるが、丸山の日本思想論のエッセンスを明快に説いたものとして、今に至るまでロングセラーとなっている。丸山の指摘や批判は、50年経ってもまったく妥当だし、というか、状況は悪化しているように見受けられる。丸山が指摘した学問におけるタコツボ型の閉鎖主義は、相変わらず多くの領域を支配している。>【注1】
 <「である」ことと「する」ことの矛盾の指摘も鋭い。身分制的な「である」ことの固定性が壊れたことで近代化は進んだが、今度は、すべてが効用や能率という「する」ことの価値観一辺倒になり、その根底を作る理念や思想という「である」ことの基盤が失われてしまった、というのである。このことは、今日一層切実になっている。>【注2】
 <それは、過去の思想がきちんと自覚的に受け止められず、「伝統として蓄積されない」が故に、かえって過去の無自覚的な「ズルズルべったりの無関係な潜入」につながる、という指摘と関連する。表面だけの威勢のよいナショナリズムは、じつは自国の文化伝統をまったく無視した空疎なものであり、それ故に過去の誤りがそのまま現在に潜入し、同じ過ちが繰り返されることになる。>【注3】

 【注1】【注2】【注3】末木文美士(国際日本文化研究センター教授)「(近代と宗教)丸山真男「日本の思想」 過去見据えぬ現在に警鐘」(朝日デジタル 2014年03月31日)

□丸山真男『日本の思想』(岩波新書、1961)
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【言葉】ヘルン言葉 ~コミュニケーションにおいて大切なもの~

2014年05月03日 | 心理
  竹村登茂子・読売新聞編集委員は、読売新聞の「今日のノート」で、次のように書いた。

---------------(引用開始)---------------

 松江市にある明治期の文学者・小泉八雲の記念館の展示物に、妻・セツが作った「単語帳」がある。
 後に日本に帰化し、怪談「耳なし芳一」などを残した、当時ラフカディオ・ハーンだった八雲が住む家に、実家を支えるため住み込みのお手伝いさんとなたセツ。その後、夫婦となり、ハーンの言葉を書き留めて勉強したものだ。
 「シウ 靴、カタン 綿、アエロン 鉄、ワエン 酒、アブ ~の」など、記述はすべて発音通り。英語がわからないセツの、なんとか理解したいという熱意が見え、ほほ笑ましい。
 夫婦はその後、もっと分かり合うため、助詞などを省いた日本語を使った。ハーンのローマ字読みから「ヘルン言葉」と呼ぶ。
 たとえば最後の時、八雲はセツに「私死にますとも、泣く、決していけません。悲しむ、私喜ぶないです」と言ったと、セツの著「思い出の記」にある。文法はともかく、伝えたい思いがあふれ、温かい言葉だ。
 (後略)
---------------(引用終了)---------------

 所見。
 (1)「シウ 靴、カタン 綿、アエロン 鉄、ワエン 酒」は、今なら「シュー 靴、コトン 綿、アイロン 鉄、ワイン 酒」と表記するところだ。
 (2)シウ、カタン、アエロン、ワエン・・・・と聞こえても、かつ、そう発音しても英語圏の人に通じる。ちなみに、五木寛之によれば、スパシーボと言う代わりに「千葉水郷」と言ってもロシア人に通じた。
 (3)文法無視の日本語であっても、伝えたい内容があれば、伝わる。・・・・逆に言えば、伝えたい内容も感情もない場合には、文法に則った文章であっても、何ひとつ伝わりはしない。

□竹村登茂子(編集委員)「今日のノート」(読売新聞 2014年3月2日)
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 <小泉八雲旧居>
   

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【心理】失敗への許容度が低下する社会

2014年05月02日 | 心理
 (1)堀有伸(精神科医)は、「日本的ナルシシズムの克服と自我の確立」(2014年2月17日付け朝日新聞)で、失敗が許容されなくなり、多様性を失いつつある現代社会について分析した。

 (2)他者に自分の利益を主張する「自我」とともに、他者にも自身の利益を主張する権利があることを認めて、個人同士が社会的な関係性を構築することが近代的な「民主主義」の前提だ。そのために、失敗を経験し、周囲から許される経験が必須であり、この経験を通じて他者に感謝することを学ぶ。しかるに、現代の日本社会は、失敗の経験への許容度が著しく低下しているのではないか。その結果、失敗が許容されるべき場で過度に厳しい非難が行われ、失敗に厳しい統制が行われるべき場でそれが許容されてしまう。【堀医師】

□記事「(THE HUFFINGTON POSTから)失敗への許容度、低下する社会」(朝日デジタル 2014年2月26日)
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