語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~

2013年11月01日 | 社会
 (1)杭州解放軍区。今から12年前、僕【注】が杭州市内の大学に入学したときのこと。
 中国の学校には課外授業の軍事訓練がある。高校、大学、それぞれの課程で、入学当初に行われる。
 その授業では農業実習(「務農」)も行われた。まず公衆トイレで人糞を集める。鼻がひん曲がりそうだ。
 中国では人糞を肥料として撒くのだ。教官いわく、「クソは一番の肥やしだ!」
 本来なら、このクソは何ヶ月も地中で寝かせ、発酵させる必要があった。なのに、中国の農家はそのまま撒く。
 だから、中国産の農作物からは、基準値を大幅に上回る大腸菌が検出されるケースが多発する。この問題は、現在も改善されていない。ちなみに、用水路も下水もひどい。
 農業実習では、吐きそうな刺激臭の液体も撒かれた。農薬であった。大地に、大量の農薬の瓶が散乱していた。後で知ったことだが、液体はDDTだった。DDTは人に甚大な健康被害をもたらす殺虫剤だ。世界的に禁止され、日本では1971年に禁止されている。当時すでに中国でも法律上はDDTを禁止していたけれど、農家はおかまいなし。今も、ネットで普通に購入できるから、多くの農家が密かに使用している。
 中国の農業は大丈夫なのか・・・・僕は不安になった。

 (2)2013年。友人の楊宇嵐(ヤンユイラン)・雪梅(シュエメイ)夫妻宅でホームパーティをしたときのこと。
 僕と雪梅が料理した。宇嵐の妹・綺其(イチ)は黙って見ているだけ。
 「だってあたし料理できないもん」
 中国には日本のような専業主婦という概念が存在しない。だから、ろくに料理ができない中国人女性が少なくない。むしろ男性のほうが料理ができる。
 豚肉を炒めていたら、すごく肉汁が出てきた。
 「ちょっと水出すぎじゃねけか?」
 「ほんとだ・・・・」
 「そう言えば最近、出荷する際に豚の大動脈に水を注射するって報道があったね」
 大動脈に注射したら、水が豚の全身の筋肉にも充満する。養豚農場はキロいくらで豚を売る。重量を少しでも増やしたいから、川の水とかを注射する。ところが、中国の河川の7割以上は工業用水などで汚染されているんどあ。危険だ。

 (3)くだんの豚は「物美スーパー」で買ったものであった。「物美」は実在する有名スーパーで、実際にこういう豚が売られていた。
 「最近、見た目をよくするために二酸化硫黄を使うケースが多いんだって。刺激臭がするって話だけど」
 乾燥エビ、春雨など多数の食品から二酸化硫黄が検出されている。これらは日本へも輸出されている。
 確かに、変な臭いが・・・・。

 (4)本当に今の中国食品はひどい。
 鶏や豚には成長促進剤を注射する。4分の1の期間で出荷が可能になる。中国ではマックやケンタッキーも使用している。
 工業用アルコールと香料と着色料と水道水でワインを作る(ワイン成分0%)。有名ブランドのラベルを付けて販売。原価は10分の1で済むが、呑むと死ぬ可能性もある。
 食の不正は、国民の関心が高く、毎日報道されている。はっきり言って怖い。何も食べられなくなる。テレビで報道されていたのは、
 <例1>果物やトマトに「催熟剤」(果実の成熟を早める)を大量に投与する。時々爆発する。腐ったようにドロドロに熟してしまうのに、表皮から近い部分は青くて未熟、という異常な仕上がりになるのだ。
 <例2>賞味期限切れのパンを加工して、「回炉面包」(もどしたパンの意)を作る。
 <例3>外食産業の油は、下水の油を濾過したドブオイルや残飯を利用した豚餌オイルなどの可能性がある。

 (5)大問題になったのが、粉ミルク。蛋白質含有量を増やすため、メラミンを混入したのだ。被害5万人以上、死亡者6人。2006年の調査によれば、22社がメラミンを不正に混入していた。
 粉ミルクを求める中国人が香港に殺到した。
 ヤツら、ほんとに何でもありだ。
 不正が蔓延すると、真面目にやっている会社も不正をしないと倒産しかねない。ルールの存在しない間違った競争社会なのだ。

 (6) 市場では、生きたまま鶏、蛇、蛙などが売られる。スーパーの食肉より安いので、庶民はよく利用する。
 2013年3月に、中国で鳥インフルエンザが猛威をふるった。その影響を受けて鶏は割安だった。
 市場の売り場の、その場で鶏をさばくから、インフルエンザに感染しやすい。

 (7)日本のスーパーは中国富裕層のお気に入りだ。日本の米、調味料、缶詰、お菓子、煙草、インスタントラーメンなどの食材が販売されている。
 2kgで198元の米も販売されている。中国産米の5倍の価格だ。
 共産党員は、特供(特別提供)の製品を買う。特供は、共産党員専用の農地で、そこは全く汚染されていない「世外桃園」だ。そこで農地を耕し、家畜を飼う。食の安全は綿密に検査されている。
 かたや、庶民は中国の汚染された大地で育まれたもの、重金属混じりの食材しか食べられない。癌や奇病も多発している。
 共産党員にとって、こうした毒食品は無縁だから、僕らの悲鳴は無視され続けてきたのだ。
 庶民は、日本スーパーでカップラーメンを買って食べるくらいしか、安全は担保できない。

 【注】ペンネーム孫向文。中華人民共和国浙江省杭州出身。30歳。著書『中国のヤバイ正体』(大洋図書、2013.7)。

   

□漫画:孫向文「中国人“覆面マンガ家”描き下ろし 実録・中国猛毒食品「僕らだって怖い!」の巻」(「週刊文春」2013年10月31日号)
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 【参考】
【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~
【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~
【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~
【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~
【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~
【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~
【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム
【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~
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【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~
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