語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~

2013年05月07日 | 社会
 (1)今年1月、中国共産党系機関紙「北京青年報」が載せたニュースは、大中国を震駭させた。「河南大用食品グループ」が、病気で死んだ鶏を長期にわたって加工販売し、中国のマクドナルドとケンタッキー・フライド・チキン(KFC)に販売していたのだ。その数日前、中国KFCが「成長ホルモンと抗生物質を過剰投与していた鶏」を使用していた事実を認め、謝罪したばかりだった。
 火の粉は日本にも及んだ。日本マクドナルドは、鶏肉原料の一部に河南大用食品グループの鶏肉を扱っている、と認めたからだ。

 (2)河南大用食品グループは、年間4億羽を出荷し、世界中に輸出している。同社は、日本や中国のファストフードチェーンの調達基地だ。
 河南大用の加工工場は、北京から南南西に500kmに位置する。毎日10万羽を屠畜する。
 ここから南へ300kmの周口市に、河南大用へ鶏を納入している養鶏場がある。幅20m弱、奥行き100mの建物に窓はなく、倉庫そのもの。この鶏舎が12棟、隣村にも12棟並ぶ。1棟に5万羽を入れるから、この2ヵ所だけで120万羽。かかる養鶏場が河南省にいくつも点在している。
 鶏舎は日本に比べるとかなり劣悪で、1坪当たり90羽近い超過密飼育だ。
 この大用の鶏が、2月に、あちこちで数万羽大量死した。

 (3)問題になっているのは、河南大用だけではない。中国産の鶏肉すべてが問題だ、と言われている。
 河南大用の養鶏場で数万羽が大量死した理由は、上海の獣医によれば、成長ホルモンや抗生物質の過剰投与が問題になって以来、河南大用がこうした薬粒を簡単に使えなくなったためだ。逆にいえば、中国では抗生物質なしでブロイラー産業が成り立たないのだ。
 陽が差さないウィンドレス鶏舎と、1坪当たり(40羽が適正とされるスペースに)100羽近く飼う金儲け一辺倒の養鶏が横行している。
 人間が飲めないような水を飲ませたうえ、満員電車のような中で育てると鶏はすぐ病気になる。【大久保武・茨城大学農学部教授】
 病気の中でも、特に病原性大腸菌症が深刻だ。15年前から世界的に蔓延した。野放図に抗生物質を使ったため、耐性菌が次々に現れ、今は100種類くらいあって、特にO78は強毒性だ。抗生物質がないと、バタバタ死んでしまう。
 抗生物質を使っても、出荷前に休薬期間を設ければ、鶏からほぼ排出される。しかし、中国では出荷直前まで抗生物質を使う。中国でも休薬期間が定められているが、それを守れば半分は死ぬ。抗生物質を使っても、1割超は病死するのだ。死なせないため、出荷直前まで抗生物質漬けにする。

 (4)容易に抗生物質が売買されることこそ問題だ。2011年、中国は、「飼料添加剤管理条例」で、①飼料として与えてよい原料、②飼料に加えてよい添加剤、③飼料に加えてよい薬剤を定めた。しかし、このリストに載っていない薬物を探す方が難しいほど広範囲に認めた。特に鶏は何でも使ってよい。そこに薬剤販売会社、飼料会社、鶏を買う行や、さらにブローカーが介在して農家に薬を売りつける競争をしている。中国の養鶏農家は、どんな薬でも使う。【高橋五郎・愛知大学教授】
 抗生物質に手を出すのは、仲介業者に買い叩かれているせいもある。仲介業者への卸値は500g4.6元くらい。原価が4.4元だから、出荷時に鶏が2.5kgになっても1羽当たりの利益は1元(16円)。卸値は仲介業者が決めるし、飼料もそこから飼うので、手元に残るのはわずかだ。【山東省の養鶏家】
 中国でも危機感を抱いている養鶏家はいるが、大半は無関心だ。自力で日本のレベルに到達するには40年はかかる。現状で中国から鶏肉を輸入するのは非常に危険だ。【ある農業指導員】

□奥野修司+本誌取材班「あなたはそれでもチキンナゲットを食べますか マクドナルドの中国産鶏肉が危ない!」(「週刊文春」2013年5月2・9日ゴールディンウィーク特集号)

 【参考】
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド

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