語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品

2013年12月13日 | 社会
 (1)日本は、中国から年間400万トンの食糧を輸入している。

 (2)2013年3月、上海市を流れる河川(黄浦江)に豚の死骸1万体が漂流する騒ぎが起こった。上流の浙江省嘉興市の男性によれば、2月に襲った寒波で次々と豚が死に、市内の養豚家は大打撃を受けた。以前は、子豚に接種するワクチンを地方政府から貰っていたが、最近はその薬が効かなくなり、わずかな環境の変化で豚が死ぬようになった。
 これは、(a)不衛生な飼育環境と、(b)病気を防ぐために抗生物質などを過剰投与したために耐性菌が生まれた、という2つの問題をはらんでいる。
 本来は、地方政府の役人が、豚の死骸の処理費用を養豚家に渡すはずだった。しかるに、役人がそのカネを着服してしまったため、困りはてた養豚家たちは豚の死骸を川へ捨てたのだ。
 役人の腐敗も問題だが、養豚家たちも豚の遺棄による環境汚染を考えていない。腐った病死豚の大腸内で細菌が繁殖し、河川が大腸菌で汚染されるのだ。
 そんな水で農作物を育てた結果は明らかだ。
 豚は中国国内向けのものだが、日本向けの野菜に影響を及ぼしかねない。
 他にも、中国各地で、汚染された水をトマトやトウモロコシなどの農作物にまいている。

 (3)山東省青島市の環境汚染はひどい。
 山東省は、中国最大の農作物生産地。2011年、山東省は年間150億ドルもの農産物を輸出した。10年以上、中国全土でトップの輸出高を誇る。山東省で生産された農産物の4分の1が日本へ入っている。
 青島市沿岸部の工場地帯の、化学薬品工場のそばにある川は、工場排水のせいで真っ黒だ。当然ながら、汚れた川の水は海を汚す。青島の海は、ところどころ白濁している。そんな場所で育った海産物は、食べると品質がすぐわかる。特に貝類は汚染物質を溜めこみやすい性質を持つ。青島アサリは、工業用油の匂いがする。他の魚の品質も悪い。吐き気がし、飲み込んでも腹痛が起こる。

 (4)環境汚染だけでなく、衛生観念の欠如した食品工場も多い。
 山東省栄成市郊外の水産加工場では、従業員は私服で、作業衣も着ていない。素手や汚れた軍手でイカや白身魚を捌く。商品にハエがたかっても、おかまいなし。
 別の工場では、手もろくに消毒せず、外で作業服を着替える。その工場内には、日本の大手食品メーカーの段ボール箱が無造作に積まれている。

 (5)四川省新繁にある漬物の一大産地では、何年もとりかえていない茶色い塩水に浸された人参、放送もせず直にトラックへ積まれ、異臭を放つ青葉の漬物が目撃される。
 工場の営業担当者いわく、「毎年、中国人バイヤーがやってきて、必要な量の漬物を買い取り、日本へ輸出している」。
 こうした工場は、規模が大きくないので、輸出権を持っている別の中国企業を介して日本へ商品を輸出している。
 通常、日本企業は、輸出権を持つ中国の取引先企業へ商談を持ち込む。日本側が要求する量の商品を取引先企業の生産能力だけで賄える場合はさておき、不足することが多い。そこで、中国の企業は、別の中小企業へ商品を買い付けに行く。こうして、中国の下請け企業が、孫請け企業から商品をかき集める過程で、劣悪な食品が入り込んでいくのだ。 

 (6)むろん、輸出の際に中国の検疫官が食品検疫を行うが、ある中国人業者によれば、「賄賂を払って検査を通り抜け、書類を偽造するなんてたやすい」。
 日本側にも当然、検疫所はあるが、膨大な量の食品が輸入されるため、検査されるのは全輸入量の1割程度にすぎない。
 一方、日本国内では、品質管理を取引先企業へ一任する傾向が強い。自社の製品に中国産食品が紛れ込んでも気づかない。
 2013年9月、日本の大手スーパー「イオン」の販売する弁当やおにぎりに、国産米と偽って中国産米が混入されていた事件が発覚した。すでに1,500万食が流通していた。
 三重県の精米会社が、弁当などを製造する「フジパングループ」に偽造した産地証明書を提出し、中国産米を国産米だと産地偽装して納入していたのだ。日ごろから自社製品の安全性をアピールしている大手企業が、何年もの間、納入業者の不正を見抜けなかった。それだけ、イオンやフジパンの検査体制の甘さが露呈した。

 (7)中国産米は、DDTなどの有機塩系やカドミウムなどの重金属類で汚染されている可能性が高い。公害に酔って中国の土壌や水源が汚染されているからだ。特に重金属は、体内で蓄積されるから、食べ続けるのは非常に危険だ。
 やはり中国産食品は危ない。

□徳山大樹(「週刊文春」特別取材班キャップ)「現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品」(『文藝春秋オピニオン 2014年の論点100』、2013)
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 【参考】
【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~
【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~
【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~
【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~
【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~
【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~
【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~
【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム
【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~
【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~
【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~
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