語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】ケガをしにくい服装を ~子供服のひも~

2018年02月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 友人のAさんは、3歳の孫娘にカラフルなひものついたポシェットを贈った。しかし、孫の親である娘が「危ないから」と持たせようとしないとか。
 筆者は、娘さんの判断を支持したい。子どもの服や帽子についたひも、ペンダント、ポシェットなどは、公園の遊具や柵などに引っ掛かって事故を起こす危険性があるからだ。
 経済産業省の調査によれば、欧米では子供服のひもに起因する死亡事故が起こっている。日本では事例はないものの、過去のアンケートでは77%が「危険を感じたことがある」と回答している。
 子供服についたひもは、2014年に公表されたJIS規格によって制限され、現在ではひものついた子ども服は販売されていないそうだ。
 大人でも、マフラーをしたまま首にマッサージ器具を使って窒息した、ショルダーバッグのひもが電車のドアに引っ掛かってけがをしたなどの事故が起こっている。これからの季節は、大き過ぎる上着やブーツにも要注意。体の動きが鈍くなり、事故につながりやすくなる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ケガをしにくい服装を ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年11月15日)を引用
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【南雲つぐみ】戻り香 ~美味しく食べるコツ~

2018年02月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 おいしさを十分に感じるための大切なポイントは、食べるときに、口を閉じてよくかむこと。単にマナーや健康にいい食べ方というだけではない。
 左右の歯で交互によくかむと、食べ物が舌の上を左右になんども行き来することになる。よくかんで粉砕された食べ物の中からは、味を感じるもとである味物質が分泌され、舌の上の味蕾という味覚を感じる器官を刺激して、脳においしさを伝えることになるのだ。
 さらに、咀嚼された食べ物は、少しずつ喉の奥、食道付近まで流れて行く。このとき、口を閉じて食べることで、咀嚼された食べ物の香りが鼻に抜け、嗅覚を刺激する。食べ物を目の前にして感じる香りは「鼻先香」といい、口に入れて鼻に抜ける香りは「戻り香」「口中香」というそうだ。
 また、よくかまずに丸のみしていると、戻り香は感じられない。風邪をひいて鼻が詰まると、食べ物本来のおいしさが楽しめない。これは戻り香が感じられないせいでもあるのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「戻り香 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年5月20日)を引用
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【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか

2018年02月18日 | ●佐藤優
 ①朝田武藏『白鵬伝』(文藝春秋 1,800円)
 ②西田亮介『なぜ政治はわかりにくいのか』(春秋社 1,900円)
 ③玉木俊明『物流は世界史をどう変えたのか』(PHP新書 860円)

 (1)①は、横綱・白鵬の強さを多面的に考察した好著だ。最も印象に残ったのは、次の指摘だ。孤独に耐えることができる強靱な精神力を持っていることが白鵬の強さの秘密なのである。
 <大鵬、北の湖、千代の富士。
 三人の大横綱が逝き、心の拠り所を失った寂しさが、白鵬にはある。
 「やっぱり(年が)離れてるから、お父さんみたいな存在で聞けるというか。でも(三人とも)そういう(相手を)受け入れる感じでもあったよね。昭和の人間て、最高ですよね」
 大横綱と呼ばれる者だけが知る綱の栄光と苦悩。
 歴史の頂に立った今、「光と影」を共感しあえる存在がいない。
 「相談相手? そうだね。いないね」
 綱の孤独……白鵬にとって、未解決の命題が残っている>

 (2)②を読むと日本の政治が意味を喪失したポストモダン的状況に陥っていることがよく分かる。安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正について、西田氏は、次の見方を示す。
 <実際、公明党への配慮や議論からして、また現状、一度改憲に失敗すると次いつ改憲にたどり着くことができるのかわからない以上、自民党は「見せ球」として「九条改憲」を主張し続けたとしても、ここから手を付けるのは難しいと思います。きっと賛否も分かれることでしょう。ちなみに公明党は、環境権やプライバシー権などを付け加えるという、いわゆる「加憲」を提唱してきました。公明党は支持母体で平和主義を掲げてきた創価学会との関係もあり、九条改憲に公明党はかなり消極的です>
 公明党の支持母体である創価学会が、改憲の必要性を認めない限り、憲法改正は非現実的で、ただの「見せ球」に終わる可能性が高い。今後の政局分析でも公明党の動向が鍵を握ることになる。

 (3)③を読むと、海洋経済なくして産業資本主義が生まれなかったことがよく分かる。
 <ヨーロッパの工業化(産業革命)には大西洋経済の形成が不可欠だったのであり、ヨーロッパが大西洋に進出しなかったならば、他地域に先んじてヨーロッパで工業化がはじまることはなかった。それに対して、他の地域の農村工業の発展には、このようなダイナミズムがなかった。
 たとえば中国でもプロト工業化のような現象が起こったが、それは中国経済の対外進出とは関係がなかった。そして可処分所得を上げ、砂糖などの食品の消費量が増え、人々の生活が大きく変わるというような効果は生み出されなかった>
 こう指摘する玉木氏の解説には、説得力がある。経済史と海の地政学を結合した学際的研究がこれから一層重要になる。

□佐藤優「憲法改正は見せ球に終わるか ~知を磨く読書 第236回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年2月24日号)
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 【参考】
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
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【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
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【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
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【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
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【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
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【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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