語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】モンゴルのユーラシア制覇 ~『モンゴルvs.西欧vs.イスラム 13世紀の世界大戦』~

2018年02月04日 | 批評・思想
★伊藤敏樹『モンゴルvs.西欧vs.イスラム 13世紀の世界大戦』(講談社、2004)

 西洋史と中国史を分けて学んだ人にはなじみが薄い西アジア、中東、ロシア、東欧で繰り広げられた13世紀の阿鼻叫喚の“大戦争”の話だ。
 本書には、イスラム諸国のスルタン、王、武将、キリスト教諸国の教皇、王、十字軍、はるかモンゴル高原から世界制覇をもくろみ西進するモンゴル帝国の王や武将たちが登場する。
 今でもロシアには「タタールのくびき」という言葉がある。モンゴル人が支配した約200年間を指す。本書は、13世紀、1206年のチンギス=ハンの大汗即位から91年のマムルーク朝による中東でのキリスト教最後の拠点、アクレの陥落までを描く。かつてモンゴルは、ユーラシア大陸を制覇した。
 世界の“三大勢力”が覇を競った歴史を学んでおきたい。

□庄司太郎(元アラビア石油取締役、オイルアナリスト)「モンゴルのユーラシア制覇 ~名著未読・再読~」(「週刊ダイヤモンド」2018年2月10日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【本】歴史はどう繰り返すのか ~『歴史からの発想』~
【本】社会変革のヒントを得る ~『フィンランド 豊かさのメソッド』~
【本】時流に流されないために ~『誰か「戦前」を知らないか 夏彦迷惑問答』~
【本】戦争の矛盾がよく理解できる/存在自体が珍しい軍事技術書 ~『兵士を救え! (珍)軍事研究』~
【本】北朝鮮核危機を描く労作 ~『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』~
【本】スウェーデンの高福祉で高競争力、両立の秘密 ~『政治経済の生態学』~
【本】ネット時代のテロリズムはどこから生まれてくるのか ~『グローバル・ジハードのパラダイム: パリを
【本】1920年代の経済報道に学ぶ ~『経済失政はなぜ繰り返すのか メディアが伝えた昭和恐慌』~
【本】朝日新聞・書評委員が選ぶ「今年の3点」(抄)
【本】著者の知的誠実さに打たれる日韓問題を深く理解できる書 ~『「地政心理」で語る半島と列島』~
【本】人の判断はなぜ歪むのか/2人の研究者の友情物語 ~『かくて行動経済学は生まれり』~ 
【本】エネルギーの本質を学ぶ ~『エネルギーを選びなおす』~
【本】JR九州の勢いの秘密を凝縮 ~読んで元気が出る人間の物語~
【本】日本は英国の経験に学べ ~『イギリス近代史講義』~
【本】噴火の時待つ巨額損失のマグマ ~『異次元緩
【本】“立憲主義”の由来を知る ~『立憲非立憲』~
【本】日本語特殊論に与せず ~『英語にも主語はなかった』~
【本】小国の視点で歴史を学ぶ ~『石油に浮かぶ国/クウェートの歴史と現実』~
【本】日本における婚姻を考える ~『婚姻の話』~
【本】元財務官僚のエコノミストが日本経済復活の処方箋を説く ~『日本を救う最強の経済論』~
【本】歴史を知らずに大人になる不幸 ~『戦争の大問題 それでも戦争を選ぶのか。』~
【本】私たちの食卓はどうなるのか ~工業化された食糧生産の脆さ~
【本】歪み増殖していく物語に迷う ~『森へ行きましょう』~
【本】加工食品はどこから来たのか ~軍隊と科学の密な関係~
【本】80年代中世ブームの傑作 ~『一揆』~
【本】万華鏡のように迫る名著 ~『新装版 資本主義・社会主義・民主主義』~
『【本】『世界をまどわせた地図』
【本】率直過ぎる米情報将校の直言 ~『戦場 -元国家安全保障担当補佐官による告発』~
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~」」
【本】舌鋒鋭く世の中の本質に迫る/地球規模で読まれた洞察の書 ~『反脆弱性』~
【本】【神戸】「自己満足」による過剰開発のツケ ~『神戸百年の大計と未来』~
【本】英国は“対岸の火事”にあらず ~新自由主義による悲惨な末路~
【本】人材開発でもPDCAを回す ~戦略的に人事を考える必読書~
【本】仮想通貨が通用する理屈 ~『経済ってそういうことだったのか会議』~
【本】進化認知学の世界への招待 ~『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』『動物になって生きてみた』~
【本】「戦争がつくっった現代の食卓」 ~ネイティック研究所~
【本】IT革命、コミュニケーションの変容、家族の繋がりが希薄化 ~『「サル化」する人間社会』~
【本】生命はいかに「調節」されるかを豊富な事例で解き明かす ~『セレンゲティ・ルール』~
【本】メディアの問題点をえぐる ~『勝負の分かれ目 メディアの生き残りに賭けた男たちの物語』~
【本】テイラー・J・マッツェオ『歴史の証人 ホテル・リッツ』
【本】中国から見た邪馬台国とは
【本】核兵器は世界を平和にするか ~著名学者2人がガチンコ対決~
【本】『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』
【本】梅原猛『梅原猛の授業 仏教』
【本】東芝が危機に陥った原因は「サラリーマン全体主義」 ~『東芝 原子力敗戦』~
【本】バブル崩壊後の経済を総括 ~『日本の「失われた20年」』~
【本】20世紀英国は実は軍事色が濃厚 ~通念を覆す『戦争国家イギリス』
【本】時代による変化、方言など ~『オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで』~
【本】冷笑的な気分に喝を入れる警告と啓発に満ちた本 ~『日本中枢の狂謀』~
【本】物質至上主義批判の古典 ~『スモール イズ ビューティフル』~
【本】日本近現代史を学び直す ~『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』~
【本】精神の自由掲げた9人の輝き ~『暗い時代の人々』~
【本】遊牧民は「野蛮」ではなかった ~俗説を覆すユーラシアの通史~
【本】いつも同じ、ブレないのだ ~『ブラタモリ』(1~8)~
【本】分裂する米国を論じた労作 ~『階級 「断絶」社会 アメリカ』~
【本】否応なきグローバル化、つながることの有用性 ~「接続性」の地政学~
【本】読書の効用、ゆっくり丹念な ~より速く成果を出すメソッド~
【本】国谷裕子『キャスターという仕事』
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】SNSの価値観を疑え ~『武器を磨け』~

2018年02月04日 | ●佐藤優
 <多くの人は「誰とでも仲良くできること」がいいことだと教えられて生きてきている。だが、諜報、外交という特殊な世界に身を置き、さらにはその「仕事」で国策捜査によって逮捕され512日間の勾留生活を送り、執行猶予が明けるまで11年という時間を過ごした私のような人間からすると、そんな価値観は意味をなさないものだとわかる。
 誰とでも仲良くという価値観をできていても、現実を生き抜くことはできないからだ。むしろ、友達の数でいうなら「本当の友達」が5人いればいい。それ以外の人間関係は適当にかわしておけばいいのだ。
 ともすれば今の社会はSNSなどでつながっている人数が多いほうが、社会的価値が高い人という見方をされる。だが、それは見せかけの価値であることに気づく必要がある。どれだけ「いいね」をもらったとしても、その人たちは自分が窮地に立たされたときに本当に力になってくれるだろうか。
 むしろ掌返しをされる数のほうが多いかもしれない。SNSでは一見、親しげなタメ口、体言止めの多用で全ての人がフラットにつながれているような錯覚をしてしまう。しかし、そうした「親しさ」と真の人間関係は本質的に異なるものだ。
 SNS上で自分をよく見せ、多くの人に共感をもらうことに貴重な時間と労力をかけるより、数は少なくとも、真に友達といえる人間と深い付き合いをすることに時間や労を惜しまないほうが、よほど現実を生き抜く力になる。それは、人間の修羅場をくぐり抜けてきた筆者の偽らざる思いだ。
 本当の友達、真の友達は利害関係がなく、お互いに自分の人生の目的を持っていて、それぞれにたくさんの経験や学びをしている。だからこそ、そうした友達との会話や意見交換をすることは楽しく、刺激にも満ちている。
 しかも、お互いがそうした本当の友達の大切さを知っているので、相手に何かあればそれは自分の損失でもあるから、真剣に相談にも乗るし助けようとする。
 そうした友達が5人もいれば、何かあったときも、その5人がまた同じように周囲の5人の本当の友達の応援を得ることもできる。そうなれば5×5×5、5の三乗で125人の力となる。SNSでのフラットな何千人のつながりよりも、よほど力になってくれるだろう。>

□佐藤優/原泰久・原作『武器を磨け 弱者の戦略教科書『キングダム』』 (SB新書、2018)の「第4章 世間を渡る」の「本当の友達の条件」の「SNSの価値観を疑え」を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】自分の権限を確認せよ ~『武器を磨け』~
【佐藤優】XYではなくXYZで考える ~『武器を磨け』~
【佐藤優】高めるべき『非認知能力』とは ~『武器を磨け』~
【佐藤優】権力は金で買える ~『武器を磨け』~
【佐藤優】総合力=知恵×力の二乗 ~『武器を磨け』~
【佐藤優】「終わりの絵」を描く ~『武器を磨け』~
【佐藤優】生き抜くための目的思考 ~『武器を磨け』~
【佐藤優】中期展望を描いた者が生き残る ~『武器を磨け』~
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする