語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~

2018年02月25日 | ●佐藤優
 (1)本書【注】は、ノーベル経済学賞を受賞した米国のヘックマン教授が40年以上にわたる追跡調査によって就学前の幼児教育が経済的に大きな効果をもたらすことを証明した名著だ。
 最近、日本でも「就学前教区によって子どもが将来、富裕層になる可能性が高まる」という議論をする人が増えてきたが、その種本になっているのが本書だ。

 (2)もっとも、ヘックマンは就学前教育によって富裕予備軍を育成せよと主張しているのではない。貧困問題の解決策として幼児の環境に注意を向け、以下の警鐘の鳴らしているのである。
 <今日のアメリカでは、どんな環境に生まれあわせるかが不平等の主要な原因の一つになっている。アメリカ社会は専門的な技術を持つ人と持たない人とに両極化されており、両者の相違は乳幼児期の体験に根差している。恵まれない環境に生まれた子供は、技術を持たない人間に成長して、生涯賃金が低く、病気や十代の妊娠や犯罪など個人的・社会的なさまざまな問題に直面するリスクが非常に高い。機会均等を声高に訴えながら、私たちは生まれが運命を決める社会に生きているのだ。
 生まれあわせた環境が人生にもたらす強力な影響は、恵まれない家庭に生まれた者にとって悪である。そして、アメリカ社会全体にとっても悪である。数多くの市民が社会に貢献する可能性を失わせているのだ>
 適切な社会政策を実施することによって、状況の抜本的な解決が可能であるとヘックマンは考える。

 (3)米国において、特に深刻な状態に置かれているのがひとり親家庭の子どもだ。
 <ひとり親家庭で育つ子供の割合は劇的に増加しており、その主要な原因は未婚のまま子供を持つ母親が著しく増えていることにある。未婚の母親を持つ5歳以下のすべての子供の割合は、学校教育から脱落した女性を母親として生まれた子供の35パーセント以上にのぼっている。この傾向はとくにアフリカ系アメリカ人で顕著である。高学歴女性を母親に持つ子供と低学歴女性を母親似持つ子供との環境格差が生まれている。
 高学歴な女性の就労率は、低学歴な女性の場合よりはるかに高い。同時に、広範囲な調査研究によれば、大卒の母親は低学歴な母親よりも育児に多くの時間を割き、とくに情操教育に熱心だ。彼女たちはわが子への読み聞かせにより多くの時間をかけ、一緒にテレビを観る時間はより少ない。教育程度が高い女性が未婚で子供を産む率は10パーセント未満だ。彼女たちは結婚も出産も比較的遅く、教育を修了することを優先する傾向が強い。自分自身の収入も配偶者の収入も安定している。子供の数が少ない。こういった要素がはるかにゆたかな子育て環境をもたらし、それが子供の語彙や知的能力に劇的な違いをもたらす。両親が安定した結婚生活を営んでいる子供には恩恵がとくに明白で、子育ての質においての、持つ者と持たざる者との格差は、過去30年間に拡大した。高学歴の女性を母親として安定した結婚生活を営む家庭に生まれ育つ子供は、そうでない子供よりも著しく有利だ。要するに、高学歴な母親ほど仕事を持ち、安定した結婚生活を営み、わが子の教育に熱心だということだ>

 (4)(3)のような状況だと、両親が高学歴で安定した結婚生活を営んでいる家庭の子どもは、知識と情操の両面で良好な教育が受けられるので、小学校に入ってからも学業も体育も素行も優秀で、高等教育機関に進む可能性が大きく開かれる。そして学校を終えた後も比較的高収入の職に就き、同じ階層から配偶者を見つけ、自分が受けたのと同じような良好な教育環境を子供に保証する。

 (5)低学歴のひとり親のもとで育てられた子どもは、人生のスタート時点での遅れを一生取り戻すことができない。だから、政府が適切な関与を就学前児童に対して行う必要がある。その場合、給付金政策はほとんど意味を持たないとヘックマンは考える。
 <貧困に対処し社会的流動性を促進するために、所得の再分配を求める声は多い。だが、最新の研究は、再分配はある時点では確実に社会の不公平を減じるものの、それ自体が長期的な社会的流動性や社会的包容力【訳注:社会的に弱い立場にある人々を排除・孤立させるのではなく、共に支え合って生活していこうという考え方】を向上させはしないと主張している。事前分配--恵まれない子供の幼少期の生活を改善すること--は社会的包容力を育成すると同時に、経済効率や労働力の生産性を高めるうえで、単純な再配分よりもはるかに効果的である。事前分配政策は公平であり、経済的に効率がいい>
 
 (6)貧困層に属する人々は、生活習慣においても「弱い」人が多い。就学前の子どものために政府が補助金を支給しても、親がその金で酒を飲んだり、ギャンブルに使ってしまったりする可能性は排除されない。このような給付金よりも、就学前教育を義務化するとともに、教材費、給食費を含め、一切、無償化することの方がずっと効果が期待できる。
 日本においても、子どもの貧困が深刻な問題になっている。現在も行政や民間のボランティア団体が、貧困層の子どものためにさまざまな活動を展開しているが、事態の悪化を食い止めることができていない。保育園・幼稚園を義務教育化し、親の経済力に関係なく、子どもにはできるだけ平等に知育、徳育、体育のバランスが取れた教育を無償で受けさせられるような制度設計が必要だ。それにかかる2兆円程度の経費は、消費税を1%上げれば確保できる。その結果、将来、生活保護に頼る人が減り、納税者が増えるわけだから、経済合理性もある。

 【注】ジェームズ・J・ヘックマン(古草秀子・訳)『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社、2015)

□佐藤優「実家の収入で人生はすべて決まる?「下流」を脱する方法 ~名著再び、 ビジネスパーソンの教養講座 第22回~」(「週刊現代」2017年1月28日号)
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【南雲つぐみ】このごろ米国に流行る「コンブ茶」

2018年02月25日 | 医療・保健・福祉・介護
 数年前から、アメリカやカナダ、ハワイなどで「コンブ茶(Kombucha)」という飲料が定着しているという。しかし、昆布茶のことではない。日本で1975年ごろに流行した紅茶キノコのことだ。
 紅茶キノコは、紅茶に砂糖を入れ、酵母菌などを加えて発酵させたもの。これを飲む健康法が大ブームになった。
 当時は、大きな容器に手作りする家庭が多かった。わが家でも一時期作っていたようだが、茶色い液体の中に、クラゲのようなゼリー状の物体が浮いていて、飲みたいとは思えなかった。
 実際の健康効果はどうだったのだろうか。75年に出た論文では、発酵の過程で砂糖(ショ糖)が分解され、ブドウ糖や麦芽糖などの還元糖が増えることや、ビタミンCが増えることが報告されている。
 海外のコンブ茶は、瓶入り飲料として販売されている。酵素、乳酸菌、アミノ酸、ポリフェノールなどが含まれ、抗酸化作用が高いとされている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「「コンブ茶」 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年2月23日)を引用
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【社会】アマゾンと日本企業の物流との間には「大学生と小学生」の差がある

2018年02月25日 | 社会
 (1)翌日配送や、1時間以内配送など、驚くべき配送スピードを実現し、高い顧客満足度を維持するアマゾン。ユーザーから見ると、生活を便利にしてくれるありがたい存在だが、アマゾンと直接取引をしている企業には、そのビジネスのやり方が「冷酷だ」と映ることも多いという。
 日本でもアマゾンが通販ビジネスのサービスレベルを圧倒的に引き上げ、他の企業はそのレベルについていこうと必死になっている・・・・そんな構図が見える昨今だが、なぜアマゾンはこのような強さを発揮できるのだろうか。俗に言うような冷酷さが、アマゾンの本当の姿なのだろうか。そして、日本企業は、アマゾンに対抗することができるのだろうか。

 (2)林部健二(現・株式会社鶴代表)は、アマゾンジャパンが設立された翌年の2001年に同社に入社し、10年ほど、サプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任した。そこで見えたアマゾンの強さの秘密と、日本企業がアマゾンに対抗する術を、ここで紹介する。より詳しくは、林部著『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』(プチ・レトル)が参考となる。

 (3)まず、アマゾンの物流面での強さは、その特異な「物流戦略」にある。
 アマゾンでは、一般の会社に比べて物流の重要度が非常に大きい。それは物流への投資の大きさに表れている。アマゾンの2016年12月期の業績を見ると、売上高15兆9,431億円(2016年12月28日時点の為替レートで計算)に対して、その13%をFulfillment(フルフィルメント、物流関連)費用にあてている。
 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の「2016年度物流コスト調査報告書」によると、日本の小売業の売上高に対する物流コストの比率の平均は4.85%であるから、アマゾンの物流コストがどれほど大きいかが分かる。

 (4)この物流に対するコミットメントが、人材の面にも表れている。アマゾンでは、MBAを取得した人間が倉庫管理者に就いていることが多い。物流を管理するには、物流のことだけがわかればいいのではなく、経営がわかり、システムがわかる人材が必要であるとの考えがベースにある。その視点で、優れた人材を物流にあてているのだ。

 (5)その他、EDIと呼ばれるシステムで他の取引企業とデータ連携し、製造業並みのサプライチェーン管理を行っていることや、独自の需要予測システムによる購買管理、注文から納品までフルフィルメントパスを最適化する仕組み、需要予測やEDIと連動した在庫管理、Kivaというロボットを活用し、フリーロケーション(商品ごとの保管場所が決まっていない保管形式)を前提とした倉庫管理などが、アマゾンの物流の高いサービスレベルを作り上げている。そのどれか一つが欠けるだけで、このサービスレベルは維持できなくなるだろう。
 また、その物流戦略のベースにあるのが、「アマゾン式ロジカル経営」とでも言うべき、数値に基づく経営だ。KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)、オペレーション、システムの3本柱が、このロジカル経営を支えている。KPIを定めている会社は多いが、アマゾンほど厳密にレビューし、オペレーション改善に活かしている会社を見たことがない。
 KPIをレビューするための週次経営会議と、そこでのアクションプランに基づくオペレーション改善が、アマゾンのオペレーションをどんどん最適化していく。そしてそれ以外にも、社内に根付いているオペレーション改善の意識と、それを具体的なタスクに落としていくための課題管理票のシステムが、日々の高速なPDCAを実現している。

 (6)さらに、アマゾン独自の要求と、日々変わるオペレーションに柔軟に対応するシステム開発を可能にするため、内部で開発者を抱え、あらゆるシステムを内製化している。アマゾンのビジネスにおけるシステムの重要度を表すかのように、エンジニアの地位も待遇も、社内では非常に高いのが特徴的である。
 アマゾンが取引企業に「冷酷だ」と見られることがあるのは、このように、あくまで数値に基づいてロジカルな判断を行うからだ。というのも、アマゾンの判断基準はあくまで「最終的に顧客のためになるかどうか」「アマゾンの利益になるかどうか」だからだ。
 アマゾンの利益になれば、「安さ」という形で顧客に還元できるので、それも最終的には顧客のためになる。つまり「顧客至上主義」がアマゾンのビジネスのベースにある。そのビジネスのやり方は、日本企業の商慣習である「昔からお世話になっているから」といった浪花節的な判断基準とは相反する。だから反感を買うこともあるのだ。

 (7)アマゾンは商品カテゴリを増やし続けており、今や小売企業で通販を行う企業のほとんどは、アマゾンと競わざるを得ない。特に物流の面で、アマゾンの強さに対抗していく必要がある日本企業も多いだろう。
 では、日本企業はアマゾンの真似をすべきなのだろうか。否。
 「アマゾンと他の日本企業の物流システムの現状は、大学生と小学生ほども差がある」
 アマゾンの物流の強さは、アマゾンが20年以上かけて毎年莫大な投資をしながら作り上げてきたものであり、一朝一夕に真似できるものではない。同じ土俵に立っても勝ち目がないとするならば、アマゾンの真似をするのではなく、別の戦い方をすべきである。
 それはアマゾンにはない、自分たちだけの強みは何かを考えることだ。それを見つけ、磨いていくことができれば、全ての顧客をアマゾンに持っていかれることはない。

□林部健二(株式会社鶴代表)「アマゾンと日本企業の物流には「大学生と小学生」の差がある」(「週刊ダイヤモンド」2017年1月27日号)
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【南雲つぐみ】口中調味 ~健康なご飯~

2018年02月25日 | 医療・保健・福祉・介護
 ご飯とおかずを一緒に口の中に入れて、よくかむことでより複雑な味わいを楽しむ方法を「口中調味」という。伝統的な和食では、普通に行われてきた食べ方だ。おいしいお総菜を食べると「ご飯が食べたい」と感じるのは、この味を舌が知っているからかなのかもしれない。
 日本食には欠かせない米飯が、パンやパスタ、うどんなど他の主食と違うのは、塩分をまったく含んでいないこと。このため、口中調味ができるし、例えば刺し身と煮物の間にご飯を食べることで、それぞれの味を新鮮に感じることもできる。漬物やみそ汁は塩分が強いといわれるが、ご飯をある程度食べることで、全体の塩分を調節することもできるのだ。
 最近は「ベジタブルファースト」といって、まず野菜だけを食べ、そのあと肉や魚、ご飯などの炭水化物は最後に食べる方法も勧められている。あまり糖質を吸収しない食べ方ができるという。
 もし、ご飯抜きでおかずだけを食べる、ご飯の代わりにパンを食べるなら、味付けはかなり薄味を心掛ける必要がある。

□南雲つぐみ(医学ライター)「口中調味 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年2月16日)を引用
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