語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】タンパク源を大切に ~ゆで卵の殻を早業でむくコツ~

2018年02月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 卵は貴重なタンパク源。ゆで卵にすると気軽に摂取することができる。
 卵をそのまま鍋に入れ、卵が半分漬かるくらいの水を入れて火にかける。火加減を調節しながら、5分間沸騰させる。火を止めて、5分置くと、やや半熟のゆで卵ができる。
 早業で殻をむくコツを紹介したい。卵を容器に入れて水道水で少し冷やしたら、水を少しだけ残して容器のふたを閉めて、シャカシャカと振る。こうすると卵の殻に細かなひびが入るので、冷水の中でむく。熱いゆで卵を急速に水で冷やしながらひびを入れたので、殻と身との間に水が入って、とてもむきやすくなる。
 毎日の食事で米やパンなどの糖質を少なめにする「ロカボ(糖質制限)ダイエット」を行う人が増えている。まったくご飯やパンを食べないというわけではなく、「制限=控えめ」という緩やかな方法であり、カロリー(エネルギー)制限をしないので空腹を我慢しなくていいのがポイントだ。この食事法では、卵や豆類はタンパク源として積極的に食べていいとしている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「タンパク源を大切に ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年9月18日)を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~

2018年02月27日 | ●佐藤優
 (1)百年後も読み続けられることになるノンフィクションの古典。書き出しから作品の世界に引き込まれていく。
 <人間機関車と呼ばれ、演説百姓とも囃されたひとりの政治家が、一本の短刀によってその命を奪われた。
 それは立会演説会における演説の最中という、公衆の面前での一瞬の出来事であった。
 凶器は鎌倉時代の刀匠「来国俊」を模した贋作だったが、短刀というより脇差といった方がふさわしい実質を備えていた。全長一尺六寸、刃渡一尺一寸、幅八分。鍔はなく、白木の鞘に収められていた。
 その日、昭和35年10月12日、日比谷公会堂の演壇に立った浅沼稲次郎には、機関車にもなぞらえられるいつもの覇気がなかった。右翼の野次を圧する声量がなかった。右翼の妨害に立ち往生する浅沼の顔からは、深い疲労だけが滲み出ていた。委員長になって以来、さらに激しくなった政治行脚を、もうその肉体は支え切れなくなっているのかもしれなかった。しばらくの中断の後、浅沼は再び演説を始めた。
「・・・・選挙のさいは国民に評判の悪いものは全部捨てておいて、選挙で多数を占むると」
 そこで声を励まし、さらに、
「どんな無茶なことでも・・・・」
 と語りかけようとした時、右側通路からひとりの少年が駆け上がった。
 両手に短刀を握り、激しい足音を響かせながら、そのまま浅沼に向かって体当たりを喰らわせた。
 浅沼の動きは緩慢だった。ほんのわずかすら体をかわすこともせず、少し顔を向け、訝し気な表情を浮かべたまま、左脇腹でその短刀を受けてしまった。短刀は浅沼の厚い脂肪を突き破り、背骨前の大動脈まで達した。
 少年はさらに第二撃を加えたが、切先が狂い、左胸に浅く刺さったにすぎないと察知すると、第三撃を加えるべく短刀を水平に構えた。
 浅沼は驚きだけを表した顔を少年に向け、両手を前に泳がせた。そして、四歩、五歩よろめくと、舞台に倒れた。>
 17歳の右翼少年、山口二矢(おとや)に浅沼稲次郎・社会党委員長が殺害された瞬間がリアルに描かれている。山口は現行犯逮捕され、警察の取り調べを受けた後、練馬の少年鑑別所に送られた。そこでシーツを引き裂いて縊死した。
 山口は、大義のために自分の命を捨てる覚悟ができていた。だから、他人の命を躊躇せず奪うことができたのだ。
 人間は観念を持つ動物だ。どの時代にも過剰な観念を抱き、それに殉じる人たちがいる。この観念が、人びとに受け入れられ、政治的に勝利するならば、観念に殉じた人は英雄として顕彰される。政治的に破れた場合は、テロリストとして断罪される。
 このような政治的断罪を沢木耕太郎は拒否する。そして、具体的な接触は数十秒しかなかった山口と浅沼の生涯をたどることによって、観念に取り憑かれた人びとの魅力と悲喜劇を浮き彫りにすることに成功した。

 (2)当初、山口の軌跡を中心に作品を作ろうとしていた沢木氏の関心は、徐々に浅沼に移っていく。庶子に生まれたコンプレックスを封印し、激しい弾圧には耐えぬくが、二度も精神に変調をきたした浅沼は、政治の世界に生きるには線が細かったのだろう。社会党右派である浅沼が、1959年3月に社会党訪中使節団団長として北京を訪問した際、
 <「台湾は中国の一部であり、沖縄は日本の一部であります。それにもかかわらずそれぞれ本土から分離されているのはアメリカ帝国主義のためであります。アメリカ帝国主義についておたがいは共同の敵とみなして闘わなければならないと思います」>
 というエキセントリックな演説をしたのも、浅沼の信念に基づくというよりも、北朝鮮から中国に来ていた黄方秀という朝鮮人の入れ知恵だった。浅沼がこの工作に乗ってしまったのは、社会主義者でありながら、戦争に協力してしまったという自責の念からであろう。

 (3)人間的良心に付け込むのは共産国インテリジェンス機関の定石だ。
 このような北朝鮮の工作がなかったならば、浅沼は山口の標的とされることもなく、別の人生を送ったはずだ。インテリジェンス工作が人間の運命を変えてしまう典型例だ。

 (4)この作品は、偶然の結びつきから物語を紡ぎ出している点でも優れている。
 <山口二矢は浅沼稲次郎を一度、二度と刺し、もう一突きをしようと身構えた時、何人もの刑事や係員に飛びかかられ、後から羽交い締めにされた。その瞬間、ひとりの刑事が二矢の構えた短刀を、刃の上から素手で把んだ。二矢は、浅沼を刺したあと、返す刃で自らを刺し、その場で自決する覚悟を持っていた。しかし、その刃を握られてしまった。自決するためには刀を抜き取らなくてはならない。思いきり引けばその手から抜けないこともない。しかし、そうすれば、その男の手はバラバラになってしまうだろう。二矢は、一瞬、正対した刑事の顔を見つめた。そして、ついに、自決することを断念し、刀の柄から静かに手を離した・・・・。>
 沢木氏は、この話が伝説でないことを、この刑事を診察した外科医を取材することによって確認する。
 <掌に刀疵のある刑事は、浅沼稲次郎が日比谷会堂で刺された時、とっさに犯人の山口二矢に飛びかかり、素手で刀を?み、奪い取ったのだ、と医師に話した。掌に疵は残ったが、その功により警視総監賞を貰うことができたともいった・・・・。>
 後に神経性の高血圧で二矢の父、山口晋平がこの医師の治療を受ける。世の中は実に狭い。
 現在、世界的規模で「イスラム国」(IS)をはじめとするイスラム教原理主義過激派が、無差別自爆テロを行っている。自らが正しいと考える理念のために自分の命を捧げる覚悟をし、他人の命を奪っていいという信念は山口もISも同じだ。
 しかし、山口は、無差別テロは考えていなかった。テロリズム思想の変遷について学ぶ上でも本書は有益だ。

□佐藤優「沢木耕太郎/テロルの決算 テロリズム思想の変遷を学ぶ ~ベストセラーで読む日本の近現代史 第38回~」(「文藝春秋」2016年月号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】辛いシシトウの理由 ~クマ撃退用の催涙スプレーにも~

2018年02月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 シシトウは好きだが、ごくたまに、まるでトウガラシを食べてしまったかのような猛烈な辛さのものがある。つい先日、そんなシシトウを食べてしまい、まさに「目から火が」出る思いをした。
 この辛み成分は、唐辛子と同じ「カプサイシン」と呼ばれる物質。発汗を促したり食欲を増加させたりするなど、人体への良い効果が最近よくいわれるが、その刺激作用は強い。クマ撃退用の催涙スプレーやネズミの忌避剤にも使われているのだ。
 シシトウやピーマンはトウガラシの仲間だが、ピーマンと同様にカプサイシンはほとんど含まれていない。ところが、農林水産省「カプサイシンに関する情報」によれば、天候が不安定になる6月や10月に土壌の水分量が急激に変わったり、夏の熱帯夜で高温が続いて水分量が不足したときなど、水分や肥料の足りないシシトウにはカプサイシンが多くなることがあるという。
 辛いシシトウにはストレスがたまっていたのだと思うとうにしよう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「辛いシシトウの理由 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年11月28日)を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】冬でも刺す蚊 ~チカイエカ~

2018年02月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 蚊に刺されるのは夏だけかと思っていたら、最近、オフィスビルなどで冬に飛んでいる蚊を見るようになった。刺される人もいて、「やはり、地球温暖化の影響?」などと話題になっていた。
 冬でも活動する蚊は、「チカイエカ」というそうだ。人や動物の皮肌を刺して血を吸うイエカの一種で、吸血行動は産卵を控えたメスのみが行う。夏の夜、家の中でブーンという耳障りな羽音を立てて人を襲うのは「アカイエカ」だが。これは気温が下がると冬眠などで姿を消す。
 一方、チカイエカは冬眠せず、気温が高ければ吸血行動も行う。多く見かけるのは、オフィスや地下鉄の駅の構内、地下街など「都市害虫」の代表といわれる。今のところ、九州、四国、本州の都市近郊で見られていて、沖縄では報告されていない。
 チカイエカはビルの浄化槽などで発生するため、完全駆除はなかなか難しい。発生源となっている浄化槽の周りを薬剤処理できればいいが、難しいときは、蚊取り線香や殺虫スプレー(エアゾール)で対処するしかない。

□南雲つぐみ(医学ライター)「冬でも刺す蚊 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年12月12日)を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】タラの芽

2018年02月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 (前略)苦みのあるタラノメは、健胃、強壮、強精などの副作用があるとされ、糖尿病の薬ともいわれてきたそうだ。近年の動物実験では、糖尿病のマウスにタラノメの抽出物を与えても改善効果は見られなかったが、ブドウ糖を飲ませたマウスで、血糖値の上昇が7~8割も抑えられたという結果が出ている。このことからタラノメは糖尿病の治療効果ではなく、予防や悪化の防止に効果があると考えられるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「タラノメ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年2月24日)を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】頬のたるみを取るマッサージ

2018年02月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 頬にたるみができるのは、顔の筋肉が凝っているからといわれて、改めて自分の顔に触れた。
 顔の筋肉は大きく分けて、「表情筋」と「咀嚼筋」の2種類がある。咀嚼筋はかむための筋肉で、歯茎の脇に縦に走っている太い筋肉を「咬筋(こうきん)」という。顎の両脇に手をあてて口を動かすと、咬筋が動いている様子が分かる。
 咬筋は、かむだけでなく頬や口周りの皮膚を支えている。この部分を、口の中からマッサージするといいと聞いて驚いた。しかし特に新しい方法でもなく、女性誌などでは、かなり前から取り上げられているマッサージ法なのだとか。
 口の中に親指を入れて。頬の厚みのある部分を親指と人さし指でつかみ、そのまま軽く上下に揺らしてみる。つかむ場所を変えながら行うと、凝りのある部分が分かる。口の中を傷付けないよう爪を切り、風呂の中などで試してみるといいのではないだろうか。
 咬筋の凝りをほぐすと、それと連動する顔の筋肉の緊張も緩めることができ、唾液の出も良くなるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「口の中をマッサージ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年2月26日)を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする