語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】悪はどこから入りどこから去っていくのか ~『なぜ私たちは生きているのか』~

2018年02月24日 | ●佐藤優
 <19世紀ロシアが生んだ天才ウラジーミル・ソロヴィヨフは、大川周明、西田幾多郎にも影響を与えました。主著は『神人論』と『三つの会話』です。著作集の『三つの会話』(『ソロヴィヨフ著作集<5>三つの会話--戦争・平和・終末』刀水書房)に収録されている「反キリストに関する短編物語」は、黄禍(こうか)論の根っこになった作品なので、興味のある読者は読んでみてください。あらすじを簡単に紹介すると、19世紀の終わり、極東の島国日本が欧米の文物を模倣し急速に技術力をつけるとともに帝国主義的な拡張をし、まず朝鮮半島、そして中国への侵略を開始する。その結果、中国からモンゴルを支配することになり、東京からモンゴルのカラコルムに遷都して新モンゴル国をつくり、中国人モンゴル人と一緒に世界最終戦を西側世界に対して仕掛けていく。ロシア、東欧は日本の占領下に入り、ついにヨーロッパで決戦が行われるのですが、そのときにキリストの生まれ変わりという若者が現れるんです。そして新モンゴル軍を打ち破り、全ヨーロッパの皇帝となるのだけれども、実はこの若者は反キリストだった。それで反キリストの支配に対して、ローマ教会のペトロ教皇とプロテスタントの神学者パウロ教授、ロシアの山奥の修道院にいるヨハネ長老が連合して戦い、反キリストを叩き潰すんです。
 フョードロフもソロヴィヨフも、永遠の命を得ていくことに目的を置いているキリスト教であり、これはヨハネ福音書のラザロの復活と通じます。それに対して、マタイ福音書、マルコ福音書、ルカ福音書は、神の国に入ることを目的としている。キリスト教徒としてなぜ生きているのかという、目的が違う。それですから、ラザロの復活の話は、ヨハネ福音書にしかありません。【注】>

 【注】<ヨハネ福音書は、他の三つの福音書とは編集方針が違っており、グノーシス的な考えが色濃く出ています。ちなみに聖書は、ヨハネとかマルコとかいった個人の作品ではなくて、教団が編集委員会方式でつくっているものです。ヨハネ福音書は、特殊な神学的な立場を持っていたヨハネ教団がつくったものです。>【本書Ⅲ章の「破壊的な悪の力を包むには」】

□高橋巖×佐藤優『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』(平凡社新書、2017)の「Ⅲ宗教--善と悪のはざまで」の「悪はどこから入りどこから去っていくのか」から一部引用
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 【参考】
【佐藤優】現代人は悪に鈍感 ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】見えるお金が見えない心を縛る ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】生活のなかに植え付けられた資本主義 ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】プロテスタンティズムと資本主義は関係ない ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】個別主義・全体主義・普遍主義 ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】ルター派教会とナチズム ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】キリスト教は「絶対他力」の宗教 ~『なぜ私たちは生きているのか』~
【佐藤優】『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』目次

【南雲つぐみ】梅の香り ~酢酸ベンジル、ベンズアルデヒド、etc.~

2018年02月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 2月の陰暦のでの別名は「梅つ月」。酷寒で梅の開花は遅れ気味だが、各地で梅が見ごろを迎えている。
 香りの専門家による分析によれば、梅の花の香りのもとになっているのは、酢酸ベンジル、オイゲノール、ベンズアルデヒドなどの成分だ。このうち、酢酸ベンジルは白梅の花、ベンズアルデヒドは紅梅に多く含まれているという。オイゲノールはどちらにも含まれるそうだ。(サクラとウメの花の香り」堀内哲嗣郎著、フレグランスジャーナル社)
 白梅と紅梅で、もしどちらかの梅園のほうが好みなら、色だけでなくその香りが自分に合っているのかもしれない。
 なお、酢酸ベンジルは、アロマセラピーに使う精油ではイランイランやジャスミンなどにも含まれている。リラックスや鎮静の目的で使われる香りだ。ベンズアルデヒドは、モモやアンズの香気のもとにもなっている成分で、香水の材料として広く使われている。
 オイゲノールはタイムやクローブ、シナモンなどスパイスにも多く含まれている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「梅の香り ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年2月21日)を引用
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