カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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秋の気団はゆっくりと

2010-09-14 09:55:34 | インポート

①9月14日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月14日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月13日21時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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昨日9月13日は、北日本から東日本を寒冷前線が南下し、各地で雷を伴なった強い雨が降りました。

関東地方でも、13日夜に、寒冷前線通過に併せて、関東地方南部で帯状に雷雲が発達して、所によっては1時間に80㎜を超す猛烈な降水となった箇所もありましたし、千葉県の一部では突風も吹き、交通機関等に一部ダイヤの乱れも生じたりもしました。

本ブログで、昨日の記事にて、この、寒冷前線が通過後、本州には秋の気団が流れ込んでくると述べましたが、この秋の気団、今回は一気に、ではなく、ゆっくりとした足取りとなりそうです。

引用図①より、14日6時現在、件の寒冷前線は、本州南岸まで南下しました。しかし、引用図②より、関東地方周辺には、当該、寒冷前線に沿うようにして、帯状に白くかすんだ表示(中層や下層で水蒸気が比較的多い箇所を示します。)となっており、その北側に目を向けると、関東地方周辺の帯状の白くかすんだ表示と平行して、まるで洗濯板(表現が少々古くてスミマセン!!)のように、幾重にも、白くかすんだ表示が帯状になって連なっていますね。

実は、このように、

◆前線が通過後、水蒸気画像上で、洗濯板のごとく、幾重にも、白くかすんだ表示が帯状になっている(帯状に、中層や下層で水蒸気が比較的多い箇所が連なっている)状態

の場合は

Ⅰ:前線の後面に、まだ、上空(500hpa)の気圧の谷が抜けきっていない状態

Ⅱ:当該、帯状に連なる、中層や下層で水蒸気が比較的多い箇所に、雨雲(雪雲)が発生・発達しやすくなる

Ⅲ:前線の後面の寒気の勢力は、前面の暖気の勢力よりも弱く、当該、寒気の移流はゆっくりしたものになる。前記Ⅰで述べた、上空(500hpa)の気圧の谷が東へ抜けきらなかったり、波状的に当該気圧の谷が本州付近を通過するような場合である限りは、前記Ⅱの状態が継続する

以上の特性があります。

まあ、これも、本年は、記録的猛暑をもたらすほどに、夏の気団の勢力は優勢なものでしたからね。秋に移行する、いわば、産みの苦しみ と言えそうですね。


本州を寒冷前線南下 前線の後面では次第に秋の気配が

2010-09-13 23:20:54 | インポート

①9月13日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月13日15時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月13日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④9月14日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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本夏、各地に記録的な猛暑をもたらした太平洋高気圧ですが、ようやく、その勢力を弱めつつあります。

本州付近で太平洋高気圧が衰弱すると、次第に、当該太平洋高気圧の縁に本州付近が入りやすくなり、大陸方面から寒冷前線が南下して、その寒冷前線に向かって暖湿流が流れ込んで、大気が不安定となり、所々で強い雨も降りやすくなります。

一昨日から本日にかけて、北日本や北陸の各地では大雨となった箇所が多く、13日夜には、埼玉県南部から東京23区、千葉県北西部にかけて、雷を伴なった激しい雨が降りました。

夏季に本州へ南下してくる寒冷前線は、まさに、太平洋高気圧の衰弱を示す証と言え、決まって、強い雨や雷をもたらすもの。また、当該、寒冷前線の前面では、暖湿流が南西風から西より風となって吹き込んでくるため、西側に山地がある地域では、山越えのフェーン現象による高温を発生させやすいもの。実に厄介なものです。

事実、13日は、西側に山地がある、静岡県静清平野地域や、紀伊半島東部等で特に気温が上がりました。静岡県清水で36・9℃、静岡市で36・3℃の最高気温を観測し、猛暑となりました。

ただ、引用図②③を見比べると、この寒冷前線のすぐ後側からは、水蒸気画像上で明瞭な暗域(画像表示がない部分がくっきりと現れている箇所。水蒸気が相対的に少ない箇所を示します。)が大陸から現れてきて、次第に本州を南下しつつありことがわかります。

実は、この、水蒸気画像上の明瞭な暗域こそ、乾いた空気の集団。それは、大陸からやってきた秋の気団なのです。

関東以西の、季節はずれで記録的な猛暑もようやく翳りが。引用図④より、寒冷前線は、14日9時には、本州の南海上まで南下する予想で、これに伴い、14日は、関東以西の各地でも、前記した、秋の気団に覆われてくる予想です。

本年の記録的な猛暑にうんざりしていた筆者ですが、何か、うれしい気分になってきました。皆さんはいかがでしょう?


台風9号 北陸地方に上陸か

2010-09-08 10:17:35 | インポート

①9月8日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月8日6時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月8日6時の全国ウインドプロファーラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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台風9号は、8日6時現在、京都府舞鶴市の北の若狭湾を東へ進んでいます。今日の昼頃、北陸地方西部に上陸する可能性が強まってきました。

引用図①②より、台風を取り巻く雲の集団は、円形ではなくなって、三陸沖~関東地方北部へ延びる前線の雲と一体となるような形へ変化してきています。これは、この台風自体、その構造を温帯低気圧化しつつあることを示すものですね。

となりますと、この台風9号、今後は 

Ⅰ:三陸沖から関東地方北部へ延びる前線に沿って移動する。

Ⅱ;台風を取り巻く強い雨雲は、暖湿流(上空1000m~2000m付近)が大量に流れ込んでいる箇所(引用図③参照)にも分布する。今回の台風9号の場合ですと、台風の中心付近ばかりでなく、前線の南側にも、帯状に幾重にも分布するようになる。

Ⅲ;台風の進路が、日本海の沿岸すれすれであり、こういう進路ですと、今後、台風が北陸地方に達すると中部山岳の地形的な影響で、台風(温帯低気圧に変わっているかもしれませんが)の中心が分裂して、東海道沖あたりにも中心の一つが発生する可能性も強い

以上、3つの特徴があると言えます。

特に、前記Ⅱの点ですが、標高1000m~2000m付近で暖湿流(風向は南西~西より風)の流れ込んでくる方向に開いた山の斜面にあたり地域のみならず、当該、標高1000m~2000m付近で地形的に鞍部になっている地域も要注意!当該、地形的に鞍部になっている箇所で雨雲が帯状に発達して、強い降水をもたらすことも多いものです。

また、関東南岸から東海道沿岸にかけては、一昨日あたりから海上から海岸部へと吹く南西風が持続しています。海上から海岸部への風向が持続すると、海岸の潮位は上昇するもの。そこへ、台風が接近して気圧が下がりますから、一層、潮位は上昇するようになります。高波や高潮には要注意ですね!


おやおや!日本列島へ接近してから発達とは!台風9号

2010-09-07 11:22:30 | インポート

①9月7日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月7日6時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④9月5日現在での日本近海海水温図 気象庁HPより引用

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東シナ海を北上中の台風9号ですが、昨日9月6日から、徐々に台風自体の勢力を強めてきました。

気象の基本書通りにいけば、台風は、本州付近へ接近するに従い、次第にその勢力を弱めることが多いのもですけどね。まあ、実際の気象現象ってのは、基本書通りにいかないことも多いものですね。

なぜ、台風9号は、発達したか?これは、東シナ海の海水温が大変高くなっていることですね。

台風は、水蒸気が蒸発する際に放出される潜熱がエネルギーですから。この潜熱を得るためには、より、高温多湿な気流が台風に伴う上昇気流内に存在する必要があるからです。よって、台風がより暖かい海水温の海面に位置することが、台風の勢力を維持・発達するはたらきをします。

※ここで注意いただきたいことですが、台風は、暖かい海水ばかりがエネルギーではありません、台風の進行方向流れ込んでいる暖湿流の程度如何でも、その勢力を維持・発達させるものなのです。この点はあまり知られていないことだとおもいますが、ですから、移動速度の速い台風ほど、衰えにくく、逆に発達することも少なくありません。

引用図④より、台風9号の進路にあたる、東シナ海北部では、9月5日現在、28℃から29℃となっており、この程度の海水温ですと、台風は24時間以内におおむね10hpaは発達するようになるものです。

まあ、これも、本年の猛暑の副産物であり、また、着実に地球温暖化が進んでいる証といめそうですよね。

今後の台風9号の進路には、皆さん!どうか、ご用心!!


9月は猛暑で始まる 東京では11日目猛暑日 北日本でも厳しい暑さ

2010-09-01 17:52:23 | インポート

①9月1日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月1日の全国各地最高気温一覧(16時まで) 気象庁HPより引用

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③9月1日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④9月1日9時気象庁発表のAUPQ78図 日本気象予報士会HPより引用

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⑤9月1日9時気象庁発表のAUPQ35図 日本気象予報士会HPより引用

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9月1日防災の日は、各地で猛烈な暑さが続きました。

京都府舞鶴で38・3℃ 同じく京都府京田辺で38・2℃の最高気温を観測したほか、東京(気象庁のある千代田区大手町)でも最高気温35・9℃と、本年11日目の猛暑日となり、9月に観測した猛暑日としては、平成12年9月2日に観測した最高気温37・8℃以来、10年ぶりとなるものです。

1日は、引用図②より、北日本の各地でも最高気温があちこちで30℃以上となり、9月になって観測史上最高の気温となりました。青森県の八戸では最高気温35・4と猛暑日となりました。

引用図③と、本ブログの昨日8月31日の記事内引用図②(8月31日6時の日本付近雲画像図)を見比べていただきたいのですが、8月31日より本日9月1日になると、本州上では雲がめっきり少なくなっていることが解ります。これは、昨日8月31日の記事で紹介したように、東シナ海を北上する台風7号が、本州付近を覆う太平洋高気圧の張り出しを強めたことに他なりません。

さらに、引用図④(下側図が極東周辺上空1500m付近 上側図が極東周辺上空3000m付近の気流の流れと 気温と湿数分布図) 引用図⑤(下側図が極東周辺上空5500m付近気流の流れと気温と湿数分布図 上側図が極東周辺上空10000m付近の気流の流れと気温分布図)と引用図①より、本州付近を覆う太平洋高気圧は、には、上空1500m付近から上空10000m付近まで一様に、高気圧に覆われていることが解ります。

本州付近を覆う太平洋高気圧は、地表付近から上空10000m付近(300hpa)まで高気圧の場でありますから、よほど背の高く頑強な高気圧 と言え、たやすく衰えず、勢力をいつまでも維持します。

この、太平洋高気圧の背が高く頑強であること が 本年の各地の猛暑の原因なのです。