ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

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断言していい。癌は僕の人生に起こった最良のことだ --ランス・アームストロング

2005年04月23日 22時07分51秒 | レバレッジリーディング


引き続き、ランス・アームストロング著『ただ、マイヨ・ジョーヌのためでなく』から。

自転車選手としてまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったランスが、末期癌と診断された。最終的には奇跡的な生還をし、信じられないカムバックを果たすわけだが、彼は本書の中でこう言っている。「断言していい。癌は僕の人生に起こった最良のことだ」って? なぜランス・アームストロングがそう言うに至ったのか。

最初はこういっていた。

<アジアに駐屯している軍人からe-mail を受け取った。彼も癌を患っており、僕にぜひ言いたいことがあるという。「君はまだわからないだろうけど、僕たちは幸運な人間なんだ」僕は大声で言った。「こいつ、馬鹿じゃないか?」一体何を言ってるんだ。


しかし、その後、彼はこういう境地に至る

<僕は病気であった時期のほとんどを、絶望的な先の見えない霧の中で過ごしていた。病気は僕という人間を、屈辱的なまでに素っ裸にし、僕は容赦のない目で自分の人生を振り返ることを余儀なくされた。いくつものことが後悔とともに思い出された。卑劣なふるまい、未完成の仕事、自分の弱さなど。僕は自分に問いかけた。「もし生き残れるとしたら、いったいどんな人間になりたいのか」。僕は人間として、もっともっと成長しなければならないことに気が付いた。>

そして、冒頭の発言に続く。

<断言していい、癌は僕の人生に起こった、最良のことだ。なぜ僕が癌になったのかはわからない。けれども癌は不思議な力を与えてくれた。僕は癌から逃げる気はない。人生でもっとも重要な、人生を形作ってくれたものを、忘れたいと思う人などいるだろうか。>

さらにランスは言う。感動的な発言である。

<冗談を言っているのではない。人は死ぬ。これはあまりにも虚しい真理であり、時に言葉にすることすら耐えられない。どうして僕らは生き続けなければならないのだろう。どうして一切を捨て、そのままその場に横たわらないのか。しかしもう一つ別の真理もある。人は生きる。これは同じように真理ではあるが、正反対の真理だ。人は生きる、鮮やかに。 病気だったとき、僕はそれまでの一回の自転車レースで見たより、もっと多くの美しいもの、勝利、真実を、たった一日の間に見た。そのうえこうしたことは奇跡ではなく、人間によってもたらされたものなのだ。よれよれのスエットスーツで現れた男は、なんと優秀な外科医だった。酷使され超多忙なラトリースという看護婦と友だちになった。彼女の看護は深い共感から来る思いやりに満ちたものだった。睫毛や眉毛がなく、髪は化学療法で焼けてしまった子ども達も見た。彼らはツール・ド・フランスで前人未踏の五連覇をなしとげたインデュラインと同じ心で、勇猛果敢に闘っていた。だが、ぼくにはまだすべてが完全にわかっているわけではない。僕にできることは、ただ真実を話すことだ。>

今年ランスはツール・ド・フランスのレースを最後に引退することを表明した。前人未踏の七連覇を賭けて彼は全力で走るだろう。引退後、ランスは残りの人生は3人の子どものフルタイムの父親としての役割と、ガン患者への支援活動に充てるそうだ。

ちゃんとしたブックレビューはこちらにあります。


←ランス・アームストロングの勇姿である。

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