◇忘年会を兼ねて3ヵ月ぶりのイタリア会(男3)。今年を振り返ってみて、
震災、原発の話題となり、直近での大阪市長選挙も含め「政党の不在」
が改めて浮き彫りとなった年でした。 雑誌「通販生活」が誌面やCMで、
原発是非の国民投票の呼びかけを行うことに対して、メディア側の過剰
ともいえる拒否の姿勢は、原発そのものよりも“国民投票”に対して強い
懸念を示しており「その点がおかしい」と指摘するU氏の考えはご尤もで
賛同するとともに、何かメディアに都合の悪いこと?と思ってしまいます。
http://www.j-cast.com/tv/2011/11/30114715.html
◇ラム(子羊)を好んで食べるようになったのはスペインに住んでからで、
鶏のモモ肉の数倍あるジューシーな骨付きラム肉(Cordero)は軟らかく、
香ばしい風味で赤ワインにもよく合い、焼き方と肉の質でその店の看板
メニューになります。 また、マドリード近郊の古都セゴビアでは皿の縁で
切れるくらい軟らかい子豚の丸焼き(Cochinillo)が有名で、脂が強くて、
北京ダックではありませんが、よく焼けたパリパリ感ある皮の歯ごたえと
肉+肉汁を楽しむ料理でもあり、スペインの肉料理はレベルが高いです。
BudapestからNerjaに移ったSさん、スペインでの生活をお楽しみ下さい。
◇「スーパーカー」(1995~2005)という名の青森出身の4人組バンドは、
フルカワミキさんの撮影立会いでリハーサルスタジオにお邪魔して以来、
2001年から解散まで試聴CDを所属レーベルから送っていただき、東京
のライブコンサートも関係者・メディア席の招待状が届いてました。 その
フルカワさん、ナカコー(中村弘二)の 2人に、元ナンバーガールの田渕
ひさ子、電気グルーヴのエンジニア兼サポートの牛尾憲輔が参加して、
新しいグループ『LAMA ラマ』を結成。 新譜はエレクトロポップ色が満載。
http://natalie.mu/music/pp/lama03
◇11月30日朝、ボストン在住の父が肺がんで亡くなりました(享年84)。
法隆寺門前の食堂・土産物屋の長男として生まれ、店を継がず満州の
ハルピン学院(=スパイ養成学校)で終戦を迎え、東京外大ロシア語科
に編入。商社を渡り歩き(三菱→安宅→伊藤忠→横浜通商)、ほとんど
モスクワ勤務。 母と離婚後、ロシア人女性と再婚。娘がボストン大学に
進学して築数十年の家を購入し米国に移住。 8月末に脳腫瘍と肺がん
が見つかり、リハビリ施設に入院していたものの片道切符となりました。
【コンサート】
■Eric Clapton & Steve Winwood (日本武道館、11/12/03 ★★★★☆)
アンコールの2曲(「Dear Mr.Fantasy」「Cocaine」)を含め、2時間10分、
全21曲。この日のベストはラスト19曲目「Voodoo Chile」(J・Hendrix作)
で、ギター(E・C)とオルガン(S・W)のアンサンブルが絶妙。 アコギ2本
で歌った「Wonderful Tonight」も素晴らしく、クラプトンの「Presence of
the Lord」(初の自作曲)とウィンウッドの「While you see a chance」を
生で聴くことができ、ホント42年前に結成された『Blind Faith』の再演を
観れるとは! S・GaddのドラムとW・Weeksのベースも凄い演奏でした。
【演劇】
■猫のホテル 「わたしのアイドル」(ザ・スズナリ、11/12/04 ★★★★)
作・演出:千葉雅子。彼女と佐藤真弓の二人芝居にダンシング・チーム
+黒子役として4人の劇団員が参加。越路吹雪(千葉)と作詞家であり、
越路のマネージャー役として無給で30年近く務めた岩谷時子(佐藤)の
実話をベースにした物語。冒頭、「男の子女の子」(郷ひろみ)の作詞や
シャンソンの翻訳(「愛の賛歌」等)に触れて、越路の裏方として生きた
岩谷にスポットが当たり、終盤BGMとして、ピンキーとキラーズの「涙の
季節」が流れ、スポットライトを浴びてステージに立つラストは見事です。
http://www.nekohote.com/next_folder/my_idol.html
【映画】
■50/50 フィフティ・フィフティ <原題 50/50>(★★★★)
ラジオ局に勤務する27歳の主人公(J・G=レヴィット)はがんを宣告され、
どのように克服していったかを描いた脚本家の実話をベースにした話。
会社の同僚(S・ローゲン)は本人の前では常に明るく振舞い、同棲して
いたガールフレンドが離れていき、セラピスト(A・ケンドリック)との会話
や同様の治療を受ける患者仲間たちとのつき合いを受け入れ、抗がん
剤治療に専念する姿が自然で、腫瘍の摘出手術を受けるまで。50/50
の原題は、5年後の生存率(50%)と死亡率(50%)をあらわした確率。
公式HP(音声注意) ⇒ http://5050.asmik-ace.co.jp/
■タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密 <原題 The Adventures of Tintin:
The Secret of the Unicorn>(★★★☆) ベルギーの人気コミックの
映画化で、スピルバーグは製作だけではなく監督も兼任。実写とアニメ
をCGで合成したような映像。内容は“インディー・ジョーンズの子ども版”
ともいえ、海賊によって沈められた船の財宝の行方を追う宝探し。犬の
スノーウィとアル中のハドック船長が同行する「2人+1匹」の道中となり、
主人公タンタンよりも、ハドック船長が単なるヨッパライから勇敢な男に
成長する姿が描かれ、今後“シリーズ化”が予想される終わり方でした。
公式HP(音声注意) ⇒ http://tintin-movie.jp/
【Book】
■沢木耕太郎 「ポーカーフェース」(新潮社、11/10/20 ★★★★☆)
著者の3冊目となるエッセイ集です。どれも読み応えのある話になって
おり、中国での盗難、もう一人の自分の存在、未来を見通す力の有無、
高峰秀子との手紙のやり取り、特に面白かったのが「無人島に持って
いく一冊の本」で触れられる、バカラとその必勝法に関するテーマです。
2009年10月に亡くなったイラストレーター小島武氏のイラストも印象的
で著者のダンディズムとこだわりが色濃く反映されてます。 ブラジルで
飛行機が墜落して腰を打っただけで済んだ彼の強運にも感心します。
http://www.shinchosha.co.jp/book/327515/
ポーカー・フェース | |
沢木 耕太郎 | |
新潮社 |
■手塚治虫 「手塚治虫クロニクル 1968~1989」(光文社新書、11/11/20
★★★★) 1968年から亡くなるまでの連載作品から1話ずつを掲載。
未完作品も含まれ、改めて彼の幅広いテーマに圧倒されます。 ライフ
ワークともいえる「火の鳥」、生きる道を説く「ブッダ」、無免許の外科医
「ブラックジャック」、SFミステリー「三つ目がとおる」、幕末の群像ドラマ
「陽だまりの樹」、第二次世界大戦中の日本とドイツで同じ名前の3人
を追った「アドルフに告ぐ」、未完となった「グリンゴ」と「ルードウィヒ・B」、
絶筆となった「ネオ・ファウスト」。40歳から60歳、もっとも円熟した時代。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334036546
手塚治虫クロニクル 1968~1989 (光文社新書) | |
手塚治虫 | |
光文社 |
【オマケ、今週の気になった言葉】
■私たちは色々な会場で様々なピアノと出会います。次に触れたときに、
そのピアノがどんな風に育っているかが楽しみなんです。
(by 小山実稚恵、立川志らく著『落語進化論』より)
志らくが小山実稚恵さんとの対談で、ギタリストやヴァイオリニストは弾き
慣れた自分の楽器をコンサート会場で演奏するのに、ピアニストの場合、
会場のピアノを弾くことをどう思うかと疑問を投げかけた際の彼女の答え。
「大勢の演奏家に使われる楽器だからこそ、良くも育つし悪くも育つ。」と
続き、“ピアノが育つ”という言葉に志らくが感動したことを書いています。
ギター・ヴァイオリン、管弦打楽器に鍵盤楽器、いわゆるアコースティック
楽器は弾き(吹き)込めば弾き(吹き)込むほど、経年変化で落ち着いた
音色になると言われています。 ただ、どのように弾き(吹き)込まれたか
がポイントで、“古ければイイ”ってものじゃないってことですね(笑) 楽器
は弾かれて初めてその輝きを発揮するわけで、ホコリまみれのケースや
押入れの中で忘れられた楽器は哀しく、再デビューさせる場が必要です。
では。