ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

雪の降る夜:想定外

2013年04月02日 01時01分35秒 | Weblog
明日は起床予定が5時だけに、20時過ぎには就寝とした。

♯0のシュラフはさすがに暖かい。
アルコールのせいもあり、体の内外から暖かさを感じることができた。

夜中に目が覚めた。
寒さを感じる。
背中? それとも足先?・・・
寒さを感じたのは両足大腿部だった。
「何故こんな部分が・・・」
そう思ったが眠気もあり、今さらどうこうして寒さ対策のためにシュラフから出る気はない。
腕時計のライトを点ければ時刻はまだ23時を過ぎたばかりだった。
「何とかこのまま眠れればいいなぁ。」
そう思い瞼を閉じた。
幸いに睡魔が勝り、いつしか眠りに就くことができた。

が、再び大腿部の寒気で目が覚めた。
時刻は午前3時過ぎ。
「もも」だけが寒さを感じるだなんて、そう多くはない雪中テント泊経験とは言え初めてのことだったし、想定外のことでもあった。
寒さ対策はバッチリだと思っていたのだが・・・。

シュラフから腕だけを出し、ザックに取り付けてある温度計にライトを当ててみた。
気温-24℃。
記憶にある範囲内では初めて経験する氷点下だった。
「こりゃダメだわ」
そう思い半ば諦めながら嫌々上半身を出し、スタッフバック内にしまっておいた予備の中間着(フリース)を取り出した。
それを大腿部に巻き付けるようにすると次第に暖かさを感じるようになってくれた。
「これでもう少し眠れるかな・・・」

ところが目が覚めたのは午前6時だった。
腕時計のアラームを仕掛けておいたにも関わらず、目が覚めなかったのだ。
「おっと、やば! 1時間も寝坊だ。」
慌ててシュラフから起き出し両腕を広げ、でかいあくびをした。
その時片方の指先にザラザラとした感触を感じた。
「何だ?」と思って確かめてみると、そのザラザラ感はテントのほぼ内側全体にあった。
結露が凍結しているのだ。
いや、結露の凍結なんて言うよりはむしろ「薄氷」と表現した方が適切であろう。
しかもシュラフカバーの表面にもそれはびっしりと付いていたし、カバーを取り外してみると、シュラフ本体にも氷の固まりとなって付着していた。
「寒かったもんなぁ・・・」

更には、細引きに吊して干しておいたアルパイングローブとインナーグローブまでもが凍結に近い状態でカチカチになってしまっていた。
「あぁーこれはまずい! でも今日の出発まではまだ時間はあるからなんとか・・・」
グローブ表面の薄氷の様な物を取り除き、懐に入れて解凍することにしたが、インナーグローブの予備は2組あるし、いざとなればそれを用いようと考えた。

少々慌てた起床となったが、次第に出入り口側(東側)の明るさが増してくるのが確認できた。
「そうだ、今日の天候は?」
ファスナーを外し、スノーフライシートを開けてみると、昨夜の予測を覆す強烈な眩しい光を浴びた。



「うぉー! やったね♪」
思わずにんまりとしてしまった。

まともに目を開けていられないほどの太陽の日差しがテント内に降り注いできた。
昨夜の降雪が嘘のようだった。
外に出てみれば、確かにテントには雪が積もっている。
あれだけ深かったトレースも、半分ほど新雪に埋もれている。
それでもこの好天(ピーカン)だ。



純白の雪面と紺碧の空。
もう何も言うことは無い。
何も望むことは無い。
そう言っても言い過ぎではないだろう。

「よっしゃ、今日はPEAKだ!」
そうと決まれば飯・飯。
朝食食べて、いざ天狗の頂だ。