通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

學則天と広島

2018年11月19日 | 広島の話題
學則天(がくそくてん)

瞑想するロボット

広島昭和産業博覧会でも展示






中國新聞発行の「ちゅーピー子ども新聞 2018年11月号」に、ロボット(当時は「人造人間」と呼ばれた)學則天が紹介されていたので、今回取り上げる。



↓ちゅーピー子ども新聞については、こちら↓

「ちゅーピー子ども新聞」中国新聞アルファ





東洋で初めてのロボットといわれる學天則は、今から90年前の1928年(昭和3年)に開かれた大礼(たいれい)記念京都博覧会に出品された。



「大礼」というのは、天皇の即位の礼のこと。

昭和天皇の即位の礼はこの年の11月に行われ、「大礼記念」ということで各地で記念行事が行われたんじゃの。

今上天皇(きんじょうてんのう。在位中の天皇のこと)が即位される時も、昭和天皇の時よりも少なかったと思われるが、各地で記念行事が行われた。

来年、2019年5月1日は、今の皇太子さまが即位される。

ということは、大礼記念の記念行事が行われるんじゃろうの。



ロボット・學天則を造ったのは、大阪毎日新聞の西村真琴(にしむら まこと。1883年~1956年)さん。

西村さんは長野県出身で、広島高等師範学校(現:広島大学)博物学科を卒業。

生物学者にして、元・北海道帝国大学(現:北海道大学)教授でもある。



「ロボット」という言葉が初めて使われたのは1920年、チェコスロバキアの小説家カレル・チャペックの戯曲『R.U.R.』において。

チェコ語で「強制労働」を意味する「robota(ロボッタ)」と、スロバキア語で「労働者」を意味する「robotnik(ロボトニーク)」から、「ロボット」という言葉が創られた。

そのため、「人に代わって労働をするために作られた存在」という意味合いが強いんじゃ。



ところが、學天則は生物学者の先生が造られたロボット。

単に「働く」ための機械ではなく、人間が「創造」する姿をあらわしたロボットなんじゃの。

具体的にいうと、學天則は右手にペン、左手にライトを持つ。

頭の上に鳥がおって、この鳥が鳴くと學天則は瞑想(めいそう。目を閉じて静かに考える)を始める。

ひらめいたところで、右手に持ったペンで、そのひらめきを文字にしたという。

わしゃ、學則天が実際に動いたところを見たことがないが、アニメの一休さんが、とんちを思いつくときの感じに似とるんかもしれん。



…なに、アニメの一休さんをご存じない?

まぁ、1975年から1982年にかけて放送されたテレビアニメじゃけぇ、今の若い方はご存じないかもしれんの。

最近、NTTドコモ(docomo)のテレビCMでやっとるじゃろ?

「♪すき すき すき すき すき~ すきっ! イッキューパッ(1980円)」ってやつ。

あれはアニメの一休さんのオープニングテーマ

「♪すき すき すき すき すき~ すきっ! 一休さん」(「とんちんかんちん一休さん」)

をもじったものがCMで使われとる。

「とんちんかんちん一休さん」は、作詞:山元護久(やまもと もりひさ)、作曲・編曲:宇野誠一郎(うの せいいちろう)という、人形劇『ひょっこりひょうたん島』のコンビが作った曲なんじゃ。



…おぉっと、こりゃ余談がすぎてしもうたわい。

話を學則天に戻して…。



學則天という名前にもひとひねりあって。

「學則天」の「學」は「学」の旧字体。

このころの人は、こんな難しい漢字を書いとったんじゃ。

「則天」は「天則(てんそく)=自然の法則」のこと。

つまり、「學則天=自然の法則に学ぶ」という意味がある。

西村さんのロボットに対する考え方が、鉄腕アトムやASIMO(アシモ)といった日本のロボットのルーツなんかもしれんの。



學天則は、造られた翌年の1929年(昭和4年)、広島市主催の昭和産業博覧会でも展示された。

当時の広島の人は、時代の最先端を行くロボットを目にすることができたんじゃの。

この博覧会は、4月25日から5月14日まで、西練兵場(にしれんぺいじょう)や比治山(ひじやま)、宇品(うじな)を会場として開かれた。

「練兵場」は「兵隊が訓練する場所」のことで、かつての広島市民球場や、今の広島県庁や市民病院があるあたりに戦前まであったんじゃの。

原爆ドーム、当時の広島県立商品陳列所では、昭和産業博覧会に協賛して昭和美術展覧会が開かれたそうじゃ。



↓昭和産業博覧会の映像は、こちら↓

「ひろしま戦前の風景」RCC

(6 昭和産業博覧会 正門、7 昭和産業博覧会 子供の国)






【参考文献】

(広島県立美術館『廣島から広島 ドームが見つめ続けた街』2010年8月)






…以下、余談。



學天則を造った西村真琴さんの息子にあたるのが、俳優の西村 晃(にしむら こう。1923年~1997年)さん。

西村さんは、テレビの2代目・水戸黄門(みとこうもん)、アニメ映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)(上映時のタイトルは『ルパン三世』)』(1978年)でマモーを演じておられます。

映画『帝都物語(ていとものがたり)』(1988年)では、父親の真琴役を演じておられました。

わしが學天則を知ったのは、この時じゃったのう。



↓『ルパン三世 ルパンVS複製人間』については、こちら↓

「『ルパン三世 ルパンvs複製人間(クローン)』MX4DR版 予告編/"LUPIN THE 3RD THE SECRET OF MAMO" MX4D Ver. Trailer」YouTube





今日は、「學則天と広島」ということで、東洋で初めて造られたロボット・學則天と、広島の昭和産業博覧会で展示されたことについて話をさせてもらいました。

ほいじゃあ、またの。
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