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「先週の土曜日は、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年公開。以下、『王立宇宙軍』と略す)というアニメ映画を観てきた」
「英語のタイトルは『ROYAL SPACE FORCE』か」
「余談じゃが、イギリス空軍は「ROYAL AIR FORCE(王立空軍)」というんじゃそうな。FORCE=軍隊とはいうても、この映画での王立宇宙軍は、「戦わない軍隊」という設定なんじゃがの」
「で、その王立宇宙軍が、何をする話なん?」
「落ちこぼれ軍隊の王立宇宙軍が、その威信と名誉挽回をかけて有人人工衛星を打ち上げる、という話なんじゃ。おぉ、説明するのを忘れとったが、この映画は、1950年代の地球に似た、とある惑星にある「オネアミス王国」が舞台なんじゃ」
「そういや、世界で初めて有人宇宙船を打ち上げたのは、ソ連(=ソビエト連邦)じゃったよね?」
「今から52年前の1961年(昭和36年)4月12日、ソ連のボストーク1号がユーリイ・ガガーリンを打ち上げたんじゃの。これを記念して、この日は「世界宇宙飛行の日」になっとるんじゃ」
「ガガーリンといえば、「地球は青かった」という言葉を残しとってじゃね」
「話を『王立宇宙軍』に戻して…。この映画は、ガイナックスによって制作されたアニメ映画なんじゃ」
「ガイナックスって、聞いたことがある名前じゃけど…?」
「『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』なんかのアニメを作った会社で、『エヴァ』の監督:庵野秀明(あんの ひであき)氏も、この映画に作画監督で参加されとってんじゃ」
「庵野さんといえば、宮崎駿(みやざき はやお)の映画『風立ちぬ』で、主人公:堀越二郎(ほりこし じろう)の声を担当しとってじゃね」
ガイナックスの初作品『王立宇宙軍 オネアミスの翼』には「スペシャルエフェクトアーティスト」という肩書きで参加。
クライマックスシーンでは、戦闘・ロケット発射シーンは絵コンテから作画まで殆どを一人でこなした。
セルを一コマに9枚重ね、3秒間でセル枚数が250枚にも上るカットもあるという。
当時、戦車やミサイルなどに極限のリアリティを追求しており、手当たり次第に軍事関係の資料に目を通し、自衛隊にも体験入隊している。
(「庵野秀明」ウィキペディア)
「いや~、このシーンは久々に見たが、今のCG(コンピュータ・グラフィックス)に負けんくらいの緻密さがあったのう」
「庵野さんの「スペシャルエフェクト」って肩書は?」
「「エフェクト」は、「効果」という意味じゃの」
「そうか。効果音のことを、SE(=サウンド・エフェクト)っていうもんね」
「ディズニーでは、ミッキーマウスなどのキャラクターを作画する人と、火や水などの自然現象を作画する人(=エフェクト)で分かれとったそうじゃ」
「火や水?」
「たとえば、メラメラと燃える炎や、ハラハラと木から落ちる葉っぱ。あとは、物が水面に落ちたときにできる水滴と、それにともなってできる波紋なんかがそうじゃの」
「水滴が落ちると、王冠のような形ができるよね」
「『王立宇宙軍』は、その後の世界を描く『蒼きウル』(以下、『ウル』と略す)という続編が制作されることになっとるんじゃ」
「新世紀エヴァンゲリオン」などで知られるアニメ制作会社「ガイナックス」が、93年に凍結したアニメ「蒼きウル」の製作が再開されることが21日、分かった。
劇場版アニメとして世界同時公開を予定しており、公開時期などの詳細は今後、発表される。
「蒼きウル」は、「新世紀エヴァンゲリオン」の制作を開始する以前の90年代前半に企画が立ち上がったが、93年に凍結。
同社の劇場版アニメ「王立宇宙軍~オネアミスの翼」の後の世界が描かれるという。
山賀博之さんが監督、脚本を担当し、「新世紀エヴァンゲリオン」などの貞本義行さんがキャラクターデザインを手がける。
同日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中のアニメ関連企業の共同イベント「東京国際アニメフェア2013」(同実行委主催)では同作のイメージポスターが公開された。
(毎日新聞デジタル)
(「蒼きウル :ガイナックスの凍結アニメが20年ぶりに再始動」MANTANWEB(まんたんウェブ))
「「1993年に凍結」ということは、制作が中断したということ?」
「これには、ちょっと説明が必要じゃの…。ガイナックスという会社は、映画『王立宇宙軍』制作のために、ゼネラルプロダクツとDAICON FILM(ダイコンフィルム)のメンバーによって作られたんじゃの。この映画は、バンダイの映像事業へ進出するための作品であり、音楽には坂本龍一を起用。そして、制作費は、なんと8億!」
「8億円!」
「しかも、監督の山賀博之(やまが ひろゆき)をはじめ、キャラクタデザインの貞本義行(さだもと よしゆき)、作画監督の庵野秀明(あんの ひであき)と、メインスタッフのほとんどが20代じゃった」
「すごい!」
「で、映画を上映したあとは、めでたしめでたしで解散するはずじゃった」
「はずじゃった…?」
「この映画、客の入りが悪うて、赤字になってしもうたんじゃ」
「それで?」
「ほかの作品を作って、その儲けで赤字を埋めようとしたんじゃの。『王立宇宙軍』が公開された翌年の1988年(昭和63年)に、オリジナルビデオ『トップをねらえ!』を、1990年(平成2年)にはテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』を制作したんじゃが…」
『ふしぎの海のナディア』でガイナックスは一般的に認知されたものの、同作の劇場版が不振に終わったため、資金回収のために次の作品を作らなければならなかった。
その中で山賀博之が「まず王立にケリをつける必要がある」というテーマの下、原作・脚本:山賀博之、監督:庵野秀明として生まれたのがこの企画である。
『王立宇宙軍』の続編としたのは、スポンサーを集めるためでもあり、続編とは言っても50年後という設定ということで、ストーリー上の繋がりもなければ、共通するキャラクターも登場しなかった。
(「蒼きウル」ウィキペディア)
「『ウル』の制作には10億円以上の金が必要じゃったんじゃが、スポンサーが手を引き、ガイナックスに資金もなく、監督をする予定じゃった庵野氏は、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年~)の企画が固まった段階で降りる。で、『ウル』は「凍結」されることになったそうじゃ」
「ふーん」
「で、この企画がふたたび動いたのが1998年(平成10年)ころ。庵野氏に代わって山賀氏が監督をするということで話が進んだんじゃが、『蒼きウル 凍結資料集』が発売されただけで、中断。で、今にいたるわけじゃ」
「ということは、今回は3度目の正直というやつじゃね」
「今度こそ、映画の完成・上映までもっていってもらいたいよのう」
「最後になったが、この映画はシネツイン新天地で、8月24日から30日まで、1週間の上映なんじゃ」
「その、たった1週間の上映のために、チラシを作っとってん?」
「前売り券もじゃ。むかしの映画を再上映するのに、ここまでされるとは、おそれいりました! というしかないよのう」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/37/b4ebcd77364bc8f5a5b972378872dc2d.jpg)
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「今日は、シネツイン新天地で上映中の映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』と、その続編『蒼きウル』について話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」