通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

宮島言葉のいろいろ その10 「ほぼろをうる」

2012年04月05日 | 広島弁
「宮島の町屋通りに飾ってある「宮島言葉のいろいろ」を紹介するこのシリーズの、今日は第10回目です」

「第10回目の今日は「ほぼろをうる」じゃ」




ほぼろをうる…あそびにいく・実家に帰る
(撮影日:2012年1月4日)




「「ほぼろをうる」とは、「あそびにいく・実家に帰る」という意味じゃね。とかいいながら、初めて聞く言葉なんじゃけど」

「わしも、2年くらい前に広島のローカル番組でこの言葉を取りあげとって、その時初めて知った言葉なんじゃ」

「使わんし、聞くことが少ない言葉じゃね」

「「あそびにいく」と「実家に帰る」とじゃ意味が大きく違うてくるんじゃが、「実家に帰る」という意味で解説してある本がほとんどじゃの」

「うちも、何度「ほぼろを売ろう」と思うたことか…」

「ほいなら売ってこいや。今どき、そがぁなものを買う人なんかおりゃあすまぁで(=それなら売ってきなさい。今どき、そんなものを買う人なんかいないよ)」

「ところで「ほぼろ」って何じゃろか?」

「竹で編んだかご(篭)のことじゃの。女性が摘んだ草花や野菜などを入れるのに、腰から下げて使うとったそうじゃ」

「ほぼろって、女性というか、主婦として必要なものじゃったんじゃね」

「それを「売る」ということは、主婦業を放棄するということになるんよの」

「ほいじゃけぇ、「実家に帰る」ことを「ほぼろをうる」と言うんじゃね」





昔のほぼろ売りは前後に高くほぼろを担いだので、あと先見ずに走る意だとか、嫁がよもぎ摘みをするかのようにほぼろを振りながら家を出て姿をくらましたからだとか、あるいは嫁が川に洗濯に行くかに見せかけてほぼろとともに見えなくなったからだとか諸説あるが、ほぼろのふちをかがるには4目(よめ)いっては竹しべを返し返しするので、「ヨメいってかえる」のしゃれから出た言いぐさだったというのが当たっているようである。

(略)

大家族制時代は、嫁しゅうとめの仲が円満を欠きがちだったところから、嫁が「ほぼろを売る」例は珍しくなかったので、どこでもよくこの言いぐさは聞かれたが、核家族化が進行しだしてからは次第にこの言いぐさは実際感の乏しい耳遠いことばとなりつつある。

(「ほぼろをうる」『広島県大百科事典』中国新聞社 1982年)






「ほぼろを振りながら実家に帰ったところから、「ほぼろをふる」という言い方もあるそうじゃ」

「腰から下げとるけぇ、ほぼろを振り振り帰ることになるよね」

「そのほかにも、「ほぼろをこかす」や「ほぼろをころがす」、単に「ほぼろをした」という言い方もあるんじゃと」





【今日の宮島言葉】

ほぼろをうる

意味/あそびにいく・実家に帰る

例文/「ホボローウッタラ コワンニャー ナルマー ガ。(=ほぼろを売ったら、必ず買いもどさなければいけないだろう。)」



参考文献:
町博光『ひろしまべん100話』渓水社 1999年






↓宮島言葉のいろいろについての関連記事は、こちら↓

宮島言葉のいろいろ その9 「みてみいや」

宮島言葉のいろいろ その8 「みてる」

宮島言葉のいろいろ その7 「もちったあー」






「今日は、「宮島言葉のいろいろ」で「ほぼろをうる(あそびにいく・実家に帰る)」について話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」
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