是に知る、貴は驕と期せずして、驕自ら至り、富は奢と期せずして、奢自ら至るとは、徒語に非ざることを。頁653
(訳)そこで、貴は驕と期せずとも、驕は自然に至り、富は奢と期せずとも、奢は自然に至る、という語が、でたらめではないことがよくわかります。頁654
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書籍の紹介
『「陰しつ録」を読む』
心学とは人間の根本を培養すること
こういう風に世界を通じて、昨年あたりから人心の動向が変ってきておる。ところが今の日本はどうか。イデオロギ-万能というか、流行ですね。浅薄な進歩的文化人とか、暴力学生の振り廻すイデオロギーの何たるかを問わず、ああいうもので人間のことが解決されるなどと考えるものがあったら、これぐらい浅薄で愚劣なものはない。少し常識のある人ならわかる筈であります。やはり人間に大事なことは、真人間になるということです。真人間になるためには学ばなければいけない。人間の人間たる値打ちは、古今の歴史を通じて、幾多の聖賢が伝えてくれておる道を学ぶところにある、教えを聞くところにある。これを措いて頼り得るものはない。イデオロギーも法律も、科学も技術も、長い目で見ると、何が何だかわかるものではない。これが今日、世界の識者の結論であります。それがわからぬ人間ほど騒ぎ廻っておるわけです。
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今回、この書をご紹介しようと思い読んで見たところ、30年前に目を引きつらして読んだ日々が思い出されます。
何がいいと言って学問ほどよいものはないと存じます。先ずは自分の人間を磨き育てることが大事だと思います。