故に君、一徳有り、臣、二心無く、上、忠厚の誠をしき、下、股肱の力をつくす。頁649
(訳)それゆえ、君に至誠の徳があり、臣に二心がなく、上は臣下に忠厚の誠意を示し、下は君主に忠誠の職分を尽くし、その結果、太平の基礎は固まり、平和の御世が謳歌されます。頁649
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書籍の紹介
『易と人生哲学』安岡正篤著
千古不変の思想学問
昨今は非常に変化の激しい時局で、これはひとり日本ばかりでなく世界的にも大きな変化の時代、あるいは転換の時代というような言葉がしきりに会話に、文章に用いられておるようであります。
東洋では古来「易」という学問がありまして、これが至れりつくせりにこの偉大なる変化の理法というものを説いております。それが一般的なスタティックな学問でなく、ダイナミックな学問であるというので、新たにまた識者の注目をひいております。その大きな一例を挙げますと、日本でも有名になりましたトインビーの『歴史の研究』という書物、第二次世界大戦の後にたいへん有名になり世界的になったのですが、第一次世界大戦の直前にドイツにシュペングラーという哲学者・歴史家がおりまして、これが『沈みいくたそがれの国』あるいは『西洋の没落』とも申しております書を著しまして、この本は一世を風靡したと申してよろしい。