タイトル----礼節いろは言葉 「う」。第619号 22.10.13(水)
「う」 琢つごとく 磨くがごとくに 身を脩す---切るが如く磋くが如く琢つがごとく『詩経』
『小学』は、〈上に在りて驕(おご)らざれば、高くして危うからず〉と訓えています。「人の上に立つ高い地位にあっても驕ることなく、慎みを忘れなければ、身が危うくなることはない」と云うのです。そのためには切磋琢磨することが涵養でしょう。
『詩経』は、〈切るが如く磋(みが)くが如く琢(う)つが如く磨くがごとし〉と訓えています。「骨や角をはじめに切り、形をさらに整え、石を打って形をつくり、それをさらに磨きあげること。転じて、学問・道徳に励み修養を積み重ね、人格向上に資するようにしたい」と訓えています。
そのためには人が生きる上で肝要な「誠」を精神の骨格に構築することが大切だと思います。『中庸』は、〈動かずして敬せられ、言わずして信ぜらる〉と云っています。「立派な人物は、言わず動かずして、自然に人から敬せられ信じられる。それは内に誠を持っているからである」と云うのです。
それは『論語』に云う〈得ることを見ては義を思う〉、「事を為すときは、その事が道理にかなっているかどうかを、先ず考える」からであり、人間(じんかん)に生きる要諦であるからだと思います。切磋琢磨して身を脩したいものです。