自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

蛹の正体は

2014-03-15 | 昆虫

おかしな話があるものです。

アゲハの蛹がある飼育箱を見ると,底に,見かけぬ蛹が2個体も横たわっているのです。形状は,すっぽりと節で包まれ,環がつながったようになっています。「親のない子はいない」わけですから,成虫が産み付けた卵から幼虫が孵り,このように成長してきているはずです。ということは,栄養を吸収しながらここまで育ってきたことになります。


では,どこで,どう育ったのか,という点が気になります。わたしの予想は,アゲハの体内に産み付けられて育った個体が,外に出てきて蛹になったのではないかというものです。

穴の開いたアゲハの蛹は見当りませんが,幼虫のまま死に絶えてしまった個体が一つ,死んで黒変した蛹が一つあります。前者は体液がなくなって,からだがペシャンコになっています。そうしたものが,じつは,この謎の蛹と関係があるにちがいありません。


そうなら,たぶんこれは寄生バチの蛹でしょう。

謎を解くには,このまま置いておいて,羽化するのを見届けるほかありません。では,なんというハチなのか。放置しておくだけですから,それを知るのは簡単です。今は,「ようし,正体を突き止めてやるぞ!」という気持ちです。近いうちに,答えがわかるでしょう。

と,ここまで書いてきて,手掛かりだけは今のうちに得ておこうと思い,調べました。結果,貴重な情報に辿り着きました。画像も役立つものに出会いましたが,解説文は『ウィキペディアフリー百科事典』の『ハエ』がすぐれています。

それによれば,寄生バチの蛹の可能性がある,からだが環状になっている,終齢幼虫はからだが収縮して米状になりそのまま外皮が硬化する,真の蛹がその内側で形成される,この二重構造を“囲蛹”と呼ぶ,羽化の際は先の蓋が開いて成虫が出てくる,という話です。これはハエ一般の生態なのだとか。

推測すれば,蛹から幼虫がノソノソと出てきて飼育箱の底を這っていたときがあったはず。しかし,わたしはそれを見逃していました。ただ,どうも糞ではないかと思われる小さな粒が無数に散らばっています。落とし主は,これらの個体だったのでしょうか。