常念が見える部屋から

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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

記憶の蔵

2012年02月21日 | 常念100景

一つの事がきっかけとなって、過ぎた日の事が止めどなく蘇る事がある。

半世紀も以前、勤め先の機構が代わって、医療用放射線機器の取扱いが始まり、部署の最高責任者として臨床放射線技師のM氏が入社した。

M氏は高校の先輩ということもあり、懇切なご指導をいただく事ができ、私の医療機器の基礎はこの時に培われたといっても過言ではない。

機器の据付け完成祝い、大型商談成立祝いなどといっていつも居酒屋で焼き鳥をごちそうになったものだ。

社内の才媛を娶り、数年して行政職に身を転じ、私達は疎遠になっていった。

行政では「県民の衛生保健]に尽力されたが、不幸にして病魔に侵され、若くして世を去った。

告別式の日最前列の遺族席に座る息子さんがいた。

後日 遺児育英の募金文書が届きい、くばくかの金額を記した。

そこで私の記憶は終わる。

何十年か後、M氏のご子息が有能な放射線医師として活躍している話は聞いた。

そのM医師が、取引先であるT病院に赴任され、訪問した当社の担当者に「私の父は数十年昔、貴方の会社に勤めていたことがあります、そこで母と知り合い結婚したのです。もう私の両親を知っている人は会社にいないでしょうが・・」と話しかけた。

担当者はその話を私につないだ。

日常とみに忘れることが多くなったと実感してたのに、この一言で私の記憶の蔵が開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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