師走を彩るヒヨドリジョウゴ
通勤途中のラジオから「おこひる」という懐かしい言葉が流れた。
久しく聞くことがなかった響きである。
子供のころ農作業を手伝わされている日の長さは特別である、太陽が一点に固定されて時の経つのが腹立たしいほど遅い。
そんな時親父の「おこひるだ」という一声で不機嫌がふっ飛んだ。
「おこひる」は昼飯にはまだ間がある時間帯の休憩をいう。
前夜 母が用意した、お茶や菓子、果物、煮物や、おにぎりまでが莚の上に並んでいた。
嬉しい事に「おこひる」は午前と午後の2回用意されていた。
あの頃は1日5回も食事したことになる、だから今の元気があるのかもしれない。
家族が揃う野外の食卓は、手伝いの苦しさを越えてはるかに楽しく、残された作業時間を頑張ることができた。
猫の手も借りたい農繁期、「おこひる」は親の労働者懐柔作戦だったのだろう。