最近の墓所は明るい、遅い彼岸花が咲いて、さらに明るくなった。
また昔の話で恐縮だが、子供のころ墓場には魑魅魍魎が棲んでいた。
肝試しの定番は、深夜の墓場に行って証拠物件を持ち帰る「墓参り」である。
出発前に年長組が灯りを消して、墓場にまつわる怪談を真に迫った声色で一席、それだけで年少組は身が縮む。
最初の子羊が送り出される。
外は今では想像もできない真っ暗闇である、手を伸ばせばぬるりとした化物に触れるかもしれない、往くべき墓場は集落を外れた竹やぶの中にある。
自分の足音が恐怖を助長するから忍ばせて歩く、静寂の中に様々な音がうごめいて、首が締め付けられるようだ、いつでも逃げ出せる態勢で進む。
あの恐怖から生還したときの安堵感は今でも忘れられない。