或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

続・死神の精度

2008-09-17 06:25:22 | 350 映画
この間TSUTAYAに行った時、借りるのをすっかり忘れていたのが金城武主演の映画「死神の精度」(2008年)。いつもはたいがい旧作コーナーしかうろつかないので、新作コーナーのど真ん中に置いてあったこの作品に気づかなかった。最近じゃ一番待ち遠しかった作品。勿論その訳は、伊坂幸太郎の作品の中でも好きな最上位の部類に入る同名小説が原作だから。

とは言いつつ読んだのがだいぶ前だから、ストーリーを細かく憶えている訳でもなく、観ながら思い出したというのが正しい。少し前に同じパターンで「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007年)があって、原作との違いがありながらも映画として楽しめたので、今度はどんな感じに仕上がったのだろうと興味津々だったのは確か。それにしてもこのところ伊坂作品の映画化が多い。

それで見終わった感想だけど、「うーん、こうなっちゃったか。」というクールな落胆ってところ。でも憤りとか、そんなんじゃなくて意外にサバサバしていている。原作はアバウトだったし読み手のイマジネーションに頼るところが多くて、逆にそれが魅力だったのだけど、まあこんな解釈もあるのだろうなと。シャレと小ネタを切り捨てて、ひたすらヒット狙いで仕立てたって感じ。

まあ自分と監督や脚本家の感性の違いなんだから仕方がない。人それぞれだから。自分的にはもっと遊びが欲しかった。金城武のように直球のイメージじゃなくて、斜に構えたオダギリジョーの変化球で。しかもスライダーとかシュートじゃなくてナックルとかチェンジアップとか、そういうイカサマ系の球で。要は原作にそこはかとなく漂うけだるさとゆるさが足らないということ。

唯一イメージに合致したのが、富司純子演じる老婆が住んでいる海辺の床屋。木造でアーリーアメリカン調のこじんまりした古びた家屋。壁や柵の白い塗料が剥げて木の肌がところどころ露出している。まあひとつぐらいはいいところがないとね。

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