
(承前)
ギャラリー大通美術館で開催中の、北海道陶芸会展の続き。
冒頭画像のぐいのみで、11日に日本酒の試飲ができるんでしょうか。
現在、北海道陶芸会の会長を務める中村裕さん(札幌、草の窯)。
北国の風土を、白を基調としたデザインに表現した「月下雪原皿」「雪渓文壺」「白月文香合」など。
静かな月夜の雪野原やシラカバの木立などが簡素な意匠と落ち着きある表面にあらわされ、まさに北の叙情を感じさせます。
手前は錦織宏さん(札幌)の「水指龍子」3点。
筆者は、錦織さんの作品はさらっとしたイメージがあったのですが、これは焼き締めのワイルドな表情をしています。
奥は小山七郎さん(同)。
先日、喫茶いまぁじゆで個展を開いたばかりの小山さんの作品は、作品の一部にわざと編み模様を入れて向こう側がすけて見える「透かし」が特徴。透かし鉢など、あざやかです。

たて写真の手前は岡田浩明さん(旭川、創生窯)。
コーヒーカップなど、深く澄んだ藍色が美しく映えます。
「流雪紋壺」などは釉薬の流し掛けでしょうか。
その向こう側は田嶋裕子さん(札幌、スタジオ土夢幻)。
田嶋さんはオブジェや花器の創作が中心です。
「風の音」「風のテラス」といった作品名からもわかるように、風をイメージした大胆な造形で目を引きます。
ごつごつした作品の内部をのぞき込んで、見ると、底部の釉薬だまりがエメラルドグリーンに輝き、森の奥にある湖を思わせる美しさ。ワイルドな外観との対比もおもしろいです。
その右隣は塩入稔さん(オホーツク管内美幌町)。
オホーツク地方の澄んだ空を思わせる青と、流氷の白との諧調が特徴のピッチャー、角皿などが並んでいます。

白戸孝行さん(赤平)は、道内でとれる炻器粘土を原料に制作に取り組んでおり、鈍い光沢が特徴です。
作品は「鬼板釉壺」「鬼板釉板皿」などと名づけられています。
その右隣は西村文子さん。江別の方だったと思います。
粉引の壺やぐいのみなどです。
画像の色合いが悪くて申し訳ありません。

尾形修一さん(札幌、水明窯)。
灰がかぶった自然釉の板皿や壺などです。
右側は原田昭さん。
「種子拡散花器」の力強い造形が目を引きます。ほかに方口など。
色合いも黒、灰、茶などさまざまです。
海藤慎治さん(札幌、海月窯)は「白乱線正角花入」をクローズアップしてみました。
表面の縞模様と白い色が都会的でシャープな感覚を漂わせています。
海藤さんはこのほか、本革とコラボーレションしたフリーカップも発表。外側の革との組み合わせで、幾通りも楽しめるという作品のようです。
左は新入会員の張浦華さん。
「蛍群舞」と題した皿は、まさに深い藍色の中を白の飛沫が散って、夜にホタルが舞うイメージです。
右は前野右子さん(石狩、北泉窯)。
先がとんがったフォルムが印象的な「WAVE」。
丸皿には簡素な文様があり、前野さんらしさを感じます。
左のテーブルは福盛田眞智子さん(江別、千古窯)。
右側の「青灰釉線紋扁壺」は、ドレープを思わせる曲線処理が美しい。
おおらかな自然を感じさせる青灰釉は、壁掛け型の花入れなどにも用いられています。
中央は石川雅昭さん。
焼き締めの水指や急須など。どっしりとしたフォルムは安定感があります。
その奥は、小泉満恵さん(札幌)。
筆者の写真の撮り方がまずくて、小さくなってしまい申し訳ありません。
白磁の一輪挿しなどですが、紙をまるめたみたいなフォルムの小品が目を引きました。
こちらの写真の左側にうつっているのが小泉さんの作品です。
となりは三上一正さん(十勝管内鹿追町)。
三上さんは地元・十勝でとれる土を使っているそうで、落ち着いた青い色合いと、まばらに入った貫入が特徴です。

手前は多田昌代さん(札幌)。
流れるようなフォルムのオブジェや白い器などの印象がある多田さんですが、今回は茶色っぽく土味をいかしたフレームが目を引きます。中に入れる写真などを引き立ててくれそうです。
そのとなりは、阿妻一直さん(札幌焼盤渓窯)。
穴窯で焼いた壺や皿などで、自然釉が表面を流れてつくる模様は、土の芸術らしさを感じさせます。
段違いになっているテーブルは、上田隆之さん(小樽)と種谷賢さん(札幌、atelier Kiitos)。
右は上田さんで、黄瀬戸をおもわせるような温かみのある色と表面が特徴。
皿や鉢などです。
左は種谷さんの花入れや小鉢など。
灰釉が落ち着いた感じをかもし出しています。
最後は相談役の小山耕一さんの大きな作品「彩色正燕子幾何文皿」。
燕子は「えんじ」と読みますが、一般的に想像されるえんじ色よりも明るくて、桜の季節を感じさせます。
以上で全員を駆け足で紹介しました(万一、漏れなどがございましたら、一報ください)。
小品コーナーなどもありますので、陶芸好きはぜひ足を運んでほしいと思います。
2017年11月7日(火)~12日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)
ギャラリー大通美術館(札幌市中央区大通西5 大五ビル)
□北海道陶芸会 https://hokkaido-pottery-society.jimdo.com/
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■2006年の展覧会「環」 (画像なし)
■35周年展(03年)
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冒頭画像のぐいのみで、11日に日本酒の試飲ができるんでしょうか。

北国の風土を、白を基調としたデザインに表現した「月下雪原皿」「雪渓文壺」「白月文香合」など。
静かな月夜の雪野原やシラカバの木立などが簡素な意匠と落ち着きある表面にあらわされ、まさに北の叙情を感じさせます。

筆者は、錦織さんの作品はさらっとしたイメージがあったのですが、これは焼き締めのワイルドな表情をしています。
奥は小山七郎さん(同)。
先日、喫茶いまぁじゆで個展を開いたばかりの小山さんの作品は、作品の一部にわざと編み模様を入れて向こう側がすけて見える「透かし」が特徴。透かし鉢など、あざやかです。

たて写真の手前は岡田浩明さん(旭川、創生窯)。
コーヒーカップなど、深く澄んだ藍色が美しく映えます。
「流雪紋壺」などは釉薬の流し掛けでしょうか。
その向こう側は田嶋裕子さん(札幌、スタジオ土夢幻)。

「風の音」「風のテラス」といった作品名からもわかるように、風をイメージした大胆な造形で目を引きます。
ごつごつした作品の内部をのぞき込んで、見ると、底部の釉薬だまりがエメラルドグリーンに輝き、森の奥にある湖を思わせる美しさ。ワイルドな外観との対比もおもしろいです。
その右隣は塩入稔さん(オホーツク管内美幌町)。
オホーツク地方の澄んだ空を思わせる青と、流氷の白との諧調が特徴のピッチャー、角皿などが並んでいます。

白戸孝行さん(赤平)は、道内でとれる炻器粘土を原料に制作に取り組んでおり、鈍い光沢が特徴です。
作品は「鬼板釉壺」「鬼板釉板皿」などと名づけられています。
その右隣は西村文子さん。江別の方だったと思います。
粉引の壺やぐいのみなどです。
画像の色合いが悪くて申し訳ありません。

尾形修一さん(札幌、水明窯)。
灰がかぶった自然釉の板皿や壺などです。
右側は原田昭さん。
「種子拡散花器」の力強い造形が目を引きます。ほかに方口など。
色合いも黒、灰、茶などさまざまです。

表面の縞模様と白い色が都会的でシャープな感覚を漂わせています。
海藤さんはこのほか、本革とコラボーレションしたフリーカップも発表。外側の革との組み合わせで、幾通りも楽しめるという作品のようです。

「蛍群舞」と題した皿は、まさに深い藍色の中を白の飛沫が散って、夜にホタルが舞うイメージです。
右は前野右子さん(石狩、北泉窯)。
先がとんがったフォルムが印象的な「WAVE」。
丸皿には簡素な文様があり、前野さんらしさを感じます。

右側の「青灰釉線紋扁壺」は、ドレープを思わせる曲線処理が美しい。
おおらかな自然を感じさせる青灰釉は、壁掛け型の花入れなどにも用いられています。
中央は石川雅昭さん。
焼き締めの水指や急須など。どっしりとしたフォルムは安定感があります。
その奥は、小泉満恵さん(札幌)。
筆者の写真の撮り方がまずくて、小さくなってしまい申し訳ありません。
白磁の一輪挿しなどですが、紙をまるめたみたいなフォルムの小品が目を引きました。

となりは三上一正さん(十勝管内鹿追町)。
三上さんは地元・十勝でとれる土を使っているそうで、落ち着いた青い色合いと、まばらに入った貫入が特徴です。

手前は多田昌代さん(札幌)。
流れるようなフォルムのオブジェや白い器などの印象がある多田さんですが、今回は茶色っぽく土味をいかしたフレームが目を引きます。中に入れる写真などを引き立ててくれそうです。
そのとなりは、阿妻一直さん(札幌焼盤渓窯)。
穴窯で焼いた壺や皿などで、自然釉が表面を流れてつくる模様は、土の芸術らしさを感じさせます。

右は上田さんで、黄瀬戸をおもわせるような温かみのある色と表面が特徴。
皿や鉢などです。
左は種谷さんの花入れや小鉢など。
灰釉が落ち着いた感じをかもし出しています。

燕子は「えんじ」と読みますが、一般的に想像されるえんじ色よりも明るくて、桜の季節を感じさせます。
以上で全員を駆け足で紹介しました(万一、漏れなどがございましたら、一報ください)。
小品コーナーなどもありますので、陶芸好きはぜひ足を運んでほしいと思います。
2017年11月7日(火)~12日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)
ギャラリー大通美術館(札幌市中央区大通西5 大五ビル)
□北海道陶芸会 https://hokkaido-pottery-society.jimdo.com/
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