「労文協」という団体があります。
もとは、日本最大の労働組合の集合体だった「総評(日本労働組合総評議会)」の肝いりで1955年、進歩派文化人や働く人々が「国民文化会議」を旗揚げし(代表は日高六郎)、その道内版として72年に「北海道労働文化協会」、略して労文協が発足しました。
その後、労働運動の退潮に伴い、国民文化会議や各都府県にあった同様の団体は解散しましたが、道内の労文協は、毎年のリレー講座などを続けて現在も存続しています。
その労文協が先ごろ「五十年史」を発刊しました。
A4判で312ページある、立派な冊子です。
関係者に配り、一般には、CD-ROM版を千円で頒布するとの記事が北海道新聞に出ていました。
五十年史には、半世紀のあいだに取り組んできたさまざまな事業について掲載されています。
「全道勤労者文化祭」は1975年に第1回を開き、88年から「豊かなくらしを創る作品展」に改称、2011年の第35回で終了しています。
絵画や書、写真、陶芸などさまざまなジャンルでおもに労働組合員から作品が寄せられました。歴代の受賞者を見ていると、聞いたことのある名前がずいぶんあり、動労釧路、国労札幌、全電通(現在のNTT労組)などと所属が附されている人も多いです。
審査員がなかなか豪華で、美術関係をみると
本田明二(彫刻家)第1回(1977)~12回(1988)
栗谷川健一(デザイナー)第1回~23回(1999)
原 義行(画家)第1回~26回(2002)
中野北溟(書家)第1回~35回
剣持小枝(人形作家)同
石坂勝美(陶芸家)第1回~25回
米坂ヒデノリ(彫刻家)第13回~35回
広木忠雄(写真家)第16回~22回(1998)
武藤省吾(写真家)第23回~35回
山下脩馬(画家)第24回~35回
中村 裕(陶芸家)第26回~35回
の名が見えます。丸山義正(写真家)、谷内京子(彫金家)のお二人は筆者は存じ上げませんでした。
また、息の長い活動として「労働文化」(正しくは「働」の字はにんべんに「力」)という機関誌を隔月刊(実質年5回)発刊しています。
目を引くのは、画家の藤野千鶴子さん(故人、札幌在住)が、1985年1月号から2016年6月号までの長きにわたり表紙を描き続けていたことです。
新道展の会場で見るような抽象画ではなく、具象のイラストでした。
筆者は知りませんでした。ほんとうに活動の幅の広かった人だと思います。
関連団体として、社団法人北海道美術文化振興協会というのがあったことも初めて知りました。
「道内の公募展に出品を続ける若手画家たちの活躍を支えることが目的」で、道庁地階の食堂などを活用して若手の活動を支えたとのこと。1979年に、山内栄治理事長(労文協のトップを長く務めた)、森尾〓専務理事(〓は「瞬」のつくり。全道労協の元議長)で発足し、2005年までは続いていたとのことです。
美術の歴史を振り返るとき、どうしても公立美術館とか団体公募展といったおおどころの活動が中心になってしまいがちですが、ほかにもいろんな団体や人々が参画し、活動を積み上げてきたのだなあということを、ページを繰りながらあらためて感じるのでした。
□ https://roubunkyou.jp/
もとは、日本最大の労働組合の集合体だった「総評(日本労働組合総評議会)」の肝いりで1955年、進歩派文化人や働く人々が「国民文化会議」を旗揚げし(代表は日高六郎)、その道内版として72年に「北海道労働文化協会」、略して労文協が発足しました。
その後、労働運動の退潮に伴い、国民文化会議や各都府県にあった同様の団体は解散しましたが、道内の労文協は、毎年のリレー講座などを続けて現在も存続しています。
その労文協が先ごろ「五十年史」を発刊しました。
A4判で312ページある、立派な冊子です。
関係者に配り、一般には、CD-ROM版を千円で頒布するとの記事が北海道新聞に出ていました。
五十年史には、半世紀のあいだに取り組んできたさまざまな事業について掲載されています。
「全道勤労者文化祭」は1975年に第1回を開き、88年から「豊かなくらしを創る作品展」に改称、2011年の第35回で終了しています。
絵画や書、写真、陶芸などさまざまなジャンルでおもに労働組合員から作品が寄せられました。歴代の受賞者を見ていると、聞いたことのある名前がずいぶんあり、動労釧路、国労札幌、全電通(現在のNTT労組)などと所属が附されている人も多いです。
審査員がなかなか豪華で、美術関係をみると
本田明二(彫刻家)第1回(1977)~12回(1988)
栗谷川健一(デザイナー)第1回~23回(1999)
原 義行(画家)第1回~26回(2002)
中野北溟(書家)第1回~35回
剣持小枝(人形作家)同
石坂勝美(陶芸家)第1回~25回
米坂ヒデノリ(彫刻家)第13回~35回
広木忠雄(写真家)第16回~22回(1998)
武藤省吾(写真家)第23回~35回
山下脩馬(画家)第24回~35回
中村 裕(陶芸家)第26回~35回
の名が見えます。丸山義正(写真家)、谷内京子(彫金家)のお二人は筆者は存じ上げませんでした。
また、息の長い活動として「労働文化」(正しくは「働」の字はにんべんに「力」)という機関誌を隔月刊(実質年5回)発刊しています。
目を引くのは、画家の藤野千鶴子さん(故人、札幌在住)が、1985年1月号から2016年6月号までの長きにわたり表紙を描き続けていたことです。
新道展の会場で見るような抽象画ではなく、具象のイラストでした。
筆者は知りませんでした。ほんとうに活動の幅の広かった人だと思います。
関連団体として、社団法人北海道美術文化振興協会というのがあったことも初めて知りました。
「道内の公募展に出品を続ける若手画家たちの活躍を支えることが目的」で、道庁地階の食堂などを活用して若手の活動を支えたとのこと。1979年に、山内栄治理事長(労文協のトップを長く務めた)、森尾〓専務理事(〓は「瞬」のつくり。全道労協の元議長)で発足し、2005年までは続いていたとのことです。
美術の歴史を振り返るとき、どうしても公立美術館とか団体公募展といったおおどころの活動が中心になってしまいがちですが、ほかにもいろんな団体や人々が参画し、活動を積み上げてきたのだなあということを、ページを繰りながらあらためて感じるのでした。
□ https://roubunkyou.jp/