卒展シリーズの6本目の記事です。
今年は映像研究室とアニメーション研究室が群を抜いていたと感じました。
会田咲乃監督『倦んで、弛む』。
やくざが絡んだ犯罪サスペンス映画で、よくこんな複雑な脚本と多数の登場人物が出てくる劇映画を破綻なくまとめられるものだと驚嘆しました。時間は1時間ぐらいでしょうか。完璧なロケハンと、テンポの良い編集は、学生離れしているとしか言いようがありません。
この映画もすごいのですが、研究室の他のメンバー3人との相互協力を惜しまなかったことが、端々から伝わってきて、胸が熱くなりました。
「あ、この刑事さん、さっき別の映画で、半ズボン着て雪の公園で遊んでたじゃん」
とか(笑)思いながら見てました。みなさん、自分の卒業制作で忙しいはずなのに、偉いなあ。
ぜんぜん作風は別ですが、山本莉緒監督『たすかれ! ハト山さん』は、ありそうで見かけなかったエッセー風アニメーション。
内向型である主人公(鳩の被り物をかぶっていて表情はわからない)の内面を、3部構成で、自虐的かつテンポよく、脱力感もまじえてつづっていて、
「そう、それ!」
「あるある!」
と心の中でボタン連打しまくりでした。
ハト山さんが着ているシャツが「ハートランドビール」のパロディで「BIRD LAND BEER」になっているとか、お祭りに「根性焼き」の屋台が出ているとか、さりげなくおもしろいところもあります。
アニメーション研究室では、西澤萌「BlueBlur」。
架空の動物と庭園を描いた幻想的な世界。なにより音楽にうっとり(Aphex Twin っぽいです)。
唐川美桜「ヨシヨシとイーコの UMA 発見記」。
せりふなしでも伝わる分かりやすい冒険譚。ポップでカラフルで個性的な絵柄。

油彩研究室。
太子和奏「踏み慣れたステップで」
1303×3240ミリの大作。分解写真のようでありつつ、絵画のもつ余韻を漂わせています。

佐々木はるみ「目覚めは遥か先」
こちらも、ほぼ同じ大きさの1305×3245ミリ。
どこかデルヴォーを思わせるシュルレアリスムに振り切っていますが、羊などモティーフのあしらい方に個性が感じられます。

伊藤紗弥「街明かり」。
あいまいさの持つ魅力。やわらかく明滅する光。

江ノ上万智「おうちのりびんぐ」。
今年も油彩研究室は個性的な作品が多かったです。

日本画研究室。
佐竹美咲「紫幻玉華」。

書研究室。
手前は橋本歩実「砂の惑星」。直線の質におもしろみを感じました。

りっぱな図録をいただきました。ありがとうございます。
ただ、どこにも会場や会期が載っていないようです。
ところで、今年は「卒業制作展」なんですね。
昨年までずーっとあった大学院の修了制作展が無い。
以前にも書きましたが、“北の美大”として多くの作家を輩出してきた道教育大岩見沢校の大学院が廃止されてしまったことは、今後の道内アートシーンにボディブローのように響いてくると、筆者は悪い予感を抱いています。
2025年2月4日(火)~9日(日)午前10時~午後7時(最終日~2時)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)
11日(火)~16日(日)午前10時~午後7時
岩見沢市民会館・文化センター まなみーる(岩見沢市9西4)
今年は映像研究室とアニメーション研究室が群を抜いていたと感じました。
会田咲乃監督『倦んで、弛む』。
やくざが絡んだ犯罪サスペンス映画で、よくこんな複雑な脚本と多数の登場人物が出てくる劇映画を破綻なくまとめられるものだと驚嘆しました。時間は1時間ぐらいでしょうか。完璧なロケハンと、テンポの良い編集は、学生離れしているとしか言いようがありません。
この映画もすごいのですが、研究室の他のメンバー3人との相互協力を惜しまなかったことが、端々から伝わってきて、胸が熱くなりました。
「あ、この刑事さん、さっき別の映画で、半ズボン着て雪の公園で遊んでたじゃん」
とか(笑)思いながら見てました。みなさん、自分の卒業制作で忙しいはずなのに、偉いなあ。
ぜんぜん作風は別ですが、山本莉緒監督『たすかれ! ハト山さん』は、ありそうで見かけなかったエッセー風アニメーション。
内向型である主人公(鳩の被り物をかぶっていて表情はわからない)の内面を、3部構成で、自虐的かつテンポよく、脱力感もまじえてつづっていて、
「そう、それ!」
「あるある!」
と心の中でボタン連打しまくりでした。
ハト山さんが着ているシャツが「ハートランドビール」のパロディで「BIRD LAND BEER」になっているとか、お祭りに「根性焼き」の屋台が出ているとか、さりげなくおもしろいところもあります。
アニメーション研究室では、西澤萌「BlueBlur」。
架空の動物と庭園を描いた幻想的な世界。なにより音楽にうっとり(Aphex Twin っぽいです)。
唐川美桜「ヨシヨシとイーコの UMA 発見記」。
せりふなしでも伝わる分かりやすい冒険譚。ポップでカラフルで個性的な絵柄。

油彩研究室。
太子和奏「踏み慣れたステップで」
1303×3240ミリの大作。分解写真のようでありつつ、絵画のもつ余韻を漂わせています。

佐々木はるみ「目覚めは遥か先」
こちらも、ほぼ同じ大きさの1305×3245ミリ。
どこかデルヴォーを思わせるシュルレアリスムに振り切っていますが、羊などモティーフのあしらい方に個性が感じられます。

伊藤紗弥「街明かり」。
あいまいさの持つ魅力。やわらかく明滅する光。

江ノ上万智「おうちのりびんぐ」。
今年も油彩研究室は個性的な作品が多かったです。

日本画研究室。
佐竹美咲「紫幻玉華」。

書研究室。
手前は橋本歩実「砂の惑星」。直線の質におもしろみを感じました。

りっぱな図録をいただきました。ありがとうございます。
ただ、どこにも会場や会期が載っていないようです。
ところで、今年は「卒業制作展」なんですね。
昨年までずーっとあった大学院の修了制作展が無い。
以前にも書きましたが、“北の美大”として多くの作家を輩出してきた道教育大岩見沢校の大学院が廃止されてしまったことは、今後の道内アートシーンにボディブローのように響いてくると、筆者は悪い予感を抱いています。
2025年2月4日(火)~9日(日)午前10時~午後7時(最終日~2時)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)
11日(火)~16日(日)午前10時~午後7時
岩見沢市民会館・文化センター まなみーる(岩見沢市9西4)