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■鉄と光の芸術祭2022・その2 (8月10~14日、室蘭)

2022年08月24日 10時41分16秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(承前)

 話の順番が前後しますが「鉄と光の芸術祭」を主催しているのは、札幌と室蘭の有志でつくる「Muroran Art Project」。
 「芸術祭ってなんだ?」とあらためて問うと、ひたすら話が長くなりそうですが、だいたいの共通認識を言うとすれば

・ギャラリーや美術館での一般的な個展・グループ展ではなく

・作品発表以外にワークショップや公演なども同時に行われ

・大都市開催以外では、その地域の活性化などが図られる

といったところでしょうか。
 「鉄と光の芸術祭」は、会期は短く、演劇や音楽のプログラムもありませんが、ふだん展示に用いられない街なかの会場(ただし6カ所のうち1カ所は市民美術館)を使用していたことを考えれば、じゅうぶん「芸術祭」を称してよいということになりそうです。
 しかも、札幌では、国際芸術祭を除けば、現代アートの発表がこれほど重なることは意外とありません。例えば、端聡さんの新作は、久しぶりです。
 その意味では、最終日に駆けつけたことは、個人的には良かったと思っています。

 さて、列車を降りて、少し道なりに歩くと、室蘭駅の旧駅舎にたどり着きます。
 なかなか伝統ある建築で、いまは室蘭観光協会の事務局として使われています。

 
 その旧駅舎も、芸術祭の会場の一つになっています。

 東弘一郎さん( https://koichiro-azuma.com/ )の参加型作品「自連車」。
 今回唯一の、純粋に道外からの参加となります。
 使われなくなった自転車の車輪を横一列に並べており、いちばん前のペダルをこぐと、その車輪に接した車が次々とぐるぐる回るという、単純な仕組みの(ただし、ちゃんと回転させるには、それなりの調整の苦労が必要と思われる)立体作品です。

 よじ登ってペダルを踏んでみました。
 車輪の数から推してめちゃくちゃ重いのではないかと予想していましたが、意外にも、ふつうの重さでペダルを踏めました。

 
 なお、旧駅舎内は、室蘭観光の拠点だけあって、古い鉄道関係の資料があったり、「炭鉄港」のパネルが飾られ、来場者の理解を助けていました。
 室蘭は、道内ではめずらしい、製鉄所を中心とした工業都市ですが、空知地方で産出した石炭の積み出し港としても発展した歴史を持っています。
 まさに、石炭・鉄・港の三位一体で、発展してきたマチなのです。


 室蘭市民美術館では、札幌で現代アートに取り組む今村育子さんの写真作品「内からの眺め、外からの眺め」と、地元室蘭を拠点とする坂本正太郎さんの金属作品を展示していました。

 今村さんはこれまで、静謐な印象を醸し出すインスタレーションが多かったのですが、今回は写真のみ。
 大きさが極端に異なるプリントが並んでいる点はインスタレーション的といえますが、従来の作品とはいくらかテイストが異なって見えます。
 極私的な、じぶんの身の回りのプライベイトな世界から、パブリックなほうへと目線を向ける第一歩になっているのかもしれません。今後の展開を見守りたいところです。
 

 坂本さんの作品タイトルは
「梵(そよぎ)」
「STAY GOLD」
「境界【KYOUGAI】」
「捨【Upekṣā 】」

 最後の「Upekṣā 」はサンスクリット語のようです。
 ただ、平面の組作品が「梵」というのはわかるのですが、あとの3点がどの題なのかはわかりませんでした。





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