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中野五一「荒井初一氏之像」(上川管内上川町)2024年夏の旅(11)

2024年08月21日 08時24分30秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 また、未知の中野五一作品を見つけました。

 層雲峡温泉の郵便局前は、バス停があって広い空間になっていますが、その一隅に設置されていました。
 

 中野五一(1897~1987)の略歴などは、北見にある伊谷半次郎翁像の記事中で紹介しています。
 生まれは富山県ですが、小樽育ちで、日展会員として活躍しました。

伊谷半次郎翁像 (北見市) - 北海道美術ネット別館

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 また、荒井初一については、層雲峡開発に尽くした人物として、層雲閣のサイト( https://sounkaku.co.jp/history/ )に詳しく紹介されています。

 1923年(大正12年)に層雲閣を創業し、私費を投じて層雲峡までの道を造ったというからすごいです。
 

 銘文を写しておきます。旧字は新字に改め、適宜空きを入れました。
 漢文ですが、それほど難しい言い回しはなく、文字を目で追えばおおむね意味はわかると思います。



 
是荒井君之像也 君之名初一 富
山県人 性剛毅任俠(俠は侠の正字) 抱大志夙
来旭川奮闘 多年推為商業会
議所会頭 興業殖産 功労顕著
創大雪山調査会 又建陸軍療
養所 更効資於 在郷軍人会本
部以竭力於公益 大正十五年
糸屋銀行漸逼破綻 君深憂不
措即艇身救衆 以匡財界之動
揺尋投巨費拓層雲峡 以立地
方発展之基 昭和三年病歿 年
五十六頃 有志相謀 造銅像以
表其功徳 予因請記分如此
昭和四年五月建
  橘文七撰 藤光雲書 


 現在は胸像ですが、上のサイトにある写真を見る限り、1929年(昭和4年)の時点では立像だったようです。

 おそらく戦時中は金属供出させられたのでしょう。
 像の裏側に「昭和二十四年再建」の文字と「中野五一」のサインが刻まれています。
 
 ちょうど国道39号を見下ろすような位置にあり、層雲峡の発展を見守っているかのようです。


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