
道内の人形作家によるグループ「AiDocca(アイドッカ)」が一昨年に続く2度目の展覧会を札幌で開いている。
「AiDocca」は「愛」とスウェーデン語の「人形」を組み合わせた造語。
北見の道新文化センターで講師を務める皆川優子さんが代表を務め、現在は札幌や道東の8人が所属する。ひとくちに「人形」というが、作風は非常に幅広い。
皆川さんによると、2016年限りで「人形道展」が終了したことも、グループ結成の背景にあるという。
メンバーには人形道展に出品していて、皆川さんが誘った人もいる。
AiDocca は、教室展でも公募展でもないので、メンバーは全員が平等の立場だとのこと。
皆川さんは、背景の壁を装飾して、インスタレーションふうの展示。
「雨」「FACE」「D.DOLL」など、いずれも粘土で作られている。
すこし高く上げた視線が、さびしげな感情を漂わせているようだ。
右下で横たわっているのは「ブルーダリア」。
画像にはないが、このさらに右に「ハジメテノコイ」。
小さな姫と、彼女をかかえ上げる王の像。王の両腕は灰色の縞模様になっている。
写実的な他の作品とは少し異なるテイストだ。
次は、筆者が訪れたときには全作品が販売予約済みだった「ラクッコピコりん」こと大山雅文さん(オホーツク管内清里町)。

大山さんは第1回展で、植物の根で成形した人形を出品し、筆者は度肝を抜かれたことが記憶に新しい。
もともと球体関節人形を手がけていたが
「絵画や彫刻を学んでいる人のほうが力強いと思って」
と、今回はいったん球体関節から離れて、造形力をみがくことに意を用いた。
メインとなる作「黒白の翼」は、人形シンポシオンMIDOW展2017で入選した作品。
これほどダイナミックな動きをともなった作品は、彫刻を専門に学んだ人でもなかなか作らないだろう。
ポーズにキレがあり、かっこいい。
羽根はレジンという素材でできており、大きさを超えた存在感とともに、軽さも同時に表現している。
完売となった小品類は、肌の表現がなまめかしい少女たち。
人魚もいくつかあり、ひそやかなエロスをたたえている。

鈴木千鶴子さん(札幌)。
左から「勇気」「クラシック」「青春」「モダン」。
右端は「鴨頭草」。
いずれも、典雅なたたずまいを感じさせる。とくに「鴨頭草」は、いわゆるフランス人形に共通する優雅さがあると思う。
成瀬麻里子さん(十勝管内幕別町)。
左の「波の上より申し候」が、時代劇ふうなんだかサーファーなんだかよくわからなくて、ユニーク。
そのとなりの「ななかまど」は、帽子をかぶってすっくと背を伸ばして立つ姿が、清く正しい昭和の人形みたいだと思った。
ささきあきこさん(帯広市)。
中央の人形は「きんぎょ姫」というユニークな題がついている。
その右は「エーゲ海の復活祭」と「カザフスタンの風」。
ユーラシアの東西の民族衣装が、異国情緒を漂わせる。
あるいは顔立ちも含めて、無国籍風といったほうがいいのかもしれない。
川辺純子さん(千歳)。
中央のバレリーナは「ブラックスワン」(黒鳥)。
その右隣は「或る微笑」。
フランスの作家、フランソワーズ・サガンの小説の題とおなじだ。
いずれも気品を保った、自立した女性の姿を感じさせる。
一方、千葉康晴さん(札幌)は、オタク的な好みが全開のユニークな発表。
右側のは、仮面ライダーをテレビで見ることがかなわず、怪人を、雑誌からの情報を踏まえて創作せざるを得なかった幼児体験をもとに作った「恐怖!シャコ男」。
中央は、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ「青銅の魔人」に着想を得て、ばらばらになった人形を置いた「殺人の正体」で、ここまで壊れるともはや人形作品と言い切っていいのかとさえ思ってしまう。
子供のころの好みを、ためらわずに押し出した作品なのだ。

土屋さつきさん(札幌)は羊毛フェルト人形を出品。
やわらかさとあたたかさをもった素材とフォルムだ。
2018年6月14日~19日(火)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社北1条館道新プラザ)
□AiDockaブログ https://blogs.yahoo.co.jp/aidocka2014
□独り言・・ときどき人形 https://blogs.yahoo.co.jp/yukominagawa
□ツイッター @yukominagawa
■小さきもの達展 vol.2 (2010)=皆川さん出品
□ラクッコピコりんの紙芝居 https://blog.goo.ne.jp/rakukkopikorin
□ツイッター @rakukkopikorinn

北見の道新文化センターで講師を務める皆川優子さんが代表を務め、現在は札幌や道東の8人が所属する。ひとくちに「人形」というが、作風は非常に幅広い。
皆川さんによると、2016年限りで「人形道展」が終了したことも、グループ結成の背景にあるという。
メンバーには人形道展に出品していて、皆川さんが誘った人もいる。
AiDocca は、教室展でも公募展でもないので、メンバーは全員が平等の立場だとのこと。
皆川さんは、背景の壁を装飾して、インスタレーションふうの展示。
「雨」「FACE」「D.DOLL」など、いずれも粘土で作られている。
すこし高く上げた視線が、さびしげな感情を漂わせているようだ。
右下で横たわっているのは「ブルーダリア」。
画像にはないが、このさらに右に「ハジメテノコイ」。
小さな姫と、彼女をかかえ上げる王の像。王の両腕は灰色の縞模様になっている。
写実的な他の作品とは少し異なるテイストだ。
次は、筆者が訪れたときには全作品が販売予約済みだった「ラクッコピコりん」こと大山雅文さん(オホーツク管内清里町)。

大山さんは第1回展で、植物の根で成形した人形を出品し、筆者は度肝を抜かれたことが記憶に新しい。
もともと球体関節人形を手がけていたが
「絵画や彫刻を学んでいる人のほうが力強いと思って」
と、今回はいったん球体関節から離れて、造形力をみがくことに意を用いた。
メインとなる作「黒白の翼」は、人形シンポシオンMIDOW展2017で入選した作品。
これほどダイナミックな動きをともなった作品は、彫刻を専門に学んだ人でもなかなか作らないだろう。
ポーズにキレがあり、かっこいい。
羽根はレジンという素材でできており、大きさを超えた存在感とともに、軽さも同時に表現している。
完売となった小品類は、肌の表現がなまめかしい少女たち。
人魚もいくつかあり、ひそやかなエロスをたたえている。

鈴木千鶴子さん(札幌)。
左から「勇気」「クラシック」「青春」「モダン」。
右端は「鴨頭草」。
いずれも、典雅なたたずまいを感じさせる。とくに「鴨頭草」は、いわゆるフランス人形に共通する優雅さがあると思う。

左の「波の上より申し候」が、時代劇ふうなんだかサーファーなんだかよくわからなくて、ユニーク。
そのとなりの「ななかまど」は、帽子をかぶってすっくと背を伸ばして立つ姿が、清く正しい昭和の人形みたいだと思った。

中央の人形は「きんぎょ姫」というユニークな題がついている。
その右は「エーゲ海の復活祭」と「カザフスタンの風」。
ユーラシアの東西の民族衣装が、異国情緒を漂わせる。
あるいは顔立ちも含めて、無国籍風といったほうがいいのかもしれない。

中央のバレリーナは「ブラックスワン」(黒鳥)。
その右隣は「或る微笑」。
フランスの作家、フランソワーズ・サガンの小説の題とおなじだ。
いずれも気品を保った、自立した女性の姿を感じさせる。

右側のは、仮面ライダーをテレビで見ることがかなわず、怪人を、雑誌からの情報を踏まえて創作せざるを得なかった幼児体験をもとに作った「恐怖!シャコ男」。
中央は、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ「青銅の魔人」に着想を得て、ばらばらになった人形を置いた「殺人の正体」で、ここまで壊れるともはや人形作品と言い切っていいのかとさえ思ってしまう。
子供のころの好みを、ためらわずに押し出した作品なのだ。

土屋さつきさん(札幌)は羊毛フェルト人形を出品。
やわらかさとあたたかさをもった素材とフォルムだ。
2018年6月14日~19日(火)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社北1条館道新プラザ)
□AiDockaブログ https://blogs.yahoo.co.jp/aidocka2014
□独り言・・ときどき人形 https://blogs.yahoo.co.jp/yukominagawa
□ツイッター @yukominagawa
■小さきもの達展 vol.2 (2010)=皆川さん出品
□ラクッコピコりんの紙芝居 https://blog.goo.ne.jp/rakukkopikorin
□ツイッター @rakukkopikorinn