(承前)
バスを「界川さかいがわ」でおりて、ギャラリー門馬へ。
ノルウェーに滞在していた風間夫妻の2人展。
「ムピリックとヌルギクプス」というのは滞在先の子どもにつけられた2人の名前で、とくに意味はないそうです。語感は、なんとなく北欧っぽいですけど。
冒頭画像、右手には雄飛さんのドローイング連作小品がずらっと並んでいます。
ごく淡い色調は雄飛さんならではです。
左手は成美さ . . . 本文を読む
(承前)
2002年に亡くなった画家阿部国利さん(新道展会員)に絵を習っていた人たちが毎年、札幌時計台ギャラリーで開いていた「8・6の会」展。
奇妙な会の名は、最初に開いた際の案内状で「'96」とあるべき数字が誤植されていたことに由来するそうです。
当初は師匠の画風の影響が色濃かったメンバーも、次第に個性を磨き、いまや新道展でも中核をなす画家たちとなりました。
今回は、時計台ギャラリー . . . 本文を読む
今年の道展でみごと協会賞(最高賞)に輝いた河口真由美さんの個展を見て、思ったことがあります。
なぜ人は
「この絵には何が描いているのか」
ということを気にするのだろう、と。
実は、近現代絵画で、それはたいして問題じゃないんじゃないか。
つまり「どう描くか」が最大の焦点であって、描かれているものが何かは、二の次であるはずです。
日本を代表する現代美術家のひとり、森村泰昌氏がかつて、抽 . . . 本文を読む
この4、5年、ものすごい勢いでグループ展に出品し、2019年の新道展で協会賞に輝いた(ことし、会員に推挙)札幌の楓月(ふうげつ)まなみさんですが、意外にも、喫茶店での小品展2度を除けば、独立した空間で個展を開いたのはこれが初めてなのだそうです。
(オマージュは、飲食スペースと展示スペースが完全にわかれています)
2011年から前衛書に取り組み、いきなり毎日書道展や奎星会で入賞を果たした楓月さ . . . 本文を読む
佐藤潤子さんは後志管内岩内町出身、札幌在住の画家。
個展は4年ぶりです。
100号クラスの大作が並び、圧巻ですが、ことし3月から取りかかった作ばかりと聞き、驚きます。
大きな筆による力強いストロークが特徴で、書の墨象を思わせます。
書と異なるのは、実はエスキスを事前につくっており、線や色の配置などを入念に考えていることです。
勢いある線が昇る竜やヘビを連想させます(あんまりそっち . . . 本文を読む
「会期最終日に84歳になります」
4年ぶりに、札幌の画家、大地康雄おお ち やす お さんに会いましたが、赤いシャツにテンガロンハットという若々しいいでたちは全く変わっていませんでした。
東日本大震災に衝撃を受けたシリーズもまだ続いています。
冒頭画像は200号の「大震災からの形象(復興の構築)」。
がれきの重なりのようにも、希望の集積のようにも見える、色面の重なり。
目をこらすと . . . 本文を読む
(承前)
シルクスクリーンを基本としたミクストメディア作品で、道内のみならず、東京や海外でも盛んに発表している若手の松浦進さん。
会場にはとくにステイトメント的なテキストはありません。
黒のかっこよさと、平面的に処理された、正面を向いた人物の組み合わせは、一目で松浦さんと分かります。
冒頭画像は「boring day in the park」。
よく見ると、人物のひじに数字が書い . . . 本文を読む
入ってすぐの正面の壁を一面に覆っているおびただしい、1920~30年代のキーワードを印字した紙片の数々。
この展覧会の姿勢というか、キュレーターの視点を、象徴的にあらわしたコーナーだと思います。
いつも書いていますが、画家個人の名を冠した美術館は、その画家の代表作を外した展覧会を開くわけにはいかず、かといって、いつも代表作を漫然と並べただけでは「マンネリ」といわれて客足が鈍ってしまうの . . . 本文を読む
会場のチャオは、北24条駅周辺の繁華街の一角に以前からある画廊喫茶です。
展示壁面と飲食空間が分かれていない昔ながらのスタイルです。
ただ「画廊喫茶」といってもこの数年は、絵画・美術関係者よりも写真愛好者の出入りが多くなり、いきおい展示も写真展が中心になっていて、今回のような絵画展は久しぶりではないでしょうか。二人は新道展のベテラン会員なので、安心して見ることができます。
冒頭画像、右の . . . 本文を読む
小谷さん、柴垣さんとも、日本水彩画会やグループ展などで積極的に水彩画を発表している方です。日本水彩画会北海道支部へのデビューは柴垣さんの方が早かったのですが、近年は小谷さんが、今年の新道展で佳作賞を受賞するなど精力的です。
冒頭画像の中央が、その受賞作の「ベンチ」。
中央から奥への視線誘導が巧みで、地面を走る白い光の線も効果的で、なかなか目を離すことができません。
左奥が明るく、白を残し . . . 本文を読む
札幌の中橋修さんは、1990年代後半から2010年代にかけてはインスタレーションなどに取り組んだ時期もありましたが、近年は絵画に回帰して個展を毎年のように開いています。
タイトルには「水彩画展」とありますが、画材に創作の主眼がそれほど置かれているようには感じられません。
むしろ、言語とは別の存在論哲学とでもいうべき思想が、画面から伝わってくるようです。
個展の副題にもなっている「天と地と . . . 本文を読む
胆振管内安平町の新道展会員による個展。
副題を一般的な表記にすれば
「色彩の喪失、世界から色が失われたら」
となります。
新型コロナウイルスの感染や、ロシアのウクライナ侵略など、ますます閉塞感を増す世界を、しっかり見据えている画家らしいです。三浦さんはいつも、色のない世界を描いているわけではありません。
本人は明記していませんが、誰でも気持ちが落ち込むであろう上記の二つの要因に加えて、新自 . . . 本文を読む
毎年この時期に個展を開いている札幌の西村一夫さんですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って2年連続で中止になってしまい、3年ぶりの開催となりました。
会場には、昨年の、まぼろしとなった個展の案内はがきが積んであり、ご自由にお持ちください―と書かれていました。印刷された写真は、板を使った木彫作品を載せていますが、今回の会場には、立体は1点もありません。彫刻の下絵というデッサンぽい絵はあるんです . . . 本文を読む
札幌の画家 永桶麻理佳さんが個展を開いています。
また主宰する絵画教室「あ~とりえ」(大人の部)の展示も同時に開催されています。
永桶さんは、ユニット「故郷 2nd(セカンド)」(故郷 II から表記変更)としても活躍していますが、そちらの作品展示は8月12~17日に、SCARTS で行うとのことで、今回はあくまで麻理佳さんの絵画だけです。
目を引くのは150号大の「走る」。
昨年の新 . . . 本文を読む
登別在住のベテラン画家矢元政行さんの絵は、くだくだしい説明は要らないと思うので、今回は部分のアップの画像を冒頭に掲げてみました。
「バオバブ(神の樹)」(2020、F10)だと思います。
ダクトにつかまったり、はしごをよじのぼったりしている人物が、細かい筆で、膨大に描かれていて、いつ見ても驚かされます。
男も女も、大人も子どももいます。
しかしブリューゲルの「子どものあそび」と異なり、 . . . 本文を読む