(承前)
札幌市資料館では「美術サークルア~トリエ これから展」と、教室を主宰する永桶麻理佳さんの個展が開かれていました。
永桶さんは夫婦によるユニット「故郷 2nd」の活動と並行して普通の絵も描いており、ダンサーなど人物の動きに着目した画風が特徴です。
それについては、後で書くとして、筆者には冒頭画像の絵が、妙に心に残りました。
「憂鬱な月曜日」。
ここ数年の、「走る女」などの元 . . . 本文を読む
オホーツク管内西興部村からとなりの興部町へ移った佐藤さんが札幌で個展を開いていた。
出身は秋田県で、通った大学は岩見沢。秋田時代は知らないけれど、それ以降の彼女の絵は、どこにいてもそれほど変わらないように見える。
さまざまな色斑やかたちを背景に、架空の生き物がたたずんでいる。
それらのふしぎな生き物は、いろいろな種類があるけれど、絵によってあまり大きさが変わらない。言いかえれば、タブロ . . . 本文を読む
ko-aya (こあや)さんはここ数年、精力的にグループ展に参加していますが、個展は珍しいです。
最初に案内状を見たときには「ボダニカル」は「ボタニカル」の誤植かと思いましたが、「ボタニカル」と「ボーダー」をかけあわせた造語とのこと。
「ボーダー」は「境界性パーソナリティ障害」の一部だと思いますが、ここでは深入りしません。
会場はサッポロファクトリー3条館のウォールギャラリー。
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(承前)
前項の記事が単なる箇条書きだったので、もう少し。
厚別区民センターは、朝9時からあいているので行ってみた。
小谷良さんの水彩絵画教室展。
小谷さんは、野幌の開拓記念塔を描いた絵を出品していた。横構図なのが、広がりを感じさせて良い。
塔の解体工事は着々と進んでおり、先日見たら、3分の2ぐらいの高さになっていた。
センターの2階に上る階段の踊り場に、絵が飾ってあった。
遊 . . . 本文を読む
北大大学院文学院にこんなスペースがあるのを、道新で読んで初めて知りました。
といっても、玄関の一角に、書棚と展示ケースがある小コーナーです。アートを本格的に展示するような場所ではありません。
公式サイトから引用します。
本展示では、北海道大学名誉教授・武田雅哉先生の所蔵する貴重な〈連環画れんかん が 〉の現物、および武田先生を代表とする「連環画研究会」の研究成果をご披露いたします。
〈 . . . 本文を読む
(承前)
隣室で開かれていた「アジアの大地」展も見た。
すべて戦後、1979~98年の、中国やチベットなどに材を得た作品である。
「桂林で」などの絵については、戦争中に長沙、衡陽まで足を伸ばしていながら、そのすこし上流側にある桂林には訪れていなかったことから、ずっと気になっていたという趣旨の画家の談話が紹介されていた。
なるほど。隣室の「戦時のスケッチ」ともリンクする展示内容なのだ。
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(承前)
小川原脩(1911~2002)は、戦後の北海道を代表する洋画家のひとり。
後志管内倶知安町生まれ。東京美術学校(戦後の東京藝大)を卒業し、美術文化協会に属して、シュルレアリスムの新進画家として注目された。しかし戦争画を描いたことなどが同協会内で批判され、帰郷。全道展の創立会員として同展には毎年出品し、札幌でも個展を継続するが、中央の画壇とは距離を置いた。
彼の戦争協力については、 . . . 本文を読む
道立三岸光太郎美術館にはもう40~50回は足を運んでいて、さすがに、一度は見たことのある作品がほとんどなのだが、それでも、初めて見る作品があって、そういうのに出合うとなんだかうれしい気持ちになる。
単に、忘れてしまっているだけなのかもしれないが。
今回は「コンポジション」という後期の抽象画を冒頭に置き、マチエールがでこぼこだったり、山あり谷ありの三岸の人生行路をうかがわせるような作品だったり . . . 本文を読む
(承前)
神田絵里子さんは十勝管内鹿追町在住。
以前から絵を描いていたらしいが、個展などを開いて発表するようになったのは2015年と、比較的近年のことだ。
あの神田日勝の長女にあたるが、日勝が歿したのは2歳ごろのことで、絵の手ほどきを受けたことはない。
画風もまったく異なり、娘はひたすら写実的に風景を描き続けている。半分以上は十勝の風景で、30号を超える絵はない。
筆者は会ったことはな . . . 本文を読む
札幌の水口さんの初個展。
自宅でピアノ教室を開いていますが、幼いころから絵を描くことも好きで、2018年から絵画教室に通って本格的にはじめました。
2021年、新道展に初入選し、22年に冒頭画像の、女児と猫が窓辺にいる絵が佳作賞に輝きました。
パステルとアクリル画あわせて31点を展示しています。
会期中、夫の水口晶夫さんが撮影・編集した、制作過程などの映像が流れています。およ . . . 本文を読む
「怪獣」ってなんだろう。
決して大昔からある概念ではないし、実在する生き物でもない。
1950年代のゴジラから70年代のウルトラマンシリーズまで、歴史的にはそれほど長くない期間、スクリーンやテレビのブラウン管に数多く登場し、その時代に幼少期を過ごした子どもたち(おもに男の子)の脳裡に深い印象を刻んだ。でも、それ以降の若い世代にとってさほど身近な存在だとはあまり感じられないし、多くの女性・少 . . . 本文を読む
(承前)
おおむね月替わりで開かれている「ニューオータニイン札幌企画~北海道の画家を応援するプロジェクト~」。
1月は、札幌の全道展会員で、1946年生まれ、武蔵美大卒。独立美術にも出品してきたので道外でもそれなりに知名度のある画家の斉藤嗣火(つぐほ)さんです。
画風は、奥行き感を欠いた空間に、人物や鳥などを配したもの。
適度な勢いと省筆があります。
「人物」と欠きましたが、今回見 . . . 本文を読む
洞爺湖にほど近い、胆振管内壮瞥町にアトリエを構える写実画家、野田弘志の個展は、2007年にも道立近代美術館でも開かれている。
画家本人が
私の展覧会を見に来られて「写真みたいに描いていてすごい」と言って感心してくださる方がいらっしゃいます。でも、もし写真のように描くことが目的ならば、写真を撮ればいいのだと私は考えてしまいます。
と書いているにもかかわらず、テレビCMなどは「写真みたいにすご . . . 本文を読む
「山小屋」という個展タイトルの意味はよく分かりませんでしたが、良い意味で、想像力があふれる明快な絵画が並んでいました。
冒頭の画像、右側は「水深何M(メートル)の街」。
水没した都市に魚が泳ぎ、なにやらSF的なテイストの絵画です。
左側は「隣の惑星ホシへの逃げ道」。
鉄塔を真下から見上げた構図は、例えばロシア構成主義やそれに影響された戦前の日本の新興写真などによく見られるものですが、 . . . 本文を読む
札幌を拠点に活動する齋藤周さんの個展。
明度の高い不定型な色面のタブローと、人物のドローイング、壁面へのペインティングという基本は変わらないものの、筆者がうっかりしているうちに、以前はまったく接点がないと感じられていた父親の斎藤洪人さんの画風を想起させるものが、いまは周さんの個展会場のあちこちに見いだすことができる。
たとえば、次の画面。
左手の壁に並ぶ作品はいずれもニセコの風景をモティ . . . 本文を読む