道展水彩部門会員の深山秀子、竹津昇、湯淺美恵の3氏と、会友の佐藤恵利子さんによるグループ水煌すいこう。
水彩では、静物や人物を描くことが一般的で、比較的少数派の、抽象画や心象風景を描く人たちのグループです。
佐藤さんは数年前までクジラなどが画面に登場していたような記憶がありますが、今回は完全に抽象でした。
直線と曲線がさまざまに交叉する中に、濃い色や薄い色が不規則に置かれています。
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18世紀以前の古典絵画を多数収蔵するドイツの美術館のコレクション展。オランダ絵画の黄金時代と呼ばれる17世紀の作品70点を紹介しています。
絵画館は、「眠れるビーナス」(作者はティツィアーノかジョルジョーネなのか…)ヤ、ラファエロ「システィーナの聖母」、プッサン「フローラの王国」といった名画をたくさん所蔵しているようですが、もちろん今回は日本に来ていません。
同館所蔵のフェルメール「窓辺で手 . . . 本文を読む
札幌のベテラン画家で、独立展と全道展会員の木村富秋さんの個展。
「北都館」では、木村さんを皮切りに、大御所の展示が続きます(とちゅう、新道展の若手の三浦さんの週が挟まりますが)。
木村さんはじつにモダニストであって、その絵を見るのは、目の快楽に満ちています。
躍る線。
中間色のなかに差し込まれる鮮やかな色斑。
下塗りが上の層と響き合う色合い。
すべてが絵画の気持ちよさを表しています . . . 本文を読む
札幌の日本画家、紅露はるかさんは、活潑に個展を開いていますが、最近は大丸画廊とか円山のチーズ店といった高級感あふれる会場が多く、ビビらずに入れるギャラリーは久しぶりのように感じます(オマージュも、ランチが全品千円以上なので、ふだん筆者が食事をするようなお店ではないですが)。
くだらない前置きはさておき、紅露こう ろ さんの絵画世界は、シンプルななかに、途方もない切なさと懐かしさ、かなしみが、い . . . 本文を読む
浩而魅諭ひろ じ み ゆ さんの作品は以前から見ていました。
展覧会場でではなく、北海道新聞夕刊地域面の連載で。
北海道の生き物を描く力量はたしかなもので、ボールペンとは思えない細密さです。
ただし、ひねくれ者の筆者は
「でも、細かいのは、技術だしな。技術に感心するのと、美に心が打たれるのとは違う」
などと、はすに構えていたのです。
個展やグループ展など、これまで見た形跡がないので、実 . . . 本文を読む
おそらく新型コロナウイルスの感染拡大のためだと思いますが、3年ぶりの開催となりました。
ちょうど筆者が札幌を転勤のため離れていた時期と、「北の日本画展」が休んでいた時期が重なる格好になります。
以前は、道展の会員や会友を中心に道内の日本画家をほとんど網羅しているといっても過言ではない出品者の顔ぶれでしたが、今年は「CONNECT 鼓動する日本画」展に出品する先鋭的な作家の多くがいない上に若手 . . . 本文を読む
5日に終わったト・オン・カフェでの浅間あす未・野口清村 二人展「合掌」と共通しているのは、こちらの個展も、旧来のモダニズムの言葉(概念)で評するのが難しいことだと思います。具象/抽象とか、写実/フォーブといった、これまで絵画を見て来た際の枠組みを、アップデイトしなくてはならない時代が来たのだろうなと感じざるを得ないのです。
よく
「現代アートは難しい」
といわれます。
が、筆者にいわせれば . . . 本文を読む
(承前)
下のリンク先を見ると、札幌の画家會田千夏さんの活動の幅広さにあらためて驚かされます。
団体公募展や個展だけでなく、若手が集まってわいわい楽しんでいそうなグループ展にも顔を出したりしているのは、絵画の世界とは異なる空気に触れようとしているのかもしれません。
ギャラリーレタラで作品を見たのは5年前で、そのときは壁一面を覆う巨大なドローイングが展示されていました。
今回は打って変わ . . . 本文を読む
(承前)
(4)を飛ばして(3)の次にこちらを先にアップします。
ツイッターでは水野スミ子さんのことを全道展会員と紹介していましたが、今回聞いたらもう退会したとのこと。
これまでも個展を活動の基軸に据えてきていたので、今後はいっそうそうなっていくのでしょうか。
スピード感が持ち味の水野さん。
楽譜などを支持体に用い、速度のある線が画面に躍ります。
冒頭画像、中央部にはめ込まれている . . . 本文を読む
(承前)
1998年釧路生まれ、武蔵野美大在学中の2018年から2年連続で、全道展で道新賞(最高賞の協会賞に次ぐ賞)を受賞して会友に推され、独立展では19年に佳作賞、21年に奨励賞に選ばれるなど、リアリスティックな画風が注目の若手。
北都館では2度目の個展だそうですが、筆者は前回は見ることができていません。
ただし小品は、大丸画廊のグループ展などで拝見しています。
会場に次のような文が . . . 本文を読む
ほぼ月替わりで行われている「北海道の画家を応援するプロジェクト」。
今回の佐藤仁敬さんは札幌の画家で、独立展や全道展でも活躍しています。昨春に札幌・北都館で個展を、秋に深川のアートホール東洲館で2人展を開いているので、さすがに今回は旧作を交えたインターバル的な展示ではないかと、なんとなく予想していました。
甘かった。
11点すべてが新作のようです。
このうちパステル画が5点、油彩は6点。 . . . 本文を読む
高田稔さんは1982年ないし83年から毎年、ギャラリーたぴおで個展を開いて、あまり大きくないサイズの絵画を発表していました。「たぴお」の画家には珍しく、会期はほかの画家の倍の2週間だし、いつ行っても会場にはおられないし、他の会期に開かれるグループ展に参加することもまったくありません。団体公募展とも無縁のようです。
恒例の個展以外は、2012年に札幌芸術の森美術館が企画した札幌美術展に出品したこ . . . 本文を読む
田中郁子さんは、日高管内浦河町在住の新道展会員です。
しょっちゅう札幌までハンドルを握って駆けつけたり、展覧会を開いたりして、ほんとうにお元気な方です。
札幌の喫茶店での個展には抽象画の小品19点が並んでいました。
いずれも「№57」という題のついたシリーズで、会場入り口から順に
「№57 tu」
「№57 na」
「№57 he」
「№57 ru」
「№57 sa」
「№57 ga」
「 . . . 本文を読む
絵画の全国的な団体公募展である「一線美術会」の北海道支部展を3年ぶりに見ました。
3、4年前は見ていて、出品者の減少に切ない感じを抱きましたが、いくらか復活しているようで、ほっとしました。
ただし、新顔の方は、東京・上野で毎年開かれる展覧会では見かけないような小品を出しています。
目を引くのはやはり西村司さん。
子どもの頃、色セロファンごしに景色を眺めておもしろがった記憶のある人は多い . . . 本文を読む
北海道を代表するベテラン日本画家の一人として、後進の指導にも東奔西走している札幌のベテラン中野邦昭さん。
緻密なマチエールと、写実的な筆致で、道内の風景などを描きます。
植物などを描いた小品は別にして、ある程度の大きさを有する絵画で代表的なモチーフなのは、なんといっても海辺の古い木造家屋でしょう。人間を描かずに人の存在感・生活感をしっとりと表現し、懐かしい感情を見る人に呼び起こします。
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