(承前)
網走でサケ定置網などの漁業に携わりながら、絵画制作や個展も行っている佐々木恒雄さんが、地元の藻琴地区にギャラリーなどの多目的スペース「マ・シマシマ」をオープンしました。
こけら落としとして、佐々木さん自身が約2年間、毎日描きためてきた小さな絵を一堂に展示する個展を15日まで開いています。
「マ・シマシマ」は、国道244号沿いの住宅をリノベーションしました。
裏手にはJR釧網線 . . . 本文を読む
3月末に札幌を訪れた際に見た展覧会の紹介記事が遅れまくっていて、すみません。
札幌の画家で、単に巧みなだけではない、精神性を感じさせる人物画などを描く佐藤仁敬さん。
「怖い絵」シリーズで知られる作家中野京子さんの「橋をめぐる物語」の挿絵を担当したり、今年の「昭和会展」に入選を果たしたり、活躍しています。
今回の個展は、いただいた案内状に、コロナウイルスの感染拡大でステイホーム中に見つけ . . . 本文を読む
札幌市中央区北2西1のホテル「ニューオータニイン札幌」の地下に「北海道にゆかりのある作家たちの絵画展」が月替わりで企画開催できるスペースが3月28日にできました。
ホテルの正面から入ってすぐ左側に、地下へと降りていく螺旋 ら せん階段があります。
その先、地下の壁面が、絵画の展示コーナーになっており、エレベーターの前まで続いています。
第1弾は、独立美術と全道展の会員として活躍する波田 . . . 本文を読む
(承前)
札幌から車で1時間あまりの空知管内由仁町の農場に自宅兼アトリエを建てて制作に取り組んでいる大井敏恭さん。
これまでは作品のどこかに、過去の思い出など具象物が顔を出していましたが、今年は、線だけの作品ばかりが並んでいました。
色とりどりのやや太い線が、フリーハンドで、縦横にひかれています。
大半は画面の端から端までひかれていますが、時折、途中で途切れている線もあります。斜めだっ . . . 本文を読む
志摩利希さんの版画を見ると「北方的」という概念が思い浮かびます。
「北方的な抒情」あるいは「北の郷愁」などといえば、なんだか批評できたようなというか、作品の秘密をうまく言い当てたような気がしてくるのですが、さてそれは具体的にどういうことなのかというと、はたと考え込んでしまいます。
会場のカフェ北都館ギャラリーのサイトには次のようにありました。
「感傷的なことは少々恥ずかしいことではあると . . . 本文を読む
網走に行った第2の目的は、市立美術館で、冨田美穂さんの個展を見ることでした。
1階の大きな展示室が、牛の版画と絵で埋まっていて、壮観です(もうひとつの小さい部屋では北見の若手画家、茂木怜成個展を同時開催中)。
冨田さんは東京生まれ、武蔵野美大卒。
学生時代のアルバイトで出会った牛に魅了され、オホーツク管内小清水町で酪農ヘルパーをしながら版画を制作しています。
2017年には . . . 本文を読む
道立美術館の所蔵品展は近年、テーマの理解しづらいことが時々ありますが、今回は明快。
想像力を駆使した、幻想的な絵画や写真計12点が展示されています。
個人的にうれしかったのは、森健二さんの「光年の導べ『心象』」(冒頭画像)が見られたこと。
2012年作、112.0×145.0センチとあります。森さんは2013年歿なので、晩年の作品です。
十勝管内清水町生まれ、札幌で活躍し、晩年は千葉県 . . . 本文を読む
「アートが好きなんです」
と言うと
「へ~、絵を見るんだ」
と返されることがよくあります。
彫刻も陶芸も現代アートも美術なのに、なぜか
「アート・イコール・絵画」
という図式がアタマのなかで固まってしまっている人が、とくに年配の方に多いという印象があります。
戦後、文学全集と同じように美術全集があちこちの出版社から出されました。
そこでは、梅原龍三郎や安井曾太郎といった画家が代表的な存在 . . . 本文を読む
滝川市江部乙に住んでいる桔梗さんが、故郷の十勝で3度目の個展を開いていました。
絵画10点ほどと、映像が1点、テラコッタが数点。
桔梗さんは全道展には、複数の場面と人物像を組み合わせた、てんこ盛りな絵を出品していますが、今回は小品が多く、1枚のタブローに1人が登場する作品が中心でした。
冒頭は「いつかの時代の終わりに 『私の中の I Lock the Door Open Myself』 . . . 本文を読む
JR北海道の車内誌の表紙などで知られるイラストレーター藤倉英幸さんの作品展。
すべて網走市立美術館が所蔵するはり絵の版画で、原画ではありません。
会場は、冬の間はハクチョウなどが間近に見られる濤沸湖とうふつ こ の湖畔に立っている施設で、絵画の展示は珍しいかもしれません。
藤倉さんの作品については、いまさら筆者が付け加えることはないでしょう。
大胆な構図と、メリハリのきいた配色。抽象画 . . . 本文を読む
画家の若い時代の作品を集めた展覧会。
会期終了後の紹介になってしまってすみません。
作家は
伊藤隆二、中谷有逸、井田照一、北岡文雄、矢柳剛、おおとひでお、トゥールーズ=ロートレック、カッサンドル、里見宗次、多賀新、レンブラント、シュール・デュプレ
の12人の計25点。
このうち油彩が5点で、あとはすべて版画。
地元十勝から西洋の大家までが名を連ねていて「初期」という以外には何も共通点は . . . 本文を読む
神田日勝の主要作品が、東京や札幌を巡回する神田日勝展にほとんど出払ってしまっている期間中に開かれた、地元十勝の画家・版画家による展覧会。
これまで何度か書いてきたとおり、十勝地方は美術分野の作家が多いです。今回、57人が前後期にわかれて1点ずつを並べていますが、あくまで現役の画家・版画家だけです。
・物故者
・出身者でいまは十勝に住んでいない人
・彫刻、工芸、書、現代アート、写真などの分野
と . . . 本文を読む
(作家コメント)
日常の中で触れる人物やものごと、確かに目の前に輪郭はあるけれども、
本当の輪郭までは到底目視の中でたどり着くことはできない。
そんな感覚が作品の根底にある。
色々な図を重ね合わせていくなかで、 それぞれの存在感が不明瞭になり、
もともとの形を失う瞬間を作品のなかに表している。
作品の前に静かに立ち、姿を失いかけ、隠されたものごとの輪郭を辿ってほしい。
JR札幌駅のコンコースに . . . 本文を読む
(承前)
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この展覧会を見て、神田日勝が農村に住んでいたため情報が乏しく、それでもその少ない情報に影響を受けながら、自らの画風を模索している姿に、共感を覚えた人は少なくないでしょう。
公開されているスクラップブックに貼られた絵の切り抜きは、その多くが、モノクロの小さな図版でした。
当時は鹿追はもとより道内に美術館と名のつく施設は一つもありません。そして、農作業に追われる日勝は . . . 本文を読む
網走市立美術館で、「日本画の新鋭 葛西由香展」よりもずっと広いとなりの展示室で同時開催されている、網走出身の日本画家(1951~2020)の個展。
この画家のことは知りませんでしたが、主な発表の舞台が首都圏で、道内では網走以外で展示された形跡がないので、筆者の不勉強についてはお許し願いたいところです。
(会場は撮影不可)
経歴については、こちらの「誠美会」のサイト( https://sei . . . 本文を読む